【一幅のペナント物語#20】We will, we will rock-fill !!
◉ジャンル探しをしながら20枚目までやってきたペナントの旅。細かい分類まで追求するとキリが無さそうなので、今回を一区切りにすべく、最後に持ってきたのは「ダム」! 確かにダムカードなんてのも誕生したりしてるので、当時ペナントにしようと考える人がいてもおかしくない。そういえばマンホールカードとかもあるし・・・と調べてみると、なんと今は『ロゲットカード』なるものがあるんだな。知らなかった!
2020年からサービス開始しており、2024年1月現在で総シリーズ数141種、約70万枚も発行されておるらしい。昭和のペナントは、こんなふうにコンパクトになって、壁に貼るのではなく、カード用のフォルダにファイリングされるようになってるわけか。くうーッ、集めたくなってきた。
◉さて今回紹介するのは「御母衣ダム」のペナントだ。総天然色感のある仕上がりで、特徴的なダムの全貌をイラストにしているオーソドックスなデザイン。緻密に描き込まれたダムの表面と穏やかに広がる御母衣湖。周囲の奥飛騨の山々には紅葉の気配。黄色とかオレンジもあれば尚情感豊かになったかも。なんとなく過去に紹介した足摺岬や法隆寺のものにタッチが似ているけれど、房の素材が違うので同じメーカーの商品ではないのだろう。こんなふうに出自が解明できないのもペナントの沼にハマる理由かもしれない。
◉「東洋一のロックフィルダム」御母衣ダムは、記憶が正しければ一度だけ通りすがりに見た記憶があるのだけど、今回、いろいろ調べていくと興味深いドラマがたくさんあって、ついついこんな動画を見てしまった。(二部に分かれてて全部見ると1時間半近いので要注意!)
ダムの建設って、イメージは持っていたが、こうやって見せられると圧倒的である。小さな町に匹敵する飯場づくりや、ダムを造るためのトンネルや道路建設から見せられると気が遠くなりそうだ。豪雪や洪水と闘いながら巨大なものをゼロから創り上げようとする人々の熱量は、きっとあの時代だからこその熱さがあったのだろう。今よりも技術面や安全面に劣っていただろう中で、命の危険と隣り合わせで働いた先人にちには頭が下がる。そりゃあ、こんなふうにペナントにしたい気持ちが湧くというものだ。
◉ペナント、特にこうした公共インフラのペナントというのは、観光地としてだけでなく、高度経済成長期に日本人が成し遂げてきた偉業の証でもあるかもしれない。映像の中で何度も繰り返される「万歳!」の声を聴いていると、重機が走り回る映像に、脳内でQUEENのあの曲が再生された。「We will rock you!」の解釈はいろいろあるけれど、僕は『Studio Webli』の主・Mr.マイウェイさんが唱える「俺たちは世界をあっと言わせてやる!」という案に今、一票を投じたい気分だ。「We will, we will rock fill!!」