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夏のすべてに額縁をはめこんだような日

眠れない夜もそりゃああるからさ、
夏のすべてに額縁をはめこんだような日に、
くたびれた顔を洗って、モーニングにでも行かないか?

勇気を出してよかったぁ、なんて記憶だけをオレンジ色の宝箱に詰めこんで、
山奥へ向かう道路脇に置いていこう

自分のお守りを自分で編み込みながら歩いていく。
比喩として、あるいはそうじゃないものとしてでもありながら、旅をしている。
言いたいように言えば、なりたかったものになれているかもしれない。
もちろん、自分以外のすべてが代価ではあるんだけれども。

歩いて、風が吹いて、歩いて、陰の中にいて、前を向けば壁があったりして、
勇気を出して入ってみた山奥の喫茶店で、
後悔とか羞恥心をL版に写しこんで、
それを歌詞カードみたいに眺めながら歌っている。

自分の声に心臓をなだめてもらって、
心情を柔らかい膜で包み込んで、
その中で風だけを感じている。
手を止めて顔をあげると、
長髪で白髪の店主がエアコンを強くしたので、
そろそろ、ひなたに出てみるのもいいのかもしれない。

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リズムの書き遺し
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