第4回 発達障害の診断を子にいつ、どうやって伝える?


発達障害の診断を子にいつ、どうやって伝える?

<リード文> 
こんにちは。発達障害ファミリー父の、外科医ちっちです。
というわけで、違和感を感じてから5年。ようやく子どもたちに「自閉スペクトラム症」の診断がつきました。今日のテーマは「発達障害の告知」です。子どもにいつ、どう伝えるか?伝える方法について考えるきっかけは、というと・・・

長女の言った「わたしは障害者なの?」という言葉でした。

いつ伝える?~告知の時期~
一般的には、

①中学校1~2年ごろ
理由→ある程度、理解・分別もつき、かつ受験などのイベントまで少し期間があるから
 ②物心ついた時
理由→療育や手帳の使用、通級などで「周りと少し扱いが違う」ことを幼少期から本人たちは感じているから

どんな時期であれ、親が子どものことで「暗く深刻に」伝えた場合、
 子どもは自分自身のことを責めたり、よりネガティブに受け止める原因になります。


発達障害の人が持つのは
 「何か悪いことをしたわけではない。ただ一部のことが世間一般の平均よりかなり苦手」という一面です。
 人との関わりや仕事、勉学、など
日常生活に影響する部分に困りごとが出た時に、
「発達障害」や「自閉症」と呼びます。

告知の鉄則は、「明るく伝えること」、暗く深刻にはNG!

 例えば、近視も極端に言えば「視覚障害」です。
 でも、それを伝えるとき、親はどう表現するでしょうか。
 いちいち真剣に話す場を作り、暗い表情で

と伝えるでしょうか。





 ほとんどの場合は、特に気を張らず、本人へ

 「あー、視力落ちてきているね。まあ、漫画もゲームも面白いしなぁ。悪くなりやすいのかな。
眼科行って視力測ってもらって、眼鏡作ろうか。
 今は黒板見えてるの?席は前の方にしてもらう?」

 というのが一般的ではないでしょうか。
 

 発達障害の告知に関しても、親から行う場合は、
 本人に不必要な自責の念を抱かせないよう、
 分かりやすく、明るく伝えることが大切だと思います。

前置きが長くなりました。我が家の告知はどうしたのか?
まずは、いっちの場合です。

いっちから見た今までの流れ↓

学校で母とともに面談からはじまり
→通級が始まる
→児相の心理検査
→児童精神科医の診察
→半年後、再び児童精神科医の診察
 何度も大人が自分のことを話しあっているわけです。何だか分からないけど、
テスト(心理検査)を受けたり,医師らしくない医師と名乗る人

 と病院らしくない部屋で

いろいろと自分のことを聞かれるのです。
 
いったい何をしているのだろう、と思うのももっともです。
どの段階で「あなたは自閉症スペクトラムなのだよ」と説明するのか
わたしたちはかなり悩んでいました。
そんな時、いっちに
「私は障害者なの?」と聞かれました。

 

小2はまだまだ子どもだと思っていたけれど、大人の話を完璧に理解していた
 
いっちは、自分が何を検査されているのか、
医師や周囲が自分のことをどのように話しているのかを理解していました。

 発達検査と医師の診察後のことでした。いっちが珍しくバチっと目を合わせて、はっはに話しかけてきました。
普段は目線が合わないことばかりなのでドキリとしました。
 
 「ねぇ、お母さん。図書館で調べたんだけど、自閉症って突然叫んだりする人のことでしょう?いっちは違うと思う。いっちは障害者なの?」


 



いっちは知らぬ間に1人で図書館に行って、光とともに  や大人向けの自閉症についての本を を読んでいたのでした。驚きました。

この行動と問いかけがあったことで、頭が良く、自分で外部からの情報を調べることのできるいっちには、隠さず、嘘をつかずに説明するべきだと思いました。
 
一言でいうと
 マイペースで気持ちの切り替えが難しく、だらだらしてしまうことの多い長女いっち。
 
「いっちは他の人より心が大きいみたい。だから、動かすのが大変。だけど、一旦、動かし始めると、みんなより集中できる人。
 ただ、今学校でみんなと同じことを同じようにできないときがあるでしょう。
それだといっちが困って悲しい思いをするかもしれないから、
それはできるように変えていこう。そこだけだよ。
 先生は本人や周りが困っていたら自閉症、困ってなかったら自閉症とは言わないって話していたよ。
白黒ハッキリ分かれているわけではなくて、結局のところ個性だよ。
 それに、突き詰めて言えば、本に書いてある診断基準は、世の中の全員が当てはまることだと思う。
お父さんもお母さんも、これは当てはまるなぁというところばかりだよ。
だから手帳を持っているかどうかというのは気にしなくてもいいし、
家族以外には言わないからお友達には分からないよ」

 と伝えました。

 私たちが話している間、黙って目を合わせて聞いてくれていたいっちは、「ふーん」と腑に落ちない様子でした。



 

どうしよう。いっちは納得していないぞ。相手が話し終わるまで目を合わせてくれるくらい、とても興味を持っているこの話題。どう説明したらポジティブにとらえてくれるのだろうと、数日間あれこれ考えました。

 そうして考えた結果、言葉を足しながら、児童精神の医師からオススメされた、子ども向けの自閉症に関する本「あたし研究」(小道もこ)
という本を一緒に見て、
とにかくあなたは大丈夫、と言葉をかけました。

結果的に本からの情報をインプットする能力の高いいっちには、本を見せて説明する、というのが一番理解しやすく、受け入れやすいものでした。

 この本は自閉症スペクトラムである著者自身の視点から見た世界がイラストで描かれていて、低学年の子にも理解しやすかったです。
また、親から見ても、こういう世界で生きているのかと新たな発見が多かった一冊でした。

まとめ
告知はいつ?どのように?伝えるか?
答えは、それはその子の性格やその時の状況による、しかありません。次回にっちへの自閉スペクトラム症の告知も併せて、あなたの参考になれば嬉しいです。


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