【雑記】中津耶馬渓
中津耶馬渓はいい。
本耶馬渓、深耶馬渓、裏耶馬渓とあるが、本耶馬渓だけで十分楽しめる。
まずは青の洞門で禅海和尚達が鑿と槌だけで30年かけて掘り抜いたトンネルを歩く。
その後、川を渡って競秀峰を眺める。季節によって岩肌の木々が姿を変えるので、この光景は何度見ても飽きない。
先日行ったが、山国川の向こうに、巨峰や奇岩群が連なっていて、水墨画のような岩肌と、纏わりつくように生えている木々が黄色に色づいていた。
この競秀峰、福沢諭吉が、売却されることを耳にして、自然と景観を守るために私財を投じて一帯を買収したという。その話を聞いて、息子は諭吉さんが大好きになった。
以前萩に行ったときに、ガイドの方が「昔の人はね、公(おおやけ)というものをとても大切に考えていたのよ」と息子に説明していたのを思い出した。息子にはそうした「おおやけ」という意識を常に持って育って欲しい。決して利己的な人間になることなく。
競秀峰を堪能したら、禅海茶屋で諭吉さんの黄金鉛筆を買って、きな粉の団子を息子が食べるのが、我が家の定番になっている。
次に耶馬トピアに行って、耶馬渓風物館に入る。大人100円と激安でお得感がすごい。菊池寛の「恩讐の彼方に」の説明もあり、小説を読んでいない息子も楽しめたそう。
風物館を出たら、近くのそば処石臼亭で昼食を摂る。十割そばがあって、蕎麦に目のない妻が必ず頼む。私も食べたことがあるが、純粋な蕎麦の香りがふわっと口から鼻に抜ける。蕎麦好きには堪えられないだろうと思う。
645年に建てられたという羅漢寺は、リフトに乗って山を登る。一度歩いたがメチャメチャきつかった。最初息子はリフトに乗るのを怖がっていたが、いまではリフトに乗るために羅漢寺に行こうという始末。五百羅漢にお参りして、しゃもじに願い事を書く。最後に、羅漢寺本堂奥で縁を切りたいものを紙に書いて出す。以前書いて出したら、見事にうまく縁が切れて、お礼参りで大奮発したことがある。
リフトで頂上に行くと、展望台に上って、あたりの景色を楽しむ。息子は、「あっちの方角が海かあ」と楽しんでいる。天気のよい日には阿蘇山まで見えるらしい。
ふもとには禅海の鑿と槌が展示してあって、これが禅海のものかと感慨に浸る。お土産屋では、息子が決まって、豆腐かりんとうを買って帰る。最近はきな粉の団子も気に入ったそう。これは家族全員が好きなので、帰ってから、だれが何個食べるか、争奪戦が始まる。
そういえば、深耶馬渓にも、一目八景の近くのみたらし団子の土産物屋があるのだが、息子は必ずここで団子を食べる。いや、団子を食べるために、深耶馬渓に行こうと提案する。
考えてみると、息子は食べることばかり考えているではないか。
勉強しろ、勉強。