35歳テレビディレクター記⑤

「エビチリ」
キャバクラに好きな子がいる。
人気な子なので自分のところについてくれる時間は短い。
来たと思ったらすぐに他のお客のところに行ってしまう。
ふと前に目をやると、
向いに座っているのは”いかにも社長”みたいな中年男性。
隣には意中のあの子。
笑顔で何かを食べている。
あとで聞いたらエビチリだった。
自分よりもそのお客についてる時間の方が長い気がするし、
ヘルプでつく子も可愛い気がする。
これがエビチリの差か。
「エビチリを好きな女の子に差し入れる」という高度な恋愛テクニックか。
「自分もエビチリを差し入れすれば、
 あの子を振り向かせられるのだろうか?」
ヘルプの子に聞いてみた。
「関係ない」と言われた。

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