電気自動車が増えたら、知っておきたい単位
もし電気自動車が増えたら、乗り換えを考えますか？
従来の車であれば、パワーは「〇〇ps」とか、燃料タンクは「〇〇L」、燃費は「〇〇km/L」など、単位が沢山あったと思います。
これは、ガソリンがSI単位の「リットル」で測っていたり、距離はマイルやヤードではなく、SI単位の「メートル法」で測っていたりするので、この単位になっています。
国際的に、ＳＩ単位に統一する動きがあり、例えば2019年には、「130年ぶりに、重さの単位Kgが改定」という話を覚えている人もいるかもしれません。
お互いに共通認識を得るため、重要な単位ですが、電気の単位をどれくらい言えますか？2030年にガソリン車販売禁止になったら、どうやって性能を比較しますか？
基本は数字を見て判断することになりますが、数字が大きい方がいいのか、悪いのか、判断する必要が出てきます。
特に、理科が嫌いでわけわからんって人も多いのではないでしょか。
ここからは実際に、「プリウス PHV」の諸元表を見ながら、どんな単位で表記されているのか、見ていこうと思います。
この記事を見て、少しでも単位に興味を持ってもらえたらと思います。
★バッテリーに使われる単位★
※プリウス PHV諸元表より抜粋
V[ボルト]→電圧
電気の圧力で電圧とイメージしましょう。この数字が大きければ、多くの電気を流すことができると思って大丈夫です。
Ah[アンペア・アワー]→電流量 x 時間
これは、流れる電流の量と、時間を掛け合わせたものです。上記の表の25Ahを例にとって考えると、以下のようになります。
5A x 5h =25Ah→「5Aで5時間電池が持ちます」
2.5A x 10h =25Ah→「2.5Aで10時間電池が持ちます」
ということです。
【重要】→総電圧とは
電気自動車や、PHVなどの、電気を蓄えて走る車の走行用バッテリーは、セルと呼ばれる電池の塊が、直列で接続されて構成されています。
電池を複数本使う、テレビのリモコンは、電池1本1.5Vで2本直列でつながっています。したがって1.5V +1.5Vとなり、総電圧3.0Vとなる訳です。
これと同じ状況なので、1セル3.7Vのものが351.5Vになるためには、95個のセルを搭載してますよという意味になっています。
kWh（キロワット・アワー）→k(1000倍の意味) x 電気の消費量
k（キロ）は、重さkgのキロと同じ意味で、1kg=1000gと表す通り、1000 x 1g→1グラムが千個あるという意味で、1000を表す記号です。
Wh（ワット・アワー）は電気の消費量を計算した式で、V(電圧) x Ah(電流量 x 時間)という構成になっています。
つまり、8.8kWhと書いたときは、8800Whと同じとなります。
電気自動車にとってのkWhは、ガソリン車の燃料タンクの大きさに相当する単位となっています。
例えば「12V25Ah」で使い続けたとすると、12 x 25で、「1時間で300W(300Wh)使う」こととなり、8800 ÷ 300 =29.3時間使える電池ということになります。
※ただし、電気自動車などは、モーター出力がペダルの開度で調整され電圧が一定ではありません。あくまで、およその計算です。ガソリン自動車も、アクセル操作で、燃費が変ります。すると走れる距離が変りますが、それと一緒です。
※ちなみにWhは、SI単位ではJ（ジュール）を用います。1J=2.778 x 10^-7kWhで変換できます。逆は、1kWh=3.6 x 10^6です。めんどくさいので、どちらかに早く統一してほしいものです。
★モーターに使われる単位
kW(キロ・ワット)→0.75kW=1馬力(PS)となっています。モーターの出せる出力（パワー）です。Whと似た並びですが、W(ワット)は、V(ボルト) x A(電流量)で計算された結果です。時間の概念はありませんので、意味が違います。
定格出力は、最低でもこの値なら安全駆動できますという数値で、最高出力は、加速などで一瞬だけとか、短い時間ならこのくらいの出力が出せますよ！という値です。
したがって、一瞬なら53kW(72馬力)をモーターだけで出せますよ！って言ってるわけです。でも普通に走るなら37kWで、49馬力くらいなら保証しますと言っているわけです。
一見少なく見えますが、このクルマはPHVで、ガソリンエンジンも並列で動くため、サポートのためだけにこれだけの働きをするともいいかえられます。
トルクに関しては、ガソリン車についても同じで、電気の単位というよりは力学の単位です。トルクの話はこちら→リンク
身の回りのものが電動化されるにつれ、こういった単位にはシビアにならないといけません。特に、AとAhを混同して書くと、意味が全く伝わりませんし、計算もおかしくなります。
単位について、注意は十分にしたいところです。