【雑記】今年のゴールデンウィーク ~ 去年のリベンジ ~
息子はいまだに去年のゴールデンウィークのことを根に持っている。
現在息子は小学6年生。
今年は中学受験の年で、土曜日は授業、日曜日は毎週テストで、休日も勉強している。わかってはいたが、6年生になって、息子と出かけることがまったくなくなった。
去年までは、ちょっと空いた日に、家族で旅行を楽しんでいた。
別府に行ったり、広島に行ったり、萩に行ったり、天草に行ったり……と訪れたところを挙げれば、枚挙に暇がない。
一昨年までは、東京に行って、そこを拠点にいろいろな場所に旅行したり、ちょっと遠い場所に2泊旅行したりと、いろいろ工夫ができたのだが、去年は、まとまった休日がなく、近場に一泊旅行しか行けなかった。
唯一ゴールデンウィークだけが、まとまった休みがあるということで、国東半島の海のそばにある広いコテージを借りて、東京の友人を呼ぼうという話になった。
東京の友人たちも来ることが決まり、妻も息子も2泊3日の旅行と、久しぶりの友人夫妻たちとの再会を楽しみにしていた。
息子は息子で、勉強に奮起して、直前の公開模試で最高点を叩き出した。
さあ、旅行に向けて準備をしよう、となったところで、例のコロナ渦で、緊急事態宣言。
友人たちは旅行を断念、コテージにキャンセルの電話をしたら「そうでしょうね」と。
聞けば、すべての予約客がキャンセルしたそう。
我々以上に旅行を楽しみにしていた息子は、涙を流して悔しがった。
そのときのショックが大きかったのか、息子の成績は冬になるまで低迷を続けた。
「僕はあのときのことを、いまだに根に持ってるんだよ」と息子がこぼす。
言ってみれば、久しぶりの、最後のチャンスの2泊3日の旅行がコロナによって潰されてしまったわけなのだから。
さて、今年のゴールデンウィーク。
休みが少しだけあるが、我々の仕事の都合と息子の塾の予定を併せて考えると、たった一日しか空いていない。
息子はその一日を、とてつもなく大切な日と考えているようで、「絶対に阿蘇に行きたい」と言う。
「阿蘇のどこ? 大観峰?」
私が訊ねると、
「草千里に行きたい。そしてあそこを散歩したい。そのあとは白川水源に行きたい」
と言う。
「散歩でいいの?」
「あそこはね、高岳、中岳、根子岳、烏帽子岳、杵島岳の阿蘇五岳が見えるところなんだよ」
と地理オタクの息子が目を輝かせて言う。
「熊本の市街地は? 熊本城も水前寺成趣園もあるし。君、小さなときしか行ってないでしょ」
とそれとなく水を向けても、「阿蘇がいい」と言う。
そこまでして阿蘇に行きたいのならば、阿蘇に行こうという話になった。
地理オタクの私の親友も、数年前に九州一周旅行をして、「九州では阿蘇が一番。あそこはすごい」と感心していた。阿蘇には地理オタクを惹きつけるなにかの魅力があるのかもしれない。
かくいう私も、阿蘇は大好きではあるが。
去年からの怨嗟も、まとめて今年の旅行で、晴らすつもりの息子。
当日は晴れてくれるといいのだが。