邦銀が適応されるBIS規制国内基準を考える

はじめに
BIS規制とは、国際銀行に適応される、国際的な約束のようなもので、特殊な方法で自己資本比率を計算します。この自己資本比率がある一定を下回ると、金融庁により銀行の解散命令等の厳しい罰則があります。日本の場合、これを国内銀行にも国際銀行とほぼ同様の計算方法で適応しており(本来不要)、かつ自己資本を棄損する不良債権処理も事実上強制しています。

※私は銀行家でもなく、銀行から金を借りているわけでもないため、内容は大まかに正しいとは思いますが、実際の運用等につきましては現実と多少ずれがある可能性があります。

銀行がBIS国内基準を守りつつも貸し出しで利ザヤを稼ごうとするとどうなるか?

銀行Aが100万円の自己資本(キャッシュ)を持っているとします。
この場合BIS国内基準で100万円貸したらどうなるのでしょうか?ざっくりバーゼル1で計算すると下記のようになります。

100(自己資本)÷(100(貸出)×1リスクウェイト(100%))=100%

信用創造で2500万円貸したらどうなるでしょうか?

100(自己資本)÷(2500(貸出)×1リスクウェイト(100%))=4%

BIS国内規制によると4パーセントを下回ると金融庁より早期是正措置が入る為、自己資本の25倍まで貸せることがわかりました。

貸出が焦げ付くとどうなるのか?

2500万円の貸し出しの1%(25万円)が不良債権化しそれを自己資本で補ったとします。この場合どうなるでしょう。

75(自己資本)÷(2475(貸出)×1リスクウェイト(100%))=3%

自己資本比率が3パーセントに低下しました。

自己資本が75万円の場合、貸出できる金額は75×25で1875になりますね。でも実際に貸しているのは2475その差は600になります。

つまり自己資本比率4パーセントまで貸し出しを増やした場合、棄損した額の24倍の貸し出し600万円を回収(貸しはがし)するか、自己資本を何らかの方法で25万円補填するかしかないことがわかります。

1000万円しか貸していなかった場合はどうなるでしょう。

100(自己資本)÷(1000(貸出)×1リスクウェイト(100%))=10%

↓1パーセント(10万円)自己資本が棄損した場合

90(自己資本)÷(990(貸出)×1リスクウェイト(100%))=9%

この場合元の自己資本比率10%に戻すにはわずか90貸し出しを回収すればよいことになります。

BIS規制下の銀行行動

上記の結果から下記の銀行行動をもたらすことが想像されます。

貸し出しが多ければ多いほど、貸し倒れ(不良債権化)により自己資本が棄損される倍率が高くなる

何かと似ていると思いませんか?それはFX取引などでよくみられるレバレッジです。

レバレッジとは?

レバレッジとは、FX取引などで、持っている金額の何倍もの金額で別の通貨を取引できる仕組みです。

例えば10倍のレバレッジで100万円の自己資金があれば、1000万円分まで別の通貨を売ったり買ったりできます。

この為、レバレッジを大きくかければかけるほどハイリスクハイリターンになります。(通貨の相場が変わることで得られる利益も、損害もそのレバレッジの倍率となります)

邦銀に課せられる4パーセント自己資本比率の意味

このように、BIS規制による自己資本比率が低くてもよいという事は、貸し出しを多くできることを意味しているというよりも、より自己資本が棄損する可能性が大きくなるハイリスクなレベルまで、貸し出しを許容・推奨しているとも言えます。

この為結局のところ、国内銀行であっても10パーセント前後のBIS基準による自己資本比率を維持せざるを得ないのではないかと推量されます。

地方銀行の決算|一般社団法人全国地方銀行協会

そして、そのハイリスクとは何かといえば、銀行が倒産するリスクではなく、金融庁に早期是正措置で業務停止命令を受ける(強制倒産させられる)リスクなのです。

この規制により名目GDPを押し上げ、税収を拡大し、活発な経済活動を引き起こす銀行の信用創造は20年余り抑圧させられ続けていると考えます。

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※ちなみに預貸率はアメリカ70%以上、欧州は100%を超えます。


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