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「再起へのナインボール」Kindle出版(1)
「再起へのナインボール」がKindle出版された。
学生時代、映画「ハスラー2」がヒットして、ビリヤードブームになった。
プールバーが街のあちこちに出てきて、若者たちはこぞってビリヤードをするようになった。
例に漏れず、大学の友人たちもビリヤードをやるようになった。
私も友達から無理矢理誘われてビリヤードをやった。ゲームは「ハスラー2」でプレイされていた「ナインボール」。9番を落とすと勝ちになる単純なゲームだ。
ビリヤードというゲームは、まったく自分の思い通りにならない。
初心者で「2番をこのサイドポケットに」と宣言して思い通りに入れられることなど、ほとんどない。
「こんなまっすぐ簡単でしょ」と言う初心者もいるが、まっすぐだろうが、角度が90度に近かろうが、難易度にさほど変わりはない。
狙った厚みにさえ当たれば、的球はポケットに入る。
むしろ難易度は手玉と的球とポケットの距離に影響される。
遠ければ難しいし、近ければ簡単である。さらにそれに加わって、手玉がクッション縁にくっついていたら難易度が増す。
ただし、あくまで目の前の球をポケットに入れるという観点においての話で、1番を撞いたあとの2番を考えるのであれば――次に手玉を思い通りの位置に持ってこようとしたら――難易度は倍増する。
そんな複雑なゲームであるビリヤードに私は凝ってしまい、やがてビリヤード場でバイトするようになった。
そのビリヤード場に、初めてビリヤードプロが訪ねてきて、目の前で球を撞いたときの衝撃はいまだに覚えている。
(続く)
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