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【雑記】純粋な読者として小説を読む時のことを考えてみた(7)

ただし、である。
ミステリの場合に限って言えば、私はオチにかなり厳しくなる。

なんのために、ミステリを最後まで読むかと言うと、フーダニット(Who done it?)、ハウダニット(How done it?)、ホワイダニット(Why done it?)を知りたいからである。
正直言って、「内容がつまらないな」と思っても、「犯人はだれなの?」、「どうやって殺した?」などが気になり、頑張って読み進めることは多い。
それがイマイチの犯人だったり、現実味のない方法だったり、ありえない動機だったりした場合には、確実にがっかりする。

もちろん、ヴァン・ダインの二十則やノックスの十戒も、できれば、――あくまでできればだが――守って欲しい。
絶対に守れと言うつもりはないが、その中のいくつかは絶対にやめて欲しいというものがある。
例えば犯人が最後に登場するパターン。
一度ミステリ小説の新人賞受賞作で、最後の数ページで初めて登場した人物が犯人だった時には、さすがにまいった。

ミステリの場合、やはり犯人、動機、方法は、とても重要だと思う。

余談になるが、ノックスの十戒に、「中国人を登場させてはならない」というのがある。
「は?」と思うのだが、英国の作家サックス・ローマーの小説「ドクター・フー・マンチューの秘密」のせいだ。
主人公の中国人フー・マンチュー博士(Dr.Fu Manchu、傅満洲博士)は、もともと北京の漢方医だったが、義和団の鎮圧にあたった西欧列強軍によって妻子を殺され、白人への復讐と、世界征覇の野望に燃える冷酷な殺人鬼と化した。
そのやり方が超人的なので、「中国人を登場させたら、超人的な方法でなんでもあり」になるからだそうだ(東洋の神秘ですか)。

ちなみに、この「フー・マンチュー(傅満洲)」さん、愛新覚羅溥儀の「溥」の字と満州国の字から名づけられたらしい。
相当テキトーな命名だと思うのだが。

(続く)


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中学受験 将棋 ミステリー 小説 赤星香一郎
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