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【一幅のペナント物語#30】ドラマに煽られるなんて優柔不断にもほどがある!

◉「OSAKA1970 EXPO'70」の文字が示す通り、1970年(昭和45年)の大阪万博の記念ペナントだ。紙製の台紙には「日本万国博覧会記念ペナント」とあり、あちこちの情報によればこの台紙で販売された別パターンのペナントが10種類くらいはありそうだ。右下の万博公認の証紙が厳めしい。なんたって非公認のペナントは無数に出回っていそうだもの。旗竿部には厚いフェルトのタグとリボンもつけられていて、レインボーの色合いといい、品のいいグラフィックにまとめられている。シンボルマークの桜の花のところは、銀色に見えるグレーになっているのもカッコいい。

◉実はこのペナント、欲しくて追加で買ってしまった一品なのである。きっかけは現在(2004年2月)TBSで放送中のドラマ『不適切にもほどがある!』の中で、阿部サダヲ演じる主人公の小川市郎が亡き愛妻と撮った写真の一枚に、このペナントを掲げている写真が出てきた。ほんの一瞬だったけれど、リアルタイムにペナント沼にハマっている僕には、クリティカルヒットだったのだ。

主人公が大事にしている妻との思い出セットの中に・・・

「これはネタとして欲しい!」そう思って、ヤフオクやメルカリを覗きにいってみると、かろうじて数点の出品が。既に取引が終わっているものには、1,000円以下のものもあったが、中には4万5,000円なんていうトンでもない値段で売りにだされているものも。いや「不適切にもほどがある!」と思うのだが、まあ、値付けは出品者の自由だからなあ。でもさすがにそれには手が出せず、手の届く値段のものを購入(それでも今、手元にあるペナント1枚当たりの値段に比べたら10倍くらいはしている)したというわけである。

◉以前「仁尾太陽博」のペナントを紹介したが、博覧会やオリンピックなどの期間限定イベントのペナントというのは、観光ペナントの中でもとりわけ思い出価値の高いものなんだと思う。二度と訪ねることの出来ない場所であり、同じ思い出を創ることは叶わない。大阪万博の前年に生まれた僕には、あの「人類の進歩と調和」のきらびやかな未来テーマパークの思い出はまったく無いけれど、僕らの少し上の世代にはディズニーランドなど比べ物にならないほどのキラキラした思い出を抱えている人が多いように思う。この写真の中の阿部サダヲの笑顔がそれを象徴しているかのようだ(妻との笑顔の温度差もいい感じ)。

◉このペナント、台紙の右下に「OZECK PENNANT」「パネロン使用」という表示があるので調べてみた。オゼックのほうはメーカーあるいはブランド名のようだが情報ヒットしなかったが、パネロンについては素性が判明。ダイニックという企業の前身である日本クロスが、1957年(昭和32年)に初めて国産化に成功した"織らない織物"(不織布製品)に冠したキャッチコピーと商標だった。この素材の誕生は、他の業界同様にペナントの世界に大きく影響を与えているかもしれない。


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