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「ヒロインをレイプした仮面ライダー」の思い出

本日、9月13日は、アニメ的にはセカンドインパクトの日だそうです。

(『新世紀エヴァンゲリオン』では、2000年の9月13日に、20億人が死亡する大災害があったという設定)


しかし、特撮的には、9月13日といえば、仮面ライダーカイザの日です。

カイザは、2003年~2004年に放送された『仮面ライダー555(ファイズ)』に登場する悪役ライダー。
ファイズは「555」というコードを入力して変身するのですが、カイザの変身コードは「913」でした。

『アイドルマスター』には、2011年から、特撮好きのアイドルというキャラが登場しているのですが……。

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名前は、仮面ライダーBLACK(南光太郎 南条光)。
誕生日は、仮面ライダーカイザ(913 → 9月13日)。
という由来になっていました。


と、9月になって13日も経ったのに、一度も更新できていなくて、本当に申し訳ございません。

(次は「幸福の科学」についての更新の予定だったのですが、実は、すこし目の調子が悪くて、滞ってしまっておりました。2週間なにをしていたかは、あとで別のエントリで書かせていただこうと思います)


すぐに新規記事を書けなくて申し訳ないのですが、取り急ぎ、過去に雑誌に書いた記事の再掲載で、つながせていただきたく存じます。

以下は、2005年2月の『二次元ドリームマガジン』vol.21に書いた文章の再掲載となります。
(9月13日っぽく、仮面ライダーカイザの話です)


『仮面ライダーファイズ』

平成15年に、『仮面ライダーファイズ』という特撮が放送されました。

ファイズの特徴は、正義の魂を心の内に秘めて、あまり表に出さないこと。そのため、敵の怪人が現われても、右手をブラブラさせながら、だるそーに戦います。

その小説版『仮面ライダーファイズ正伝 ―異形の花々―』が、先日、発売されました。

いぎょうの

執筆者は、テレビシリーズ全話の脚本を担当していた井上敏樹先生です。
曰く、

テレビの場合多くの規制があるがそれをとっぱらった本当のファイズを書けばいい。
ファイズの真髄のような物語、自分が書きたかったことを自由に表現すればいいのだ

とのことで、つまり小説版は、テレビ版の制作者本人が手がけた、ある意味テレビ版以上の本物なのです。

以下、その「本当のファイズ」の物語とはどんなものか、ネタバレ全開で紹介させて頂きます。


結花と啓太郎

登場人物の1人・結花ちゃんは、テレビ版では、複雑な家庭環境のために、学校でも家でもいじめられているという設定でした。

しかし、小説版では、学校でいじめられるどころか、そもそも授業料がもったいないという理由で学校に通わせてもらっていません。
10代半ばになっても、ひらがなを読むくらいしかできないのです。

その家庭内の様子は、次のように描写されていました。

結花はよく地下室に閉じ込められたまま、食事も与えられず放っておかれた。
そんな時は、床を這い回るありんこを捕まえて口に入れた。
ありんこを食べながら(以下略)

リミッターを解除した本当のファイズは、少女がありんこを食べる話でした。
さらに、テレビ版では健常者だった結花ちゃんですが、小説では、いじめられ過ぎて口がきけなくなったという設定です。

少しでもミスをすると、赤く熱を持ったドロドロのガラスを結花の顔に近づけ、時には手足に押しつけた。
言葉を捨てた結花は、悲鳴を上げることもできなかった

そうして、彼女は髪の毛を天井の梁に渡し、自分の髪の毛で首を吊って自殺します。
しかし、それでも死にきれず、人間から怪物に変身する化け物として蘇るのでした。

そんな結花ちゃん(の人間体)に、啓太郎くんという純情な男が一目ぼれしました。
シャイな彼は、隣のマンションから双眼鏡で結花ちゃんの部屋を覗こうとしたり、偶然を装って会おうとマンションの前で待ち伏せたりします。

炎天下の中で日焼け止めクリームを塗り、日傘をさして根気よく待った。
ようやく結花が現われたのは、啓太郎が張り込みを始めてから21日目の夕方だった。

そうして、3週間のストーキングの甲斐あって、啓太郎くんは結花ちゃんにドレスだの指輪だのをプレゼントしてあげられる仲になりました。

そんな彼に対する、結花ちゃんの思いは……。

今まで接してきた人たちはみんな、どこか上のほうから結花を見下ろしているようなところがあった。
(中略)
でも、啓太郎は違う。

逆に、下のほうから結花を見上げている。
結花はありんこを思い出した。
おじさんの家の地下で床を這い回っていたありんこ。
啓太郎はありんこに似ている。
結花は何度指先でありんこを押し潰したことだろう。

そして、まさか自分がありんこ認定されているとは知らず、「ついにぼくにも彼女ができたんだ」と浮かれる啓太郎くん。
悲惨です。

そして彼は、次々とぜいたく品をプレゼントさせられて、あっという間に貯金を使い果たします。
実はぼく、もうお金なくなっちゃって……だからもう、なにも買ってあげられないんだ」

一方、ありんこをいびるのが楽しくて仕方ない結花ちゃんは、落ち込む啓太郎くんに、プレゼントを手渡します。
啓太郎くんが喜んで開いた、その中身は……。

啓太郎が結花に贈った品々が入っていた。
そしてその全てが切り裂かれ、壊され、潰されていた。
ハサミでずたずたにされた洋服類、ガラスの割れた腕時計、ぐにゃりと曲げられたイヤリングや指輪。
啓太郎は言葉もなく、それらの品々をじっと見つめた。

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