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言っても直さない時はそのままにする
バレーボールの技術指導をしていると、そんな思いっきりシロウトみたいなフォームじゃあ、サーブとかスパイクで狙われるよ‥と思う瞬間がある。
勝つための常套手段として、相手チームで最も未熟な選手は、いわゆる穴だから、そこにサーブ、スパイク、返球を集めることができれば、優位に展開できる。
だから、とりあえずは下手でもいいから、基本に忠実なフォームだけは身につけて、見た目だけは経験者っぽくしてほしいのだが。
カムフラージュにしかならないが。
でも、ジャングルに行くなら、目立つ服より迷彩服でしょ。対戦なんだから。
やっぱり2年生の夏まで、指導されずに球拾いばかりさせられていた彼女たちには、それぞれちょっとずつ変なクセがついていて、目立ってしまう。
オーバーハンドパスの肘の開き過ぎ。
アンダーハンドパスのスタンスの狭過ぎ。
スパイク助走のステップに上半身の腕振りがなく、ただソロソロと歩いてからちょっとだけジャンプして打つとか。
いろいろ変なクセがあるのを、とにかく声をかけて指摘するのだが、素直な子と、そうじゃない子がいる。
何度も同じことを言っても直さない?直せない?場合、私は放っておくことにした。
大前提として、バレーボールは楽しくなくちゃいけない。
試合でも練習でも、楽しくなかったら、その先続かなくなってしまう。
スポーツは、「楽しい!」という気持ちがガソリンで、それを燃やして前に進むしかない。
1回だけやってみるとか、学校の授業で何回かやったら終わりというのももちろん、楽しむことが前提だが、部活動として足掛け3年の長丁場、暑くても寒くても継続するには、根性だけでは続かない。
「あー!もう辞めたいけど、あと少しの辛抱だからなー!我慢するか!」
といった気持ちで、私が世界一面白いスポーツだと公言しているバレーボールをやってほしくはない。
私はコーチとして、馬車の御者ならぬ、タクシーの運転手のように、ハンドルを握って選手たちを乗せて連れて行くだけ。
燃料となるガソリンを持ち寄り、エンジンにぶっ込んでタイヤを回すのは選手たち自身なのだ。
私がガソリンを買って入れるわけにはいかない。
選手が楽しくなくなる指導はしたくない。
素直だから言うことを聞いてやる選手、というより、
「こうやったらもっと楽にできるよ!合理的だよ!」という指導を受けて、選手自身が「なるほどそうだ!」と思って、自ら成長して行くのが理想なのだ。
だから、私が放っておく、と言うのは、「放任しました。」
ということではない。
指導の仕方、アプローチを変えたということだ。
次善の策に切り替えただけのこと。
つまりは、別の方向から気づくように、少し待ってみる、ということ。
その選手が、「やっぱりそのままだと困る」「失敗する」といった経験をするまで待つ。
「やっぱり直した方がいいのかな?」
と本人が気付くまで待つ。
特に、試合で負けた時のコーチのコメントで、チクリとちょっとだけ、
「やっぱりあれは直した方がいい」
「勝てるようになるかもしれない」
と言ったりするのがタイミングとしては良い。
なんで負けたか、わからず悔しいと思っている時、具体的な個々の課題をチクリチクリと言えば、記憶に残る。
ダメな指導者は、「負けそうになったら声が出なくなって云々‥」と精神論にしてしまい、せっかく見えた課題を具体的に述べずに終わってしまう。
それでは進歩がない。
せっかくの失敗体験が、次に生かせない。
とにかく練習は最初から最後まで楽しげに。
途中で珍プレーがあって、ゲラゲラ笑ったりしたら、チャンス!
コーチも一緒に、暫時笑う🤣
ボーリングが原油にぶち当たって噴き上げた瞬間みたいなもので、ガソリンが、モチベーションの燃料が増えたって喜べばいい。
コーチは絶対に、ガソリン代に自腹は切らないぞ!
君たちの元気とやる気を燃焼させて、目的地まで走るんだ!
みんなと一緒にね。