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『愛と誠』電子版の「基本的に発表当時の表現」という嘘

※この記事は9月18日に更新しました。マガジンとしては「8月分の記事」のところ、更新が遅れてしまっており、大変申し訳ございません。

概要

現在「ヤンジャンアプリ」で配信中の『愛と誠』について。

毎回、最後にこういうページが表示されるのですが、

これは嘘で、実際には「不適切と思われる用語や表現」を差し替えたものが使用されています。

たとえば、第46話の3ページ目には、こういう変遷があって……。

ヤンジャンアプリの電子版は「発表当時の表現」ではなく、1995年版を受け継いだものみたいです。

ほかの例を挙げると、第90話の会話シーンはこんな感じ。

これも、ヤンジャンアプリでは1995年版と同じ台詞でした。

その他、確認した範囲では、電子版の台詞はどれも1995年版と同じでした。

変更自体の是非はともかく、少なからず表現を変えているのに「基本的に発表当時の表現を使用」としているのは、良くないと思います。

「基本的に発表当時の表現を使用」と謳うのなら、原則として「70年代の言葉」から変更すべきではありません。
変更するにしても、80年代バージョンで良いと思います。
(現在の感覚で明らかにアウトな言葉は80年代に大体変更されており、90年代のものは原作者の死後に過剰な変更を加えた印象です)

……と、今日言いたかったことは、そんな感じで。
これだけで終わる話について、無駄に色々書いたのが、以下の文章です。

 


 

『愛と誠』とは

連載当時の『少年マガジン』

『愛と誠』は、1973年~1976年の『週刊少年マガジン』に連載しました。

当時の『少年マガジン』は、たとえばこんな感じ。

『週刊少年マガジン』1973年24号

キャラクターの顔と一緒に、作者の梶原一騎先生&ながやす巧先生の写真も並んでいるのが素敵です。

この号では『デビルマン』が終盤に入っていて……。

『週刊少年マガジン』1973年24号

『天才バカボン』も、有名な「等身大バカボン」の回でした。

『週刊少年マガジン』1973年24号

そんな時代の『マガジン』に連載して、トップクラスの人気を誇ったのが『愛と誠』でした。

『週刊少年マガジン』1973年24号

このガリ勉の岩清水くんは、中学生にして「きみのためなら死ねる!」というラブレターを同級生に渡した猛者です。

(いまのネットでも「ことばの洪水~」のコマが有名です)

『週刊少年マガジン』1974年25号(1974/5/15 発売で、今年で50周年)

 

『愛と誠』の影響など

パロディの有名どころは、Wikipediaに載っているので、

ここに載っていないマイナーなものを少し挙げると、たとえば、あだち充先生の実兄・あだちつとむ先生も『愛と誠』ネタをやっています。

『中学一年コース』1975年1月号

同じ「中学コース」の別学年でも、同時期に『愛と誠』ネタが見られます。

『中学二年コース』1974年10月号(沢田まさこ『KOばあちゃん』7話)

『カイジ』の福本伸行先生も、漫画家デビューする前、20歳のころに持ち込んだという読切がモロに『愛と誠』の影響でした。

たぶん1979年の作品(『カイジ×カイジ×カイジ』より)

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