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試合中、コーチの声は届かない!

オリンピックなど、バレーボール中継を見ていると、どのチームもベンチから立ち上がって、試合中ずっとコート脇に立っている、監督の姿を目にする。

ファイルを持っていたり、ノートパソコンやタブレットを持っていたりして、選手に声をかける様子はとても印象的だ。

これは中学以上の大会でも同様で、監督だけは立ち上がっていてもいいルールになっている。

ところが、立ってもいいのは1人、監督のみ。
コーチは立ち上がっただけで注意される。
こうしたルールが厳格なのは、バレーボールの特徴の一つではないだろうか?

だから、外部コーチの私は常にベンチに座ったまま。
そして両チーム保護者の応援の声がうるさすぎて、どんなに声を張り上げても、コート内の選手には全然届かないのである。
それこそ、立ってる監督でさえ、一番近くの選手にしか指示の声は聞こえないと思う。

練習試合では、ボールデッドの間ならば、私が自由にコート内に立ち入ってやって見せたり、声をかけたりして来たわけだが、公式戦ではできない。

ということは、練習試合と公式戦では、選手の心持ちはだいぶ違うということ。

公式戦では、今まで指摘されて来たこと、コーチならこう言うだろうなということを、さっと思い浮かべる余裕がなければならない。

緊張して、応援がうるさい状況の中で、それが冷静にできる選手は少ない。

それどころか、試合中だけ練習と違う場所に動くようにと指示するスポ少経験者までいる。本当にコイツの自分勝手さには呆れた。
まあ、全員に私の意図を共有させていなかった私の責任なんだけど。まさかそうするとは思ってなかった。

我がチームは、そうした自律的に修正できるようになるまで、半年以上かかったと思う。
それでも最後の大会では、しっかり自分たちで声かけ合って、よくやったと思う。

試合中、コーチの声は聞こえない。だから、言われたことは覚えておいて、思い出さなきゃだめだよ。
そんなふうに教えるようになった。

その時のチームの課題、勝ちパターン、理想的な得点パターン、サーブレシーブが乱れた時やミスをした時、どう考えたらいいか?
試合中に思い出してほしいことは紙に記載して渡し、説明し、試合前には「どうするのが理想的なパターンだっけ?」「ミスした時はどう考えたらいいんだっけ?」と思い出させて確認したりもした。

初めの頃は、私が監督登録できないかな?と大それたことを考えたりしたが、今は違う。

選手たちが自分たちで考えて、思い出して、ゲームをどうにかしようと必死になってもがくこと。
それこそが部活動をやる意味なのではないだろうか?

だから、私は今、声の届かないベンチに座り、記録をつけ、次なる課題を発見することに集中している。

ゲーム自体を楽しみ、形作るのは、主役である選手たちであるはずだ。

自律心を育てるために、私は今日も静かに座る。

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