タイトル『妻1』
その町には、死体をオルゴールに加工する職人が居る。
初めて見たその職人の作品はとても美しかった。
肋骨のボックスに入った宝石で作られたオルゴール、薄い黄色をしている。
なんでもこの宝石は血液や骨から作るらしい。
その宝石をオルゴールに加工しているのだ。
ネジを回してみる。
チュチュ、チチチ、鳥の声が歌い出す。
タイトルを見ると『メジロ』と書かれていた。
これはメジロの死体から作られているのだろう。
癒される。
それから、度々男の個展に私は顔を出すようになる。
職人は、少しオドオドした中肉中背の黒い縁の丸メガネをかけた冴えない男だ。
最初は意外に思ったが、こんなものだろうと、何処か納得した。
そんな男は、個展に度々顔を出す私を覚えてくれたのか、ある日工房を見てみないかと誘われた。
どうやら今までで最高の出来のオルゴールが出来たらしい。
妻も貴方が来れば喜ぶと男は言う。
男の妻は大層美しい女性だ。
1度写真を見せて貰った事がある。
私は男の工房に行く事にした。
工房に着くと、男が出迎える。
男は最高傑作だと見せてくれた男の妻は、声も美しかった。
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