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#42. パーパスとは?-ブランディング考察日記-vol.6
前回、会社は「意義を生み出す場」にシフトしていくというキーワードを元に、それが書かれた書籍、佐宗邦威『理念経営2.0』のレビューを行った。
ビジョン・ミッション・バリューという言葉それぞれの意味を掘り下げ、自分自身の理解につなげた。
今回はその続き。
パーパスとはなにか。
さて、タイトル通り「パーパス」について。
この言葉も私の中では非常にぼんやりとしており、前述の「ビジョン・ミッション・バリュー」とほぼ同義語で認識していた。
しかし、ブランディングを学んでいる、学ぼうとしている現在、そんなことでは良くないので、パーパスについても調べたうえで腹落ちさせていくことにする。(実はまだビジョン・ミッション・バリューについてもすべて消化しきれてはいない)
今回も佐宗邦威『理念経営2.0』を元に検討していく。
書籍では、
企業規模が大きくなり「できること」が増えてきた企業=壮年期企業としたうえで、ある程度成長し、人生の目的がわからなくなってきた時期(人間でいうところの40~50歳頃)=「中年の危機」の時期こそ、パーパスが必要になる、と言及している。
ミッションが自分たちの中心的な活動に焦点を当てるものだとすれば、パーパスではそれを社会の側からとらえ直したものだと言える。
「私たちの組織の存在する目的はなにか?なにがなくなったら自分たちではなくなるか?」という問いに対する答えだ。
そしてパーパスは、渡り鳥の比喩における「方向感覚」の機能、つまりビジョンのように「目指すべき方向」を示す役割も果たす。パーパスは未来の社会において自分たちはどんな役割を果たしたいのか、なぜそれを実現したいと思うのかを表現する「北極星」のようなものである。
人も組織も、いつかは成長が止まって自分の存在意義を改めて考え直すタイミングがやってくる。成長がすべて癒してくれるわけではない。しかも現代では、必ずしも成長=絶対善ではない。
こうしたなかで必要になるのが、パーパスなのである。日本では、多くの企業が「中年の危機」に直面しているからこそ、パーパス策定の必要性が共感をもって受け入れられたのだろう。
他サイトからの引用紹介①:NECソリューションイノベータ
他のサイトも拝見してみる。以下はNECソリューションイノベータのサイトから引用した。
パーパス(Purpose)とは、一言でいうと企業の存在意義を指します。「目的」「目標」「意図」などと訳される英単語ですが、ビジネスシーンでは近年、企業の社会的な存在価値や社会的意義を意味する言葉として使われています。
ビジョン・ミッション・バリューとの関係性も加えて図にすると以下のような感じ。
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また、「パーパスが必要とされる背景とは」は、以下記載されている。
なぜ今、パーパスが注目を集めているのでしょうか。パーパスが必要とされるようになった背景について解説します。
企業に求められる価値観が変わった
企業の事業活動において、サスティナブル(持続可能)な経営が求められるようになりました。2015年の国連サミットでSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が採択されて以来、企業には経済的な発展だけでなく、社会的な責任やSDGs達成への貢献が不可欠です。サスティナブルな経営を行うためには、自社の社会的な在り方(存在意義)を再構築する必要が生じるでしょう。
また、ミレニアル世代を中心とした若者層では、就職先を選択するにあたり、パーパス(働く意味)や企業文化、社会貢献度を重視するといった傾向があります。この先の企業活動や消費者の中心となる世代が、企業に求める価値観が変わってきているのです。こうした背景により、パーパスが広まったと言えます。
投資家が評価する価値基準が変わった
投資家の評価基準の変化も影響をもたらしています。サスティナビリティやESGに関心が高まっている中、株主のみに限定されずステークホルダーや社会に対しても価値をもたらせるか、といった社会的意義も投資家に注目されています。2018年、世界最大の資産運用会社である米国ブラックロック社のラリー・フィンクCEOが取引先のCEOに宛てた書簡で、パーパスの重要性を説き話題となりました。パーパスを掲げていることが、投資の評価基準の一つとして重要視されるようになったのです。
他サイトからの引用紹介②:日本の人事部
次に、「日本の人事部」の場合、以下の定義。
「パーパス(Purpose)」は、一般に「目的、意図」と訳される言葉です。近年では、経営戦略やブランディングのキーワードとして用いられることが多く、その場合は企業や組織、個人が何のために存在するのか、すなわち「存在意義」のことを意味します。
また、「パーパスに必要な条件」として以下5つを挙げている。
パーパスに必要な条件は、以下の五つです。
(1)現在の社会課題を解決するものか
パーパスに必要な条件は「現在の社会課題を解決するもの」であることです。パーパスは「将来どうあるべきか」という理想論よりも、現代社会において顕在化している課題にフォーカスします。今まさに自分たちの身の回りに起きている課題に向き合うからこそ、ステークホルダーが自分ごととして捉えられ、共感と推進力を得られるのです。
(2)自社の利益につながるものか
企業は営利団体です。そのため、パーパスは単なる無償奉仕ではなく、企業の利益につながるものでなければなりません。利益が出ない活動を続けると、企業の存続が困難になる上、投資家や従業員などのステークホルダーに不安を与えてしまいます。
短期的には利益につながらなかったとしても、長期的に見てブランドが浸透し、利益に寄与するパーパスを策定することが理想といえるでしょう。
(3)自社が行うことに対し合理性が伴うものか
パーパスでフォーカスする課題は、自社のビジネスに密接に結び付いている課題であるべきです。自社のビジネスとは全く関連性のない領域にフォーカスしたとしても、市場の理解が得られなかったり、長期的な利益に結び付かなかったりする可能性があるからです。
また、新しい領域は知見やノウハウも乏しく、初期投資が高くなりやすいというデメリットがあります。パーパス策定時には、「自社が行うことに対して合理性が伴うものか」という視点が必要です。
(4)自社が実現可能なことか
パーパスは、自社が実際に取り組めて、実現可能なことでなければ、掲げる意味がありません。あまりにも壮大過ぎるパーパスを掲げると、実現不可能であることが目に見えてしまい、ステークホルダーをしらけさせてしまうかもしれません。
パーパスが夢物語にならないよう、「そのパーパスを策定して、実現できる未来を具体的に想像できるか」と考えることが重要です。
(5)従業員をモチベートさせ得るものか
パーパスは、従業員のモチベートにつながるものである必要があります。魅力的な誇れるパーパスであることで、従業員一人ひとりが自分ごととして捉え、その企業で働く意義を見いだせるのです。働く意義が明確になり、モチベーションが上がることで、ロイヤリティ(loyalty)やワークエンゲージメント、そして生産性の向上にもつながります。
不景気などで会社の危機が訪れたとき、従業員の迷いや不安を払拭する道しるべとなるよう、「自分たちはどこに進むのか」を明確にするパーパスを掲げることが重要です。
我々「中年世代」は、まずは個としてのパーパスを策定すべき
・佐宗邦威『理念経営2.0』の定義
・NECソリューションイノベータの定義
・「日本の人事部」の定義
以上、3つの定義(整理?)を確認したが、個人的にはやはり『理念経営2.0』の定義がしっくりきた。残り2つについては、「定義」というか一般論であり、なるほどと思いつつも、あくまで「整理」ではないかと…。
『理念経営2.0』では、「中年の危機」の時期こそ、パーパスが必要になると言及しているが、まさに今の自分(44歳)に当てはまる。
そもそもビジョン・ミッション・バリューを言語化すらしていない自分であるが、なんとなく「こうありたい」というのは見えている。
一方で、「こうありたい」と思う自分がいながらも、家族を養っていくために会社員をやらなければならない。
とはいえ、その会社員生活もできることなら、お金を稼ぐためだけではなく、やりがいを見つけていきたい。そしてその延長線上に第二の人生があるのではないかと思う。
そういった自分に当てはめてみると、「こうありたい」と思う北極星に対し、カフェ事業&会社員、さらには子どもや奥さんとの関係性などを自分にどうマッチさせるか…ということを考えている現在、まさにパーパスが必要だと感じるのだ。
繰り返しになるが、我々中年世代は、自分自身のパーパスを策定することこそが、ワークライフバランスの観点でも重要だ。
そして、それを策定した上で「これはやるべきかどうか」を検討し、残りの会社員人生を有意義なものにしていきたいと思う。