Travis Japanが千年メドレーを歌うということ

千年メドレー。

それはジャニーズ事務所に身を置くアイドルにとって、彼らを取り巻くファンにとって、伝統であり誇りであり憧れのステージ。

少年隊時代のPLAYZONE「MASK」の演目で、舞台中にも関わらず10分近く東山紀之が激しく歌い踊り続ける、まさに異例とも言えるダンスナンバー、それが千年メドレー。

「選ばれた者しか歌い踊ることができない」

そんなことを語り継がれるような神話性が、初披露されてから30年近く経った今でもアイドルを、そしてわたしたちファンを惹きつけているのだろう。

最後に千年メドレーが披露されたのは2012年の少年倶楽部プレミアム。

構成メンバーはメインに東山紀之、バックに平家派(光GENJIのバックダンサーとして活動していた坂本昌行、長野博、井ノ原快彦、城島茂、国分太一、山口達也)。まさに生きる化石のようなレジェンドメンバー。

そして。

時代が令和へと変わった今、Travis Japanは、千年メドレーの歴史上、最も長いであろう7年間の長い沈黙を破った。

センターにメインボーカルを1人置いて、複数人のバックダンサーを従えて踊るのがオーソドックスなスタイルだが、彼らは当時の振り付けをほぼそのまま、尚且つ歌割りとセンターの入れ替えも取り入れて、グループで披露する新たな形の千年メドレーを見せてくれた。

彼らが披露したのは「あの頃の千年メドレー」でも「千年メドレーの再現」でもなく、確実に「Travis Japanの千年メドレー」だった。
伝説とも言われてしまうようなハードルの高いこの曲を、彼らは完全に自分たちのパフォーマンスのひとつとして踊りきった。

千年メドレーへの憧れからは遠い世代の若い彼らの手で、千年メドレーにまた新たな歴史が刻まれた。

宮近は「東山(紀之)さんをはじめとする先輩方が大切にしてきた『千年メドレー』を、今回は僕たちがメインで歌わせていただいています。ジャニーズの歴史を引き継いでいるような感じがしてとてもうれしかった」と感慨深げに述べ、......

引用元: Travis Japanの魅力詰まった「虎者」開幕、吉澤閑也は一発ギャグ披露(公演 / 会見レポート) - ステージナタリー

Travis Japanが、今、千年メドレーを歌い踊るということ。

それは、今回の舞台「虎者」の企画・構成、そして今は亡きジャニー喜多川へ贈る「伝説の継承」なのか。はたまた、彼らの中に今も静かに熱く滾っているであろう「PLAYZONE」という舞台へのリスペクトと特別な思いを新たな形にしたものなのか。

理由は彼らのみぞ知るところなのかもしれない。

だが、令和の新しい時代に、新世代のジャニーズJr.でダンスを主軸にしたTravis Japanというグループが新たな魅せ方で千年メドレーを歌い踊ったことは、彼らにとっても千年メドレーの歴史にとってもひとつのターニングポイントになったのではないだろうか。

2幕終盤のナレーションの言葉を借りるとすれば、ようやく出航したTravis Japanという船。その旅の途中で、彼らは千年メドレーという伝説の武器を船に積み込むことを選んだ。
伝説の武器なんてものは、大抵いつだって容易くモノにはできない。だからこそ、手をかけて磨き上げていかなければならない。職人気質な彼らにはピッタリの武器だろう。

伝説の武器を選び着実にモノにしている彼らは、いつか必ず無敵の7人になれる。今日も力いっぱい船を走らせ続ける7人の道程を、これからも見守っていきたいと強く感じた。

その胸の勇気なら 誰にも奪えやしない
いつまでも まっすぐに
OH WE ARE THE RUNNERS, YOU ARE MY POWER

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?