物流アウトソーシングの費用について
~目次~
1:物流会社の料金設定と一般的な考え方について
2:物流のABC
3:アウトソーシングで「コスト削減」出来る理由は
4:「サービス」と「コスト」はトレードオフ
5:肝心なのは継続的な改善
1:物流会社の料金設定と一般的な考え方について
物流会社によって、料金設定が異なる事は皆さんご存じでしょうか?
大きく分けると「定額制」と「従量課金制」が存在します。
どちらか一方で運用している会社もあれば、相談の上でどちらも運用できる物流会社もあります。
ちなみに弊社は「どちらでも」運用が可能な物流会社です。
・定額制
一定のサービスと料金が予め決定しており、そのサービスの範疇のみで作業を行います。
毎月の費用が固定され、コスト管理が容易に出来る事がメリットかと思います。
ただし、対応サービスの範疇も固定されているため、臨時や緊急性のある個別の対応ができないことも多く、消費者ニーズが多様化した現代では課題も多く生じる可能性があります。
・従量課金制
サービス内容を事業者に合わせて設定し、作業単位で料金が設定され作業をした分だけ費用が必要になります。
毎月の費用が変動するため、コスト管理は一定ではなく定額制よりも管理は難しくなります。
ただし、事前に取り決めを行った各種様々な作業の対応が可能で、臨時・緊急性のある個別対応も可能です。
何より、物流支払いコストを変動化することで、閑散期でもかかっていた固定費が削減できるだけでも大きなコスト削減効果を生み出します。
弊社でお勧めするのはこの「従量課金制」です。
物流・ロジスティクスの基本となる「必要なモノ」を「必要な量」だけ「必要な時」に確保する物流事業において「必要なコスト」だけをかけるべきだと考えるからです。
2:物流コストの「ABC」
物流コストの考え方の一つで、「ABC」(Activity Based Costing)という考え方があります。日本語では「活動基準原価計算」となります。物流事業における作業(活動)ごとに原価を算定します。
物流事業といっても、その中身は複雑な作業の積み重ねによって成り立っています。現場を経験したことも見たこともない方であれば、イメージされるのは「保管」して「配送」するといった流れでしょうか?
ですが、実際の物流現場ではこの2作業(活動)だけではなく、下記の様に細かくは多くの作業が必要とされます。
・入 荷:トラックが到着し、トラックから荷卸しを行います
・入荷検品:届いた荷物と事前情報の照合、破損汚れを確認します。
・入 庫:倉庫内で予め決められた場所・棚へ移動し棚入れをします。
・保 管:求められた環境・状態での保管をします。
・管 理:賞味期限やロット番号など様々な情報・条件の下管理します。
・出 庫:指示通りに保管場所へ商品を取りに行き出荷場へ移動します。
・流通加工:値札貼やラッピング、ギフトセットなど付加価値を加えます。
・梱 包:消費者が受け取る形に梱包し、納品書やパンフレットを同梱。
・伝票作成:各運送業者指定の伝票を記入・出力し貼付します。
・出 荷:引取に来たトラックに荷物の積込を行います。
上記の作業(活動)という「Activity」に対してそれぞれの原価「Based Costing」を設定する。
これが物流コストのABCです。
先にご説明した、従量課金制の料金設定はこのABCを基に考えられていることが一般的です。
3:アウトソーシングで「コスト削減」出来る理由は
物流の「アウトソーシング」を考えた際に「コスト削減」を理由にされることが多くないでしょうか?
もちろん、当社にご依頼頂く事業者様からもこのご要望は大変多く頂きます。コスト削減を目的とされる事業者様が多いのは当然のことですが、そもそもなぜアウトソーシングすればコスト削減ができるのでしょうか?
アウトソーシングするという事は自社で、事業者様が自ら行っている作業と「同じ」事を他者へ任せるという事です。
自社では削減できないことが、他社で「同じ」事をして削減ができる。
普通に考えると少し不思議なことではないですか??
理由は「同じ」物流でも、アウトソーシングをすることで環境や条件が「変わる」からです。
その変化として大きな要素としては「場所」「配送」「人件費」「効率」の4点です。
●場所
場所が変われば、土地が変わりますよね。
都市部、中心地に構えたオフィスと同じ場所で使っている土地そのものの費用は莫大なモノかと思います。
広い面積を有する倉庫などはどちらかというと郊外地域に多く、単純に土地代が安くなります。
また、場所が変われば、環境が変わりますよね。
先と同様に、オフィス環境と同じ冷暖房完備の「人」が過ごしやす環境に必ずしも商品も同じ環境が必要とは限りませんよね。
これについては、逆に冷蔵・冷凍など特殊な環境を必要とする商品もあるため一概には言えませんが。。
●配送
当社の様な物流センターでは数万ケースの荷物を毎日入出荷しています。
そのスケールメリットをご一緒に活用頂く事が可能です。
1社で数十ケース入出荷するところと、1社で数万ケース入出荷するところでは運送業者の運賃が異なります。
何でもそうですよね?たくさん買えば割引が効く。全てにおいてそうではないですが、スケールメリットで運賃を削減できる可能性があります。
●人件費
多くの事業者様で物流事業を兼任されている正社員の担当者は多いのではないでしょうか?
当社様な物流センターでは物流作業を専任した正社員とたくさんのパート職員が在籍しています。
また、複数の事業者様から物流事業をアウトソーシング頂いているために、各社の物流事業を1人の従業員が兼任できるのです。
まさに時間と労働力をシェアをできる環境のため、特に正社員が本業と兼任されている事業者様と比較すると人件費を抑える事が可能です。
●効率
物流事業専門の設備と人材がいるために、日々の改善や一つ一つの作業の進捗も大幅に進める事が可能です。
正確な在庫管理から正確な作業、ムダとミスを省いた環境下では効率が上がる事は明白ですよね。
効率が変わればそれにかかわる人件費が変わる事になります。
これら「土地代」「配送料」「人件費」「作業時間」の削減がコスト削減の原動力となっています。
4:「サービス」と「コスト」はトレードオフ
コスト削減ばかりが注目されがちではありますが、現代の消費者ニーズではコストだけでなく「サービス」も疎かには出来ません。
物流コストの削減が商品の販売原価の削減となり、競争力を高めることが出来、物流の「チカラ」が未来の「チカラ」になる事は確かです。
ただし、消費者が求めるサービスクオリティーに届かなければ元も子もありませんよね。
物流事業におけるサービスとは何なのか?
例えば、今日注文したものが明日には届くという「リードタイム」や、商品が手元に届き箱を開けてアッと感激できる「梱包」。
他には商品と一緒に同梱された直筆の手紙であったりと、挙げればキリがありませんがその商品に付随する「付加価値」ですよね。
この価値を付加するためには「作業」や「特殊条件」が必要となります。
先に物流コストのABCとしてお話した通り、作業を加えれば合わせてコストが加わります。リードタイムという特殊条件を加えれば追加料金が加わります。
この様に、サービスとコストはトレードオフ(反比例)の関係にある事を予めご理解いただく必要があります。
5:肝心なのは継続的な改善
物流をアウトソーシングすることで、最初は一定のメリットを体感頂けると思います。これまで兼任していた作業がなくなり、本業に社員の労力を集約できる。
閑散期でも一定の物流コストがかかっていたけれど、変動費化となり年間コストは削減できた。などです。
ただし、これに満足していてはいけません。
本業となるコア事業においても日々、新たな情報や発想が生まれビジネスの形態は大きく変化しているかと思います。
物流をアウトソーシングしたからと他人事ではなく、事業者様の一事業である事、一部署である事を忘れず改善を求めることが大切です。
物流会社としても物流に関わる情報だけでは改善活動の限界があります。製造・販売部署とも情報共有を続け、本業の進む方向と同じ舵取りが必要なのです。
弊社では外部の物流会社ではなく、事業者様の物流部署、一部となって二人三脚での伴走型支援として継続的に物流事業における改善をご提供しています。