見出し画像

白血病感染抄 Vol.5

白血病感染抄 Vol.5

内科学会雑誌 2024年5月号です!
今月何読みました?

勝手に國松先生のオマージュです。
特集は「他臓器連関を考慮したCKD診療」です。

血液疾患とCKDのトピックもありました。内科学会雑誌に数年前にも取り上げられていた気がしますが、MGRS (monoclonal gammopathy of renal significance)についての記載があります。

MGUSにM蛋白が関連する腎障害を合併した状態のことをそう呼ぶようです。MMに進行していないが蛋白尿を認め、CKDへ進行してくる場合、MGRSを疑う必要があり、診断確定のために腎生検を行う必要があるようです。

MGRSは進行すれば、透析が必要となることもあり、症候性MMに準じて早期に治療介入を検討すべきとのことです。
年1、2回のMGUSフォローかと思いますが、蛋白尿、腎機能のチェックを漏れなくしていきたいですね。

さて、白血病感染抄に参りましょう!!

◼️p836 中枢神経徴候を初発症状とした劇症型薬剤性過敏症症候群 (DIHS)の1例

自己免疫性肝炎(AIH)に対して、免疫抑制剤 + PCP予防目的のST合剤を内服開始後、6週後にDIHSを発症し、2週間後に死亡された症例です。

あれ?血液疾患じゃない??
そうなんですが、血液疾患領域でもよく使用するST合剤の予防内服に関連することなので、ご容赦を。

本症例は紅斑、発熱、リンパ節腫大、異型リンパ球の出現、肝胆道系酵素上昇、HHV-6の再活性化を認めており、DIHSと診断されています。

DIHSに非典型的な点としましては、意識障害を合併していることでしょうか。
意識障害に関しては、病理解剖までされた結果、サイトカインストームによる脳症ではないかと考察されております。免疫抑制剤内服中であることから、DIHSで再活性化したHHV-6やCMVによる症状が強く出たのでしょうか。

改めて、「くすりはリスク」だなと感じさせられる症例でした。

ST合剤による重症薬疹はどれくらいの頻度で起こるものなのでしょうか?Kucerを開いて調べました。

ST合剤を使用した10万人中1.5-2.8人と記載されています。HIV患者では一般的にアレルギーを起こしやすくなることが知られていますが、ST合剤による重症薬疹も多くなるようで8.4/10万人との報告があります。

また免疫抑制剤使用中のDIHSは重症化しやすいかが気になり調べましたが、特にそのような報告はみ当たりませんでした。

本報告は、免疫抑制剤使用中のDIHSは重症化しやすい可能性を示唆する重要な報告と思いました。

いいなと思ったら応援しよう!