見出し画像

【私文版】大学留年完全マニュアル


はじめに

「大学生活ではまず勉学に励み、単位を取得することを第一目標とする」
これが現代の大多数の大学で掲げられている標準的な考え方である。
4年生の大学であれば当然キッカリ4年間で卒業することが求められる。

しかし、本記事を見ている人の中には、それが叶わない可能性がある、"例外的な学生"もいると思われる。

本記事では、大学を留年しないためにするべきことや、実際に留年の危機に瀕した際にどのような行動をとるべきか、加えて実際に留年が確定した際の選択肢など、大学留年について幅広く取り扱っていきたい。

現在学生でまだそのような危機とは縁遠い優秀な人は、留年しそうな友人にこの記事を教えてあげてほしい。
まさに今、人生の岐路に立っている留年間近の人は、ささっとこの記事を読んですぐにでも適切な選択をすることをお勧めする。

なお、既に社会人になってからこの記事を見ている方は、そんな人もいるのだなと思いながら、面白半分で読んでほしい。

"留年"について

まず、大学における留年の定義と、そのような状態に陥る条件、それによって生じる様々な利益と不利益について、簡単にまとめておきたい。

"留年"とは

大学における留年とは、本来規定されている在学期間中に卒業を果たせない状況になることを指す。
つまり、一般的な4年制の大学を4年間で卒業できなくなった時、その人間の留年が確定したことになる。
これは非常に恥ずべきことであり、社会的にも人間的にも自身の価値を多少なりとも貶める可能性があるということは、肝に銘じるべきである。
(ただし、家庭の事情や経済的な事情など、事情によってはその限りではないこともある)

留年の条件

基本的にはどの大学もある程度共通した基準を設けている。
先述の通り、「本来規定されている在学期間中に卒業を果たせない状況になる」ことが条件である。
この条件を満たしてしまう、以下2つのパターンが考えられる。

  1. 卒業に必要な総単位数が足りない

  2. 卒業要件となっている単位の分野の中で、取得できていないものがある

なお、両者共に4回生時だけではなく、どの年次になっても起こる可能性がある。

例として、それぞれ以下のような状況だと留年になる。
※前提として、
 卒業要件の必要単位数を124単位
 年間取得可能単位上限を44単位
このような制度であるとする。

◎総単位数の不足例
・4回生後期を含めた取得単位数が、124単位に満たなかった。
・2回生後期終了時の総取得単位数が、20単位だった。
(年間44単位を残り2年間、1つも落とすことなく取得しても、全体取得単位が108単位であることから、卒業要件の124単位に満たない。)

◎単位分野別の不足例
・4回生後期までに総単位取得数は124単位であるが、"一般教養"分野で4単位の取得が必要にも関わらず、2単位しか取得していない。
・1回生前期のみ受講できる必修講義を落としてしまい、次年度以降の開講日を調べたところ、年次毎に定められている必修講義と全て被ってしまっている。

最後の例は少し難しいが、一言でいうと「必修講義の開講時間が被ってしまうため、物理的に両方は受講できず、もう1年余分に通う必要がある」ということである。
基本的に大学側もこのような事態はなるべく避けようと、開講時間についてはある程度配慮してスケジュールを組むケースが多いが、それでも奇跡的に最悪の被り方をすることは稀にあるため、油断は禁物である。

留年のデメリット

基本的に、留年をすることはデメリットが非常に多い。
以下、簡潔にまとめたので一読してほしい。

◎お金が掛かる
留年してでも卒業したいとなると、不足した単位を取得するためにさらに在学期間を伸ばすことになる。
そうなると、当然学費も追加で発生するため、私立文系大学の場合は半年で50万、年額で100万以上が追加費用としてかかることとなる。

⚠️お金の負担は学費だけじゃない!?
私立文系大学の場合は年間100万の学費と述べたが、実際に失うお金はこれだけではない。
人生単位で考えると、1年の留年で生涯年収が1000万下がる可能性も秘めている。

例えば、本来なら初任給25万(年収300万程度)の企業で働いたとする。
これだと、1年留年するならば、初年度に稼げたはずの300万がパーになるんだなと思うかもしれないが、これは誤りである。
実際には、就労開始から定年退職までの年数が1年短くなるため、定年の前年度時点での年収分、貰えなくなることになる。
就労先によるが、65歳近いと大ベテラン/役付きになっている可能性もあり、その場合は年収1000万以上になっているケースもある。

つまり、生涯年収から1000万近く、学費と合わせたら1回の留年で1100万も失ったことになる。
長いスパンで見ると留年による人生へのダメージは大変なものであるとお分かりいただけただろうか。

◎奨学金の差し止め/廃止
特に日本奨学金機構などから借りている場合は、ほぼ確実に支給が停止される。
返還については、追加で学費を払って引き続き在学する場合に限り、卒業後まで引き延ばすことができることが多い。

◎親に面目が立たなくなる
大学進学から現在の生活まで、全て自分の力とお金で成り立たせている学生には無縁の話かもしれないが、学生という身分で様々配慮してくれている親には基本的には面目が立たなくなる。
当然、留年することを伝えた時点で鬼のように怒られるケースがほとんどだが、大抵の人間はそれ以上に申し訳なさと情けなさが勝ると思われる。

◎就活に影響が出る
留年の理由はほぼ聞かれ、理由によってはかなり評価が下がることも考えられる。
しかし、しっかりとやむを得ない理由がある中での1度の留年であれば、マイナスに作用することはあまりない様子である。

なお、就活時に「留年はまあ仕方ないよ」と言ってくれる面接官もいると思うが、人間性や性格の面で難があるのではないかと探りを入れられるケースもあるため注意が必要。

◎内定取消の可能性
4回生で企業から内定を持ち、あとは卒業を待つだけの人が留年した場合、企業側に計り知れない迷惑をかけることになる。
加えて、内定自体も取消となる可能性が非常に高いため、9割強の人は就活をやり直すことになる。

◎社会的レッテル
実社会で「留年しています」という話をすることは皆無でも、社会人1年目では年齢の開示でほぼバレる。
理系大学や一部超難関大学に通っている場合にのみ、「講義が難しく卒業が難しい」「まだ研究をしたかったので自主留年した」などの理由も存在するが、一般的な中堅以下の文系私立大学生であればそのようなケースはほとんどないため、「不真面目」「だらしがない」「やる気がない」というレッテルを貼られる。
親戚一同で集まった際などに若干引かれるのはもちろん、場合によっては友達との距離も開きかねない。

留年のメリット

これは限りなく無いケースがほとんであるが、人によるところであるため一部紹介する。

◎自分を見つめ直す余裕ができる
現状の自分の生活や物事に取り組む姿勢、このまま社会に出ても大丈夫なのかなど、時間ができたことで様々考える人は一定数いる。
これによって留年するしないに関わらず人生を好転させる人も存在する。

◎お金の大切さを知る
もし、今まで親御さんから学費等を全て工面してもらっている人が、留年の費用は自分で払うことを指示された場合、お金を用意するのがどんなに大変かを身をもって知ることになる。

留年しないためには

そもそも、以下のことをしっかりこなすだけで"留年"というワードとは基本的に縁のない大学生活を送ることができるだろう。

◎講義は毎回出席する
これは当たり前、まさに基本中の基本。
出席点の有無に関わらず、確実に出席する。
講義内で資料が配られることもある上、欠席によって理解できない箇所ができることを防ぐ意味もある。

◎講義選びは慎重に
学びの場で単位を取ることに注力しすぎるのは本来の趣旨と外れてしまっているとも感じるが、現実として"単位をとりやすい講義"を選んだ方が落単ないし留年のリスクは格段に下がる。

◎知り合いと協力する
友達と同じ講義を取り、休んだ時にお互いに資料を提供し合う関係を築くことはおすすめ。
反対に、受けている講義に知り合いがいない状況では、万一欠席した際、その日の範囲の知識がすっぽり抜けてしまうリスクがある。

◎適度に復習する
その日の講義内容を次の日にザッと見直すだけでもかなり結果は変わる。
講義当日に覚えた気になっている知識は短期記憶領域に保管されているので、そのままではそう長く保たない。
だからこそ、せめて少しでも記憶を定着させ、試験前の勉強で思い出す労力を緩和するための復習は大事な行為である。

留年しそうな時は

留年しないための対策をしてこなかったり、対策は知っていたがサボってしまった人の中には、既に留年しかけている人もいるのではないだろうか。
そんな人はいますぐ以下の内容を確認し、いち早く行動に移すことをお勧めする。

やるべきこと

◎留年理由の再確認
なぜ留年しそうなのかを今すぐ確認すること。
試験やレポートの成績に問題があるのであれば、次回課題に備えて勉強をするしかない。
出席回数に問題がある場合、その欠席が病欠や大学の制度上で"やむを得ない欠席"であると証明できるものであれば、すぐに担当講師か事務局に相談するべきである。

◎不足単位の内訳
単純に取得単位の総数が足りないのか、それとも単位の種類(必修や専門選択など)の中に不足があるのかを確認する。

◎追加で単位取得ができる制度の有無
大学によっては夏季/冬季/春季の休業期間中に集中講義という名目で単位取得のチャンスが用意されていることもある。
また、他大学で講義を受講することでその単位を自大学でも認定してもらえる"単位互換制度"などを設けている大学も最近は増えてきている。

教授に頼み込めば単位をくれる?

結論、ほとんどの場合は拒否される。
理由は様々あるが、主に国/大学の取り決めによって成績評価は厳正に行うことと決められているため。
また、他の学生にも同様の対応をしなければいけなくなり、一人を許すことで最終的には評価制度の意味をなさなくなってしまうため。

昔は「菓子折りを持って研究室に行き、土下座をしてなんとか単位をもらった」なんて話もあったようだが、現在は教授自身、ひいては学校自体の信頼や信用を貶める可能性が高いため、そのような対応は一切しない方が非常に多くなっている。

進級/卒業できないことが確定したら

大変残念なことに、ストレートで進級や卒業ができないことが確定してしまった場合、以下の選択肢があります。

留年する

卒業を目指し留年をする選択肢。
ただし、取得が必要な単位によっては、ここでもいくつか選択肢が発生する。

◎前後期通学
受ける講義が通年(前後期通して行うタイプの講義)であったり、何らかの理由で前後期通して大学に通いたい人はこちら。
学費は丸々1年分かかるので、学校によっては100万円近く費用がかかる可能性がある。

◎半期休学→半期通学
前期(もしくは後期)開講の講義だけ受ける場合には、講義を受ける予定のない方の開講期間で"休学"することをお勧めする。
休学には3-10万程度の費用がかかるが、通う必要がない期間も学費を払うよりかは遥かに安く済む。

退学する

あまりおすすめはできないが、総合的にみて自分自身がこのまま大学に通えないと判断した場合は、最終的に退学を選ぶことになるだろう。
ただし、最終学歴は高卒になるため、今後様々な壁に遭遇する可能性は大いにある。

よくある疑問

上記でおおまかに留年について説明し終えたが、よくある疑問についても回答を書いておく。(記事にコメントなどあれば随時追加する予定)

留年した場合に学費は安くならないのか

A. 基本的にはならない。
しかし、一部の大学では「留年生は学費の一部を免除する」という制度が設けられていることがあるため、詳細は自大学のHP、学生部への問い合わせにて情報を探すことをお勧めする。

まとめ

とにかく、留年にはメリットが非常に少なく、逆にデメリットとなることが非常に多いことがわかっていただけたのではないかと思う。
既に留年危機、留年確定している方はともかく、まだ"留年"に縁がなさそうな人も十分に気をつけて大学生活を送ることを、強くお勧めする。

いいなと思ったら応援しよう!