ザスパ群馬の2025シーズンプレビュー(シーズン始動編)
2024シーズン、J2リーグ3勝で最下位となり降格、2025シーズンはJ3で戦うことになったザスパ群馬が始動しました。各選手の背番号も発表されましたので、契約更新や補強もほぼ終了。
本日、新体制発表会も開催され、YouTubeのアーカイブも見ましたので、今回は現時点での今シーズンのザスパの戦い方を考えてみようと思います。
2024シーズンの振り返り、河田監督の就任の際について書いたものについては下記をご覧いただけると嬉しいです。
まずは選手のIN/OUT
まずは今オフの選手のIN/OUTを整理したいと思います。ザスパのHPを遡りながら、手集計しているので漏れなどがあればご指摘ください。
IN
小西 宏登(←立命館大学)
小柳 達司(秋田より期限付き移籍加入から完全移籍)
山内 陸(←八戸)
野瀬 翔也(←阪南大学)
瀬畠 義成(長崎より期限付き移籍期間延長)
安達 秀都(神戸より育成型期限付き移籍)
西村 恭史(←長野)
加々美 登生(←盛岡)
下川 太陽(←讃岐)
青木 翔大(←秋田)
米原 秀亮(←松本)
田中 翔太(←鳥取)
OUT
細貝 萌(引退→4月より代表取締役社長兼GMに就任)
中塩 大貴(契約満了→相模原)
櫛引 政敏(契約満了)
平松 宗(契約満了→VOYAGERS)
杉本 竜士(契約満了)
和田 昌士(契約満了)
北川 柊斗(契約満了)
中田 湧大(引退)
酒井 崇一(契約満了→カターレ富山)
川上 エドオジョン 智慧(→藤枝MYFC)
樺山 諒乃介(育成型期限付き移籍期間満了→北九州)
佐藤 亮(→愛媛FC)
川本 梨誉(期限付き移籍期間満了→秋田)
天笠 泰輝(→大分トリニータ)
佐川 洸介(→期限付き移籍期間満了→秋田)
齊藤 聖七(→期限付き移籍期間満了)
仙波 大志(→期限付き移籍期間満了)
12人が加入、引退も含めて17人が退団ということになりました。
気になった点
昨夏に降格圏脱出のためにローンを中心に補強を行ったため、その選手たちがローン元へ復帰していることもあり退団が増えています。昨夏加わった選手では完全移籍で加入した河田が契約更新し、小柳がローンから完全移籍へ切り替え、瀬畠がローン期間を延長しました。
そして印象的なのはクラブ史上最高成績を残した2023シーズンの功労者たちの退団です。櫛引、中塩、酒井、天笠、川上、佐藤亮など2023シーズンの中心メンバーの契約満了が多く見られます。
特に天笠、川上、佐藤亮はそれぞれ大分、藤枝、愛媛とJ2個人残留を果たしました。プロ選手である以上、より高いレベル、より好条件のクラブでプレーしたいというのは当然のことです。ぜひJ2で存分にその力を見せてほしいと思います。
加入に目を移すとJ3で戦っていた選手を中心に補強しているのが目立ちます。ある意味でJ3仕様のチームを作る補強といえるでしょう。
気になるのは中盤のセンタープレーヤーを多く補強しているところ。天笠、仙波が抜けたとはいえ、山内、安達、西村、米原と4枚を補強(ダイジェストの総集編を読み、昨シーズンのプレーエリアを想定)。
契約更新をした風間、藤村、玉城、高橋(昨シーズンボランチ起用があったことを考慮)を含めると中盤センタータイプが8枚いることになります。
本日の新体制発表会で佐藤強化部長からこの点については「他のポジションも考えているし、超攻撃的サッカーをやるため」と発言がありました。
このあとに触れますが、超攻撃的サッカーをするためにはボールを扱える選手が必要→中盤センタータイプはボールスキルに長けている→多めに補強という流れなのだと推察します。
また、GKが補強なく3人体制になっています。キャンプに入るまでに補強があるのか、あくまで3人体制でスタートし、怪我やサスペンションがあった場合にローンで対応するという形なのかが少し気になりました。
これについても佐藤強化部長から「今は3人」という発言がありましたので、何かしらのアクションは起こしているということでしょう。
どんなコンセプトで戦うのか
J3降格初年度、監督やコーチングスタッフが総入れ替えになったザスパ。どんなコンセプトで戦うのかを推察します。
河田監督就任時にも、昨日の始動日の公式Xでのポストでも、本日の新体制発表会でも佐藤強化部長、河田監督が使っていた言葉が「(超)攻撃的」です。
この非常に曖昧で、ふわりとした言葉をどう体現するのでしょうか。エルゴラの田中さんが質問してくれました。河田監督の発言をまとめると
・一人一人がボールを扱い、ゲーム全体を支配する
(これが中盤センタータイプを多く補強したことに繋がる)
・GKからボールを前進させる
・敵陣ではPAへの侵入回数を増やす
・守備では短時間でボールを奪い切る
これらを開幕までの6週間で落とし込みたいとのことでした。おそらくミーティングやキャンプを通して河田監督から選手たちにより具体的な方法は落とし込まれると思います。
それらはプレシーズンを通して読むことができるであろう田中さんや笹川さんを中心とした取材されている方々の記事などから読み解いていくしかありません。
ボールをどのように奪い、運んでいくのか、どのエリアを優先して攻めるのか、セットプレーをどうデザインするのか、攻撃的に振る舞うための手段はたくさんありますが、それは河田監督が落とし込んでくれると信じるしかありません。
どうして超攻撃的サッカーをフィロソフィーにしたのかについては佐藤強化部長から「J2参入後、しぶとく戦って勝ち点を拾う戦いが多かった。それを変えたい」という説明がありました。
確かにこれまでのザスパの良さとしてよく挙げられていたのは粘り強さだったり、走力でした。それだけでは負けないサッカーはできるかもしれないけれど、点を取って勝ち切るチームは作れない。そういった判断がなされたのでしょう。
どんなシステムで戦うのか
以上のIN/OUT、コンセプトがあった上でどんなシステムで戦うのかを想像します。私が考えたのは3-4-2-1になります。
高澤
(河田)
(青木)
山内 田中
(下川) (加々美)
(小西) (小野関)
山中 田頭 (高橋) (船橋)
米原 西村
(安達) (風間)
(玉城) (藤村)
菊池 小柳 瀬畠
(中野) (秋元) (大畑)
(野瀬)
石井
(近藤)
(真木)
3-4-2-1を想像した理由は2点。①上述通りセンタープレーヤーが多いのでそれを最大限活かす ②サイドプレーヤーが少なくて各サイドに2枚置けないというものです。
センタープレーヤーが多いのでそれを最大限活かす
IN/OUTで触れた通り、中盤のセンタープレーヤーが非常に多い構成になっているため、最大限その選手たちを起用できるシステムを考えます。4-4-2だと2枚、4-2-3-1、4-3-3だと3枚、3-4-2-1なら4枚という単純な数字の計算です。
センタープレーヤーといっても攻撃的に振る舞うタイプ、アンカータイプ、ボール奪取が得意なタイプなど様々ですから、コンディションや試合の状況に応じて使い分ける形になりそうです。
シャドーの位置に鳥取から加入した田中を置いたら起用できるのは3枚ではないかというご指摘もあるかもしれません。その通りなのですが、昨シーズンJ3で8ゴール奪っている選手を使わない手はないだろうと考えました。
サイドプレーヤーが少ないので各サイドに2枚置けない
田中をシャドーで起用して、中盤のセンタープレーヤーで起用できるのが3枚なら4-3-3や4-2-3-1でもよいのではと思う一方、今シーズンのザスパの新体制ではサイドができる選手が少なくなっています。
左は山中、菊地、高橋(SBもやっていたので頭数に入れると)、右は下川、加々美、船橋、大畑、田頭あたりになるでしょうか。
枚数は揃っているように見えますが、例えば大畑は昨シーズンSBへの順応に苦労しましたし、山中はSBでの守備に不安を抱えています。船橋も昨シーズンはプレシーズンで怪我をしてしまい、1試合も出られず。加々美や下川にSBを求めるのは酷。
すなわち4-4-2や4-2-3-1、4-3-3などサイドに2枚(両サイドで4枚)置くシステムにはSBやサイドハーフの質・量ともにサイドでプレーできる選手が不足しているという印象です。
また、河田監督の前職が札幌でミシャの下でコーチをしていたことを考慮し、中盤センタータイプの選手に色々なポジションをしてもらうという発言を考える(宮澤や荒野がCBをしているように)と3-4-2-1が妥当な線なのかなと考えています。
1年でのJ3昇格は簡単ではない。でも期待したい。
ここまで好きに想像をしてきました。シーズン始まる前の想像くらい好きにしても怒られないでしょう。むしろそれが一番楽しいまであります。
今シーズンのザスパは「1年でのJ2復帰」を目標に掲げることになるでしょう。しかし、前回J3に降格した際でも2年かかっていますし、当時に比べてレベルは間違いなく上がっています。
2024シーズン、J3からJFLへ降格した2チームのうち1チームはJ2経験もある盛岡でした。昇格プレーオフを勝ち抜き2025シーズンをJ2で戦うことになった富山は11年ぶりのJ2。J3には讃岐、岐阜、鳥取など過去ザスパと多く対戦をしたクラブもいます。
そのようなリーグでJ3優勝、J2復帰(具体的な数字として河田監督が挙げたのは22勝、勝ち点68〜70)を達成し、「攻撃的」を体現するのはするのはそう簡単なことではないでしょう。
それでも佐藤強化部長は「超攻撃的サッカーをするためのメンバーを集めた」と発言しました。こうなったら期待するしかありません。
どんなシステムでどんなコンセプトでもいいから勝ちがたくさん見たい。それだけです。だって2024年は38試合で3勝、ホームでは1勝しかできなかったのですから。