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世界の楽しさ
冷めたティーカップを横目に項垂れている
青年は虚ろな心で分かっている、僕は今大人になるのだ
今眠ってしまえば、弾けるバブルを見ないですむ
かつての大人たちが言ったのだ、全ては移り変わると
シャボン玉は高く飛んで割れる
お菓子は減っていく一方だ
春は冬へ向かうのみで
寒くなったら紅茶も冷める
僕より長いこと世界を知っているから、
世界の楽しさをもっと知っているんだと思ってた
操縦できない特急に突然乗せられて
行き着く先が悲しみならいっそここで、こどものままで
そんなことを考えても無理だよな、もう
どうせ選択肢はないんだ、僕
僕が一人目になる、世界の楽しさを知った大人に
夜を更かそう、珈琲を淹れよう、眠るにはまだ惜しい、
僕が楽しくするんだこの夜を。
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