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363. Táncos Jani kis csizmája (Magyar cigány botos tánc)
カフェ・ジプシー音楽はハンガリー民謡でもジプシー民謡でもない
前回お聴きいただいたように、カフェ・ジプシー音楽とジプシー民謡は全く違いますし、カフェ・ジプシー音楽はハンガリー民謡ではありません。それなのに、なぜ混同されてしまっているのか。普遍的音楽であるクラシック音楽が国外で演奏する機会の方が、ハンガリーの民謡を演奏するよりもはるかに多いからでしょうし、特に日本はヨーロッパから遠いですからね。「ハンガリー舞曲」なんてタイトルなら、フォークダンスの曲=民謡だと思っても無理はありません。ハンガリー民謡もジプシー民謡もカフェ・ジプシー音楽もジプシーの人が演奏しているので、反対にハンガリー民謡がジプシー音楽だと勘違いされていることもあります。
ご存知のように、ジプシーの人たちは音楽の才能が抜きん出ているため、ハンガリーで「ジプシー」と言えば「音楽家」の代名詞と言われるくらいです。そのような人たちが各地で演奏している中、ある人は村の結婚式やターンツハーズで演奏し、ある人は都会のカフェに進出し、即興で超絶技巧を弾いてチップを稼いだことでしょう。もしかしたらこの両方をやり遂げる人だっているかもしれません。彼らは聴衆の希望を汲んでいかようにも演奏できる実力があるのです。ですから、踊りやすいように弾くことも、郷愁たっぷりにテンポを引っ張ったり超絶技巧でお客さんのハートをつかむことも自由自在なんですね。
ジプシー民謡
そんなジプシーの人たちですが、ここからはジプシー民謡について話したいと思います。ジプシーの起源は古く、分布も広大なため、ここでは詳しいことには言及できませんが、ジプシーのリズム感と言ったら、とても太刀打ちできない領域です。私たちが何かを歌ったり演奏したりするとき、演奏前に拍(テンポ)をとりますよね。それは強拍で1,2,3,4、あるいは、いち、に、さん、ハイ!で演奏を始めます。ジプシーの人たちはこの1,2、3、4、がすでに裏拍です(!!)。
今回の歌は、ハンガリーの踊りには珍しい3拍子の曲です。男性が棒を自在に操り、戦うように踊ります。
Táncos Jani kis csizmája
Táncos Jani kis csizmája
Beleesett a Tiszábba
Eridj Borcsa vedd ki neki
Hadd táncoljon táncos Jani
ダンサーのヤニの小さなブーツが
ティサ川に落っこちた
来てよ、ボルチャ、引き揚げてよ
ヤニが踊れるように
発音動画。パスワードは abc です。
https://vimeo.com/523393972
演奏です。パスワードは同じく abc。
https://vimeo.com/523394048
演奏:Kalyi Jag “O SUNO” より
#音楽 #ハンガリー民謡 #ハンガリー民俗舞踊 #フォークダンス