『オタク用語辞典』で「エロゲ」を引くと「エロゲは皆巨乳でつまらない」と書かれている
『大限界』発売
11月24日に、三省堂から『オタク用語辞典 大限界』という本が発売されました。
三省堂は、「新明解」「大辞林」などの辞書で知られる出版社。
その三省堂からの「辞典」となると、それなりの質が想像されるところです。
しかし、この本の内容は、そんなに良いもんではありませんでした。
そもそも、こういう触れ込みになっていて……。
立項も「自分たちの周り」基準、語釈も「自分たちの周り」基準。
最初から「自分たちの周りで使われている言葉」を載せるというコンセプトの本でした。
バブみ
たとえば、「バブい」の語釈を見てみますと……。
ここに書かれているように、「バブみ」は元々、女性キャラの母性にバブみを感じるという形で発明された言葉です。
それが、女性向けの作品などにおいて、キャラの赤ちゃんっぽさを「バブみ」という表現も使われるようになりました。
男性アイドルの可愛さとかを「バブい」というのが広まっているようです。
とは言え、現在でもDLsiteで「バブみ」で検索すれば、こんな感じ。
こっちの界隈では、さほど変化はありません。
別に、本来の意味が廃れたわけではないです。
それが『大限界』の語釈だと、本文では「バブい=赤ちゃんっぽい」という説明のみ。
本来の意味については、現在では使用例が少ないという感覚に基づいて、由来としてカッコ内で紹介するだけに留めていました。
たぶん、『大限界』を作った女子大生12名はDLsiteとか利用しないのでしょう。
そういう界隈は視界に入っていないのでナチュラルに無視して、「自分たちの周りの言葉」の話だけ書いていると思われます。
「辞書は三省堂」
まあ、それは触れ込み通りではあるので、「そういう本」だと思って読むなら問題ないと思います。
公式でも、色々な批判に対して、
……などという釈明を繰り返していました。
(「学生が、試行錯誤しながら作り上げた書籍です」が何の言い訳になるのか知りませんけど。とにかく責任感のない本です)
本の帯では、「辞書は三省堂」だの、
「女子大生、辞書を編む」だの、
まるで「辞書」の役割を担うべく作られた本だと誤認させそうな部分があるのですが……。
実際には、辞書というにはワードハンティングが不足しすぎで、『オタクの一部の界隈・世代の方言集』程度の、狭い認識を反映したものにすぎません。
既成事実化されると困るような内容も含まれてますし、井戸の蛙の見聞を『海洋総合辞典』というタイトルで出版するような行為には、釈然としないところがあります。
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