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【雑記】肥前浜(3)

最後に行ったのが、祐徳稲荷神社。

これも息子の希望で、なんでも日本3大稲荷らしい。
あとで調べてみたが、総本山の伏見稲荷大社は間違いのない一番で、あとは諸説いろいろあるらしい。
笠間稲荷神社、豊川稲荷、祐徳稲荷神社など(その他たくさん)が3大候補だそうだ。

休日の為か、やたらと車が多く、駐車場も広い。
交通整理のガードマンもたくさんいた。
肥前浜駅の酒蔵通りと対照的で、こんなに人が訪れるとは思っていなかった。
息子が
「ね、すごいでしょ?」
と一人だけ知っているような口を利く。

参道に入ってからも周りの店の多さに驚かされた。
イメージで言うと、太宰府天満宮くらいの賑わいぶり。
こういう雰囲気は大好きなので、かなりの好印象だった。

ほどなくして、神社に着いたが、建物の豊かな色彩に圧倒された。
建物が山肌にそびえたつ姿が独特のつくりになっていて、なんとなく京都の清水寺を彷彿とさせた。

祐徳稲荷神社

山の上に「奥の院」があるらしいと書いてあったので、階段を上って行ってみることにした。
ところがいつまで経っても到着しない。
ずっと階段を上りっぱなしで息が切れていく。特にマスクだと呼吸困難に陥る。ちょうど一年前(息子の受験タイミング)は心臓の病気で入院騒ぎになっていた身には堪えた。
「あと200m」
の看板を見たときには頭がくらくらした。単なる200mではなく、階段だけの200mだ。

唯一息子は軽快な足取りで階段を上っていく。
私はときおり妻の様子を気遣いながら、階段を上っていくが、だんだん自分の方も限界近くになっていく。

もうやめようかと思ったときに、頂上が見えた。
最後の力を振り絞って奥の院のある頂上まで登った。
足はふらふら、呼吸するのが苦しい、頭はぼんやりとするわで、大変な道のりだったが、頂上まで到達して、有明海を臨む広々とした景色で苦労が報われたと思った。

奥の院からの景色

奥に見えるのは有明海である。
道の駅鹿島の望遠鏡で覗くと、本当にムツゴロウがパタパタ跳ねている、あの有明海だ。鹿島ガタリンピックの会場もあのあたりだ。

結局妻は限界がきて眩暈までしたらしく、途中で挫折した。
最後まで登り切ったさすがの息子も、疲れたようだった。
以前上った耶馬渓の羅漢寺とはレベルの違う辛さで(羅漢寺もかなりきつかったが)、今までに家族が旅行した中で一番ハードな道のりだった。
こんなに大変だとわかっていたら、覚悟して上ったのに、「もうすぐかな?」などと思いながら上ったものだから、一層辛かったような気がする。
ただ、インパクトという意味では、一生忘れられないほどのいい経験になった。




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