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教育心理学の話①プラトー現象

9月の新人総体で負けた後、我がチームは当面の目標となるものを失ってしまった。

次の大会は来年2月。郡内だけのトーナメント戦があるが、それまではまるまる5か月くらいある。

秋冬の時期、ベスト4までのチームには招待試合などのお誘いがあるのだが、我々には声がかからない。
練習試合を個別に申し入れるなどして、地道にやっていくしかない。

選手たちは日々の練習を頑張って継続していたが、例えば練習試合をしても、いつも負ける相手には勝てず、いつも勝てる相手には勝てるの繰り返しで、もう一つ上に突き抜ける感覚が得られなかった。
停滞期?そんな匂いがした。

私はミーティングでこう話した。

教育学部にいたことがあるので、教育心理学を勉強したことがある。

その時からずっと覚えている心理学用語で、「プラトー現象」というものがある。

プラトーというのは、「高原」という意味で、高い山に登ろうとしている時に、中腹くらいに現れる高原地帯のように、いっとき、平らでなだらかな、見晴らしの良い台地を歩かなければならない場面が訪れる。
目標とする山のピークは見えているのに、それまでにはまだまだこの平らな台地を黙々と歩き続けて、さらなる急坂のふもとまで行かなければならない。
そんなシチュエーションを思い浮かべてほしい。

今君たちはまさに、そんな平らな台地を歩いているようなもので、自分の成長が感じられず、結果として褒められることもなく、周りの景色もずっと同じままのように感じられるだろう。

そしてやっぱり目標に至る道のりはいまだ遠く、さらに険しい様子が見て取れる。

でもこれは、有名な心理学用語になるくらい、当たり前の現象。
誰もが通る道なんだ。

今このバレー部の世界でも、またこの先社会に出てからも、何か新しいことを覚えよう、何か壁を乗り越えようと思ったら、その道はきっと険しい。
最初の頃は、やればやるだけ上手くなったり、少し結果が出たりして、苦しいながらも手ごたえがある。

けれどそのうち、自分が成長しているのか、置いていかれてるのか、わからなくなる。
周りが急に見えるようになってきて、不安になる時期が訪れる。
今までのルーティンがつまらなく思えたり、物足りなく思えたりするだろう。

でも、それはある程度基本ができてきた証拠だ。

コーチはちゃんと、その次にやらせてみたい練習がいろいろとあって、退屈しないように次々とアレンジしていくから、安心してほしい。
そして少しずつ変わっていく課題に一生懸命食らいついてほしい。

あまり変わっていないように思えて、実はみんな着々と成長している。
それはコーチには見えている。
ミスは少なくなっているよ。

今歩いている平らな場所は、2月の大会、そして3月くらいまで続くだろう。
11月から2月までは、毎日寒くて、十分に身体が動かないかもしれない。
でもそれはどこのチームも同じだ。

そして、4月、5月、集大成の6月という時期は、新人も入ってくるし、慌ただしい新年度で、そこからは十分な積み上げはできないだろう。

今が心技体を鍛える最大の、そして2年生にとっては最後のチャンスです。

そういう時期、そういう場所を今、着実に歩んでいる。
そんな意識で、これからも日々の練習、そして直近の練習試合を目標として、真剣に取り組んでほしいと思います!

さあ、残りの道のりはあっという間だ!
目標に向かって、迷わずに進もう!

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