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「世代を超えたつながりを通して生まれるワクワクをこれからも」- つながるキャンパスインタビュー 前編

概要:

つながるキャンパス(以下つなキャン)
「あなたの出会いと学び、挑戦をボーダーレスに」をコンセプトに日本全国のU24世代の若者および100を超える地域団体・企業・社会人サポーターが集うオンライン上の仮想キャンパス。

インタビューをお受けいただいた方:
高橋ひな子(たかはしひなこ)さん
NPO法人G-netで事務局としてつなキャンの運営をしている。
 
重田百合香(しげたゆりか)さん
千葉大学大学院の修士課程に在籍しており、運営にも参画している。


インタビュアー・執筆:茶谷力丸(Shakr Inc.)
編集:尾本将太(Shakr Inc.)


本文:


つなキャンの概要を教えてください

高橋)
つながるキャンパスはオンライン上にあるキャンパスというところで、2020年の4月から活動を始めました。元々はコロナ下における若者たちの支援という形で始まりましたが、もうすぐ1000名を超える若者、社会人が在籍するキャンパスになる予定です。
キャリアに関するセミナーであるとか、今参加してくれている重田さんのように、U24世代の若者でありつつもつながるキャンパスを作っていく作り手としてU24世代の若者たちが活動してくれています。
交流する企画を自分で企画運営して交流を図っていたり、社会人と一緒に大きい学園祭を催してみたり、そんなことをしているのがつながるキャンパスです。


つなキャンはどういうことを背景にして立ち上がったのですか?

高橋)
つなキャンは構想から1か月くらいで立ち上がっています。

新型コロナウイルスの影響で大学・高等学校などの多くが休校になった2020年4月に立ち上がりました。「大人でさえも1日中PCの前で過ごす、人と会えない状況がしんどいのに若者たちはどうしているんだろう?今すぐとにかく何でも良いから顔合わせて、話できる場所無いと駄目じゃない?」というノリと勢いでできたらしいです。実際立ち上げ当初つなキャンに入学してきた若者たちの多くが、友達に会えない・学校行事が何も無くて楽しみがない・留学が中止になったなどコロナ渦の影響で生活が大きく変わったことで不安や不満を抱えてい若者たちでした。


大学生以外の世代の若者も参加しているんでしょうか?

高橋)
今つなキャン生として参加しているのはU24世代の若者です。なので大学院生とか専門学生、何なら高校卒業して大学には通わずに、インターンシップをして4年間自分の世界を広げる挑戦をしているような子も参加してくれています。

一方でつなキャン生たちを支援する社会人は社会人サポーターと呼んでおり、今は160名くらい参加して下さっています。上は60何歳くらいから下は高校生、みたいな多様な人たちが集まっているのがつなキャンの特徴です。


普段のメンバーの募集方法みたいなものはどういう形で行っていますか?

高橋)
つなキャンの入り口としてはPeatixというイベント集客のためのグループ運営サービスのページを一年中設けています。前期、後期という形で区切りはあるんですけど、Peatixから申し込みをしたら誰でもいつでも参加できる形にしています。


高橋さんは事務局でどのような業務をされていますか?

高橋)
業務としては幅広くやらせていただいています。新しいつなキャン生たちの管理であるとか、ここからつなキャンをもっと新しく、面白くしていこうという取り組みを去年の冬くらいからかなり力を入れてやっています。新しいつなキャンがどんな場所になっていくとわくわくするのか、という構想を練るみたいなことをやらせてもらっています。


重田さんは普段どういう活動をされていますか?

重田)
まず1人のつなキャン生としては、つなキャンの中で色んな人と関わるということを純粋に楽しんでいます。私はずっと実家の千葉に住んでいるんですが、東京近郊の若者と関わる機会はあったとしても、関西に住んでるとか東北に住んでるとか全然場所が違う所にいる若者だったりとか、普段関わることのない社会人の方と気軽にお喋りするような機会ってなかなか得られないので、そういう交流をつなキャンの場で楽しんでいます。

次に運営側としては、つなキャンサポーターという立ち位置で色んな活動をさせて頂いています。
例えばU24世代の若者の視点からこんなことがあったらもっとつなキャンのU24世代の若者が楽しめるんじゃないかとか、もっと面白くなるんじゃないかというアイデアを出して、そこで色んなイベントを企画しています。

本当に大きいコミュニティですし強制力も無いので、入って何をすれば良いか分からないという新入生がつなキャンにはたくさんいるな、ということを私自身思っています。そこで、新入生が受けるオリエンテーションの場に参加させていただいて、新入生とコミュニケーションをして、つなキャンをもっと楽しんでもらえるようなアプローチを考えています。
私がよく参加している他のイベントとしてはラジオ企画があります。つなキャンの中のU24世代の若者や社会人の方をゲストに呼んで、その方に1時間くらいじっくり若者から色々な質問を投げかけていく中でお話を聞き、それをつなキャン生に向けてYoutubeで生配信をするという企画をしています。このイベントを通して「この人ともっと話してみたいな」といったような繋がりが生まれていってほしい思いで取り組んでいます。


つなキャンに参加して大変だったところは?

重田)
大変だったという程ではないと思うんですけど、参加している若者としては、最初の頃はやっぱり知らない人ばかりなので、イベントとかに参加するのに勇気が要りました。でもきっとそういう人は今も多いんじゃないかと思っています。
自己紹介とかをするSlackのチャンネルがあるんですけど、そういうのを見ていると、色んな所で活動している人が多いなという印象を受けます。なのでみんなすごく優秀な人だったらどうしよう、みたいな恐怖感みたいなものはありました。でもそれは何個かチャンネルに参加している内にそんなに怖がる必要は無いなという印象に変わっていきました。

つなキャンサポーターとして大変だなという風に思うことは、2つあります。
1つ目は、イベントをしていく時にそのイベントに参加してもらうとか、人を巻き込んでいくというのが、オンライン上のコミュニケーションだとなかなか難しい所があります。次はこういう風な企画を出してみようとか、こういう風に宣伝をしてみようとか、色々なことを試すんですけど、なかなか人が来た時と来ない時の法則が分からなくて、ずっとやっていても法則が見えて来ません。どういう風にアプローチしたらみんなが興味を持ってくれるのかとか、そういう部分が学つなキャンサポーターの中でもずっと課題です。

2つ目は、運営メンバーのオンライン上でのコミュニケーションも難しいです。お互いの距離を縮めたりとか、それぞれがどのくらい忙しいのかとか、どんなことがしたいと思っているのかなど、大学で普通にサークルとかをやっていた時では言わなくても分かったことが、言わないと分からないんです。
空気感が伝わりづらく、なかなか汲み取れなかったりとかして、「本当にみんながやりたいことをちゃんとできているのかな」とすごく不安になったりします。オンライン上でのチームの作り方というのも難しいし、今後も多分悩んでいく所だろうなと思っています。


高橋)
フェーズがいくつかに分かれていますが、大変なことしかないかもしれないくらいに大変ですね(笑)
若者たちは友達に会うことさえもできないっていうマイナスな状態から、それをどうにかこうにかしてゼロに戻せないかという取り組みでした。コロナ渦という誰も経験したことがない状況下において、誰もやったことが無いマイナスからゼロにする工夫をしていくという難しさもありました。

立ち上げから1年10か月くらいが経った今、置かれている環境としてはマイナスがゼロになりきっていない状況です。まだコロナの影響を受けていたり経済的な打撃を受けている子とかもつなキャンには入ってきています。
でもつなキャンではコロナでマイナスになった課題を抱えている子だけではなく、「普段から学校に何故か馴染めないな」とか、「就活の仕方とかキャリアセンターに聞きに行きたいけどちょっとな」と思っている子とか、「もっと何かに挑戦してみたいけど一歩踏み出せない」とか、想いをもった若者たちがいます。つなキャンはそういった日常の中にあるつなキャン生たちの困りごとを一つひとつ拾っていく場だなと思っています。
そうやって拾いつつ、でも困っていることを拾っていくことだけやっていたら楽しくないじゃないですか。なのでゼロからもっとプラスにしていく、もっとこうなったら良いなというのが山ほどあって、こうなったらいいながありすぎるという大変さが1番大きいかもしれないですね。今はそんな感じがします。

でも今日重田さんにも来てもらっているように、事務局がそれを担っていくというよりは、みんなが「もっとこうなったら良いのにな」というように走り回ってくれることで、どんどんつなキャンは面白くなっていくと思います。
多分重田さんも色々試行錯誤をしながら、「これどうしよう」ってなりながらやっていると思うんですけど、その手探りをしていくことに面白さを見出せるってなかなかない経験だと思うので、みんなで大変だって言いつつ楽しみながらやっているのかなと思います。


一方でやっていて良かったなと思う時ってどんな時ですか?

重田)
いっぱいありますね(笑)
ありがちな答えになっちゃうんですけど、色々な人と知り合うことができたというのはすごく良かったなって思います。
私は大学4年生になったタイミングでコロナ下になって、キャンパスに行けないとか、できないっていうことがたくさん増えてしまった中でつなキャンに入りました。つなキャンではオンラインでも色んな人と会えるし、色んな制限がされている中でもたくさんの人に出会って、色んなお話を聞く機会を得られたという点ですごく入って良かったなと思っています。

普通に生活していると、高校生や社会人と関わる機会って全然無いんです。つなキャンでは高校生から新しいことを勉強することもありますし、社会人の方と一緒に何かしたりお話しする中で「重田さんのこういう所は良いと思う」と自分を評価して頂いて、自分の知らなかった強みに気づいたりする場面も多いです。年齢問わず一緒に何かをするのはすごく良い経験というか、つなキャンに入って良かったなと思う所ですね。


高橋)
大きな花火が上がるような喜びとは、つなキャンの中にいて感じるものってちょっと違うなと思っています。つなキャンはいつでも来たいと思ったら来られるとか、日常の中にあることを大切にしています。

社会人の方たちでも、すごくきらきらした生き方をしている人がいっぱい集まっているという訳ではなくて、つなキャン食堂やつなラジ(YouTubeで行っているラジオ番組)の中で「最近子供がさ」みたいな事をお話されている働きながら子育てをされているお母さんとか、普通の会社員をしている人がセミナーの講師だったりします。そういう日常の中にあるきらきらした何か、みたいなものをすごく大切にしているなと思っています。

たとえば私は社会人のサポーターの方たちと一緒に週に2回、2時間Zoomでつなキャン食堂をずっと開いています。そんな中でつなキャン生からDMで「高橋さん、僕修論書き終えました」っていう投稿してきてくれたので、「お疲れ、お疲れ」って言ったんです。
そうしたら「僕つなキャンの中でイベントとかセミナーとか中々時間が合わなくて、やっぱり修論の研究が忙しくて参加できていなかったんですけど、でも食堂の15分とか20分とか、ちょっとご飯を食べる時間に食堂があったから、研究室の中で閉じこもってる生活じゃなくて、自分自身が人と交流する楽しさが、こういう状況だったからこそより感じられたし、あの気を紛らわせる時間があったから書き終えられたと思います」みたいなことをDMで送ってきてくれて、本当にそういう些細だけどちゃんと誰かの日常をちょっとハッピーにしている感じが、私にとってはつなキャンをやっていて良かったなというか、やっている価値を感じた瞬間ですね。


普段のコミュニケーションはどのように行っていますか?

重田)
Slackというアプリを使っています。Slackって色んなチャンネルができるんですよ。もちろんつなキャンに入った時から自動的に入っているような事務局からの連絡が来たりとか、イベントの宣伝とか、そういうチャンネルもあります。またそれ以外に自分で作ったりもできるんです。その作ったチャンネルが大学のサークルみたいな感じになっています。

色んな地域に住んでいるU24世代の若者がいるので、地域のチャンネルみたいなものがあったり、あとは好きなものや趣味のサークルとか、好きな国とか行ってみたい国のサークルなどがあります。私はずっと中国語を勉強しているんですけど、中国語を勉強しているという人がたまたま同じイベントの中で何人かいて、じゃあ中国語のサークル作ったら面白いんじゃない、みたいになったんです。それがきっかけになって、イベントを一緒に企画していた若者が主体になって中国とか中国語を勉強したいとか勉強してる人のチャンネルが立ち上がった、なんてこともありました。

サークルではその中でイベントに参加したり独自の活動をしている場合もあるんですけど、本当にそこに入っているだけ、みたいなものもあります。たとえば私だったら行ってみたいなと思った場所のチャンネルに入って、そこで投稿している写真とか見て、綺麗だなとか食べ物美味しそうだなって鑑賞するだけ、みたいな目的で入ったりもしています。


運営で気をつけていることはなにかありますか?

高橋)
運営サイドとしては色々な工夫をしています。

来年度前半くらいには1,000人を超えるキャンパスになることが想定されているので、大きく2つのことに取り組んでいます。
まず新入生が入ってきた時にオリエンテーションという形で、グランドルールや基本スタンス、つなキャン内で出来ることを説明をしています。
基本スタンスは「自分で動かないと何も起こらないのがつなキャンだよ」とか「これだけ多様な人が集まっているから、ちゃんと配慮をするというところはルールだよね」というところです。
次にシステム的な部分では110番窓口を設けているので、今までは知り合いの事務局の人などがいないとなかなか相談できなかった人も、ちゃんと何かあった時にヘルプを出せる環境づくりを進めていっているところです。

このように運営で工夫していることもありますが、つなキャン生自身も喧嘩したり、ちょっとあの子と上手くいっていないんですよね、というダイレクトメッセージを運営の人間に直接送ってきてくれます。
多分社会人とかU24世代の若者とかそういう差が少ない分、何かあった時にちょっと仲の良い友達に相談する感覚でダイレクトメッセージをめちゃめちゃ送ってきてくれたりするっていうのは、多分つなキャン生たちにとって安心して全然知らない人と関われる場作りができているからなのかなと思っています。

後編へつづく


○リンク

ホームページ:  つながるキャンパス
Twitter: つながるキャンパス|2021年度入学者受付中✨ (@tsunacam)
Instagram: つながるキャンパス (@tsunacam)
note: https://note.com/tsunacam/
Peatix:  つながるキャンパス


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