「妹ブーム」研究・その8(1998~99年ごろのエロゲ妹)
こちらの続きになります。
1998~1999年ごろの状況
1997年ごろには、「お兄ちゃん属性」を狙ったエロゲが多くなってきた……という話をしました。
その流れは続いて、1998年には、エロゲ妹がさらに激増します。
1998~1999年の「義理の妹」が登場するエロゲを雑に思い出してみると、
などなど、多すぎて紹介しきれません。
1997年と比較しても大幅に増えており、「えろ~げの世界では2世帯に1人は妹がいて、そのうち3分の1は義妹です」といった冗談も通じるようになっていました。(兄貴の館さんのアーカイブ)
人気のある妹系キャラは、『パレット』(1998年)の玉緒など、主人公よりも少しだけ年下の普通の女子校生が主流。
「館もの」のようなシチュエーション(社会人の兄と、年の離れた妹)は、ほとんど目立たなくなりました。
『With you』の乃絵美
そして、90年代末の妹キャラで圧倒的な人気を誇ったのは、『With you』(98年9月)の乃絵美でした。
『With you』は、ヒロインを集中的に掘り下げて描写するために、あえて攻略可能キャラを2名だけに絞ったという主旨の恋愛ゲーム。
乃絵美は、そのヒロインではない脇役で、最初はクラスメートとして作られ、一部スタッフの趣味で主人公の妹に変更されたキャラでした。
しかし、発売直後から
と雑誌に書かれるなど、明確に2人のメインヒロインよりも人気がありました。(コンセプト破綻?)
乃絵美は攻略不可能でエッチもできないキャラなのに、『イーログイン』の読者投票「アダルトゲームオブザイヤー1998」では、年間2位に選ばれてしまいます。
『電撃G'sマガジン』の「美少女キャラクター人気投票」でも、乃絵美は2001年ごろまで何度も1位になり、2000年7月号では「現在の妹ブームの立役者」と評価されました。
なお、『With you』は1998年のゲームですが、
という感じに、乃絵美は、のちのちまで高い人気が続きます。
妹専門ゲーム
乃絵美が圧倒的な人気キャラになることは制作者もまったく意図していなかったわけですが、当時の「妹」需要は高かったです。
てことで、1998年夏ごろからは、完全に「妹ゲー」として企図された作品が出てくるようになっていました。
恋愛ゲームの中の「攻略可能なヒロインの1人」として妹が出るだけでなく、より妹に特化したゲームが登場してきたのです。
(ゲーム全体が妹との関わりを主題に展開したり、ヒロイン全員が妹だったり……)
ただ、妹を何人も出すと、個々の妹の重みが薄れたり、設定が無茶になったりする上に、「妹が複数いることを生かした恋愛のシナリオ」を作るのは困難でした。
(結局、乃絵美のように、王道恋愛ゲームの中の1キャラとして登場する方が、妹の魅力が発揮され、評判が良かったりしました)
と、初期の「妹特化ゲー」は、セールス的には微妙だったものが多いです。
『歪んだ赤い糸』(98年9月)
広告文句は「ある日、偶然に見てしまった義妹の裸。それがきっかけで、兄である主人公の欲望は…」。
このゲーム、物語展開が突飛すぎて微妙なのですが、常に妹が中心の内容にはなっております。
(メーカーの社長が、1997年10月に官能小説の売上ランクに近親モノが多いのを見て、「時代は近親相姦だ」と企画したゲームなのだそうです)
■前半のストーリー
主人公が妹に夜這い → 途中で正気に返る → 「ごめんな、どうかしてた…早苗を毎晩見ているうちに我慢できなくなったんだ」 → 「私が無神経に追い詰めていたのね…。いいよ! お兄ちゃんなら」
ただし、主人公が童貞だった場合は、「へたくそー!」と妹に蹴り飛ばされてバッドエンドになります。
実は、ほかの女と経験してテクニックを身につけてから妹を襲うのが成功ルートだったりします。
■後半のストーリー
主人公が普通のエッチでは物足りなくなる → 友だちを誘って妹をレイプさせる → それを隠れてノゾいたら超興奮する → 途中で正気に返る → 「僕の早苗に手を出すな」と友だちをブン殴る →
→ 「こうして僕たちは本当の意味で結ばれた」 → ハッピーエンド。
ただし、レイプが終わるまでノゾきながらオナニーを続けると、妹が自殺してバッドエンドです。
主人公は、「これが普通のSEXに満足できなかったものに訪れる悲劇の終幕なのか…」と嘆くのでした。(IQ60くらいのシナリオ)
『まゆ』(98年11月)
登場人物が主人公と妹の2人だけという、純粋に妹オンリーのゲーム。
ストーリーはあってないようなもので、妹とエッチしまくるだけです。
『同級生2』の発売から、3年半以上。
1998年ぐらいになれば、「ある日突然、義理の妹がやって来た」という導入のゲームも出てくるわけです。
原画は『かりん』の影崎由那先生
この妹、甘ったるい毒電波ボイスで、脳がトロけそうな台詞をしゃべり続けるキャラでした。
「おにぃさまぁ、ふぁーふぁーしりゃう」(訳:フワフワしちゃう)
「まゆぅ、まゆのおしりぃ、にゅぽにゅぽいってゆよぉ、ぃやらしいよぉお、おにいさまぁ」(訳:私の肛門から卑猥な音がします)
「まゆぅ、おべんきょう、きらあぁ~い。だあぁって、ぱすかるのげんりとか、ふれみんぐのほーそくとか・・・、ぱすかるさんとか、ふれみんぐさんとか、ひとのなまえなんらよ。らってぇ、ずるっこだよ、まゆ、ぱすかるさんとか、ふれみんぐさんとか、会ったことなぃもん。いーひとかヤなひとかもしらないひとのこと、まゆぅ、おぼえられらいよ」(訳:私はバカです)
『モチーフ』(98年11月)
「突然やってきた、自分の妹と名乗る3人の女の子。本当に彼女たちが妹なのかはわからないが、主人公と彼女たちはひとつ屋根の下で暮らし始めたのだった」
というホラー……じゃなくて恋愛ゲームです。
突然やって来るのは良いとしても、素性の分からんヤツが3人も「妹です」とやって来るのは、さすがに怖いと思います。
妹たちの内約は10歳・18歳・23歳。
10歳は本物の実妹ですが攻略不可能で、個別エンドもエッチもありません。(湯上がりのバスタオル姿のCGだけ)
18歳は、家事をしたり世話を焼いたりしてくれる、やさしい理想の妹タイプでした。
ただ、この妹、毎週土曜日だけは、
「田舎から友達が出てきてて。ショッピングして……それからカラオケでも行こうって」
「帰りは遅くなると思います。お夕飯用意できないけど……」
などと外出します。
これが何の伏線かと思ったら、物語終盤。
実は毎週土曜日、彼女は男に会いに行っていたのだと判明します。
ある日、妹の男から電話がかかってきて……。
と、妹が男とセックスしている声を聞かされます。
妹ゲーだと思っていたら、寝取られゲーだったでござる。
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