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「妹ブーム」研究・その1(妹ブーム以前の文献比較)
1990年代後半~2000年代前半ごろの「妹ブーム」に関する話です。
話の都合上、過去の文章と内容が重複する部分がございます。
全部で4万字くらいで、話があちこちに飛ぶ長文になってしまいました。
だいぶ悩んだのですが、今回は「細かく区切った方が読みやすそう」ということで、ちょいと細かく分割させていただきます。
(noteの有料記事は100円より安く設定できないのでアレなのですが、記事を細かく区切って、「まとめ読み用のマガジン」を用意するという形にいたします)
たくさん更新する形になってしまうのですが、いちおう「更新4回分」に相当するものと思っていただけるとありがたく存じます。
また、本当に申し訳ないのですが、2月中に更新を完了することが厳しそうです。
大変恐れ入るのですが、「2月28日のうちに未完成の状態で更新して、3月になってから完成させる」という形にさせていただきたく存じます。
ごめんなさい。
1999年ごろに作られた「妹キャラの系譜」
1999年1月に、別冊宝島『空想美少女大百科』という本が発行されました。
それを見ると、「幼なじみ」「めがね」「ぷに」などと並んで、「いもうと」というジャンルが紹介されています。
下の図は、そこに掲載されていたものです。
※「木之元 桜」は「木之本 桜」、「久野月 菜」は「久野 月葉」の誤植
※初出順は鳴沢唯よりも砂沙美が先で、留美とみさきも逆。
(単純に初出の時系列で並べるなら、右列はたぶん「砂沙美→リムルル→唯→桜→弥生→月葉→鈴音」)
もしも、これを現在のライターに発注したら、「主人公が義妹や実妹と恋愛する作品」のキャラを中心にした図になりそうです。
しかし、90年代末に作られたこの図を見ると、12人のキャラを掲載しながら、その中に「兄に恋愛感情を持つ妹」はほとんどいません。
4人(早乙女優美・みさき・木ノ下留美・木之本桜)は「兄を持つ妹」ですが、兄に特別な感情はなく、普通に仲の良い兄妹。
3人(砂沙美・スクルド・リムルル)は「姉を持つ妹」で、そもそも実兄や義兄を持ちません。
※砂沙美については、いっしょに暮らす主人公を「兄ちゃん」と呼んで慕ってくる、「妹のような存在」とも言えます。
砂沙美は、『魔法少女プリティサミー』では実の兄妹という設定。
声優さんも「兄弟愛なのか男女愛なのかということは、ハッキリ描かれていないので、あえて深くは考えない」で声をあてたそうです。
(『なんたって砂沙美』)
残りの5人も、「兄を持つ妹」や「姉を持つ妹」ではありませんが、そうした「妹のようなキャラ」としてチョイスされています。
南弥生・美咲鈴音・秋穂みのりは「慕ってくる後輩の女の子」というタイプの妹分キャラ。
久野月葉は、「主人公が庇護する対象」「幼児期に一度別れて思春期に再会」など、テンプレ的な妹要素を含むキャラ。
鳴沢唯は、8歳のときから主人公といっしょに暮らし、戸籍上は他人である主人公を「お兄ちゃん」と呼び慕う、妹同然の存在です。
「いもうと」の進化論?
別冊宝島『空想美少女大百科』では、上の図といっしょに掲載された本文で、「妹」の歴史を次のようにまとめています。
古くは、実の妹にときめく心を呼び起こしてくれた、『みゆき』の若松みゆき。
そして、『くりいむレモン』の野々村亜美は、血のつながらない妹との「禁断の愛」の味を教えてくれた。
『同級生2』の鳴沢唯は、やはり血のつながらない妹として、野々村亜美の流れをそのまま受け継いだ。
しかしその後、この系譜は戸籍上の「妹」という概念から離れ、「マスコット的存在の妹分キャラ」へと変質していきながら発展を遂げていった。
リムルル、砂沙美、南弥生、久野月葉、木之本桜、そして美咲鈴音と順調に新しいキャラが現われている。
つまり、この90年代末のオタク向け商業出版物では、「義妹」は過去のもののように考えられており、妹は「義妹」「実妹」から離れて、「妹分キャラ」の方に発展している(!)という論旨になっているのです。
※なお、みゆきは血縁上の実の妹ではありません。
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