欲望と反復思考

学校の先生をしています。

人は欲望する。
自分にないものに憧れ、「それ」が欲しいと、所有したいと、そして満たされたいと願う。
人類がここまで発展した要因の1つは、この欲望であると言ってもいい。
しかしこの欲望の力は偉大かつ、だからこそ扱いが難しい。
近頃、この欲望というものが暴走しているような気がする。そして、それによるトラブルも、枚挙にいとまがない。
このことについて今一度、思索したいと思うのである。

最近思うのは、「言葉を繰り返せば繰り返すほど、この欲求は増えこそすれ、減ることはないのではないか?」ということである。
人は欲望に襲われると、こうなる。

「ああ、お腹空いた。何か食べたい。お腹空いた。早く何か食べないと絶対やばい。これ絶対倒れるぞ。食べないと、すぐに食べないと・・・」

とか、延々と繰り返すのである(例えばラーメン食べたい時など)。
この「繰り返し」のことを、「反復思考」と言ったりするそうだ。反復思考をする場は、各人違うのだろうが、主に脳内や、SNSなど。はたまた実際に口に出すことで、思考を繰り返す人もいるかもしれない。
この「言葉と欲望の関係性」は侮れない。
頭の中で考えていることを言葉にすると、実際に思っているよりもその気持ちが強化されるということがある。それを、ネガティブな方向に持っていくと、「満たされない人」「怒れる人」に近づいていってしまい、気持ちが辛くなってくる。辛くなると、満たされたい気持ちが強まる。放っておくと欲望は言葉になる。以下、無限ループ・・・。

対策はないのだろうか。
1つは、「反復思考を無理矢理やめてみる」というのがある。そして、反復思考が止まったところで、「自分は本当にそれを渇望しているのだろうか?」と疑いをかけてみると、少し良い場合もある。
ただ実際、そのやり方が効かないことも多分にある。

そもそも、多分、欲望をコントロールしようということ自体難しいし、逆にコントロールしてはいけないような気もするのである。しかし、社会で生きるためには、自分の欲望と上手く付き合っていく必要がある。
まずは、「そういう人間の性質があるということを知っている」というのが大事だと思う。
人は生きていると、悩みが尽きない。この「欲望と反復思考」も、その1つだ。そんな時、「まあ人間、そういう性質もあるよね〜」というほんの少しの余裕が、気持ちを支えてくれるかもしれない。また、欲望に飲まれても、必要以上の自己嫌悪からは逃れられるような気がする。

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