自閉スペクトラム症や発達障害は遺伝なのか?②
前回、
様々な状態は
遺伝と環境で決まるという
話をしました。
では実際にはどんな風に決まるのか
について書いていきます。
環境と遺伝子で決まるという、
言葉のイメージだけからは、
「親に責任がある」とも
取れてしまいますが
誤解ですから、
是非しっかり読んでください。
・遺伝で決まる?
遺伝子で決まると聞くと、
ある特定の遺伝子が
「自閉症の遺伝子」なのか
「定型発達の遺伝子」なのか
でそれだけで決まってしまうという
イメージがつくと思いますが
それも違います。
自閉症の発症に関連する遺伝子は
どんどん見つかっていて数百あります。
それぞれが
自閉症の発症と「関連」するのです。
つまり、実際には
例えばAという遺伝子を持っていると
人の気持ちを想像するのが少し下手だったり、
例えばBという遺伝子を持っていると
言葉の処理が少し遅かったり
例えばCという遺伝子を持っていると
衝動性が少し高かったり
例えばDという遺伝子を持っていると
片付けが少し下手だったり
1つ1つであれば性格の範囲で済むものを
たまたま多く遺伝子に持っていた場合
子どもが自閉症になるというのが
今のところ、正しそうです。
さらに、遺伝子は
父と母からの1つずつ
合計2つもらうので、
例えば親の片方が、
Aの遺伝子を持っていたが
もう片方の遺伝子が、
自閉症の特徴が出ないように
機能してくれた
などもあり得ます。
なので、
症状がない=遺伝子を持っていない
は間違いです。
子どもが自閉症で、
親の片方が、少し特性があった場合、
「自分(あなた)の遺伝子で・・・」という
思いがあるかもしれませんが、
実際には特性がない方から
関連遺伝子が伝えられた可能性もあります。
さらに、自閉症の遺伝子が
全て悪いものか、というと
やはり違っています。
半数は知能の上昇とも
同時に関連します。
つまり、
単体で考えると、
良い効果を持つ遺伝子も
あるのです。
・環境で決まる?
環境で決まるといわれると
例えば、
英才教育をすると
自閉症になるのか?
自分たちの育て方のせいで
自閉症になったのか?
など
気になると思います。
大事なので、先に結論を言います。
「違います」。
遺伝に関しての研究で
実は、親が「環境」として
子どもに与える影響は
かなり小さいと分かっています。
なので、親だけが
「自閉症かもしれないが、環境を整えて頑張ろう」
と思っても厳しいです。
遺伝に関して研究され分かっているのが、
環境で大きな要素が
「土地」と「友人」です。
子に与える親の影響の
予想外の少なさと
友人たちからの
影響の大きさについて
書かれた分かりやすい一般書がこちらです。
興味があればどうぞ。
「子育ての大誤解」
さらに言うと、
今、分かっているのは、
「環境」が違えば、
自閉症の特性が目立たず
=診断されるレベルにならず
生きていける事がある
ということですが、
では「自閉症にならない環境」が
どういうものかは、分かっていないので
例えば「いい学校」「いい土地」で
自閉症を防ぐというのも
今のところ、難しいですね。
やっぱり、結構分かりにくい
記事になってしまいました。
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