トルコ自毛植毛体験記

前頭部の薄毛に悩む日本の皆様こんにちは。
去る2024年秋にトルコにて自毛植毛手術を受けてきました。

やはり日本だとコストが馬鹿にならない事もあることから、医療ツーリズムの盛んなトルコでの植毛手術に関心がある方もいるのではないかと言うことで経験者としてどういった形で進むのか、術後の経過の備忘録も含めて書き残していきたいと思います。


クリニック詳細

クリニック名: Natural Clinic
所在地: Çobançeşme, ATAKÖY 7-8-9-10.MAH, Yan Yol NO: 8, 34158 Bakırköy/İstanbul

おそらくトルコでの植毛を調べた方なら一度は聞いたことのあるクリニックだと思います。
私が調べた時は日本の植毛ブローカーのような方が現地通訳など含めたツアーを行っていたかと思います。
私は基本的に英語使用に問題がないので直接やり取りして個人で手術しています。

費用

手術費用: 1650ユーロ
オプション: Fibroblast Injection 450ユーロ
渡航費: 250ユーロ
総費用: 2350ユーロ(+食事など)

手術費用は私がオンライン相談を申し込んだ段階ではサマーキャンペーンをやっているという話だったので1650ユーロでの案内でした。
この料金にホテル代金(3泊)、空港・ホテル送迎も含まれています。
キャンペーンが終わったらいくらになるか聞いたときはまだわからんとコンサルタントに言われましたが、恐らく2000ユーロ程ではないかと。
オプションのFibroblastは、流石に初めて聞く単語でしたがどうやら自分の細胞から採取した成長を促す因子を培養して注射することで植毛部の定着と生育を促すものらしいです。
正直どの程度効果があるかもわかりませんし、最初は600ユーロと言っていたものが支払い段階で450ユーロになったので交渉したら200-300ユーロくらいになるのではないかと思います。
コンサルタントがベストリザルトの為に付けてほしいと言ってたのでまぁ付けました。いい人だったんで彼のインセンティブになってもいいかなと。
私は海外滞在中だったので、滞在先からトルコへの渡航費往復250ユーロ程で済んでいますが、日本から来られる方は10万円程度は最低掛かってくるでしょう。
それ込みでも日本でやるより格段に安く抑えられるのは間違いありませんが。

手術の流れ

トルコ到着日

到着日の早朝6時にイスタンブールに到着しました。
クリニックの送迎車が待機していて、クリニックまで送ってくれます。
7:30頃にクリニックに到着。待合で少し待ったあとコンサルタントとブースに移動し問診や手術の流れの説明等が行われました。
問診は、既往症の有無、服用中の薬、アレルギーの確認等。
手術の流れとしては、
初日は血液検査とドナー部植毛部の確認
2日目に手術
3日目はホテルで休息日
4日目(出発日)にクリニックで洗髪して洗い方などのレクチャー
という流れです。
私の場合はM字部分と額を狭める形での植毛を依頼しました。結果として3500graftsを採取、植毛するという形で落ち着きました。
流れ等一通り確認したあとに支払い、血液検査を行ったらホテルまで送ってもらいました。
滞在先はこちら。

手術日

7:30 ホテル発でクリニックに向かいます。(実際は車が来ずに8時過ぎでしたが)
クリニック到着後はオペ室に案内され着替えたあとに、剃髪の確認をされました。
ドナー部だけの剃髪もできると言われましたが、その後の洗髪やドナー部を隠すのに苦労しそうだと思ったので丸坊主にしてもらいました。

別室で剃髪後、手術室に戻り手術スタートです。
流れとして範囲で、
1.ドナー部局所麻酔(10分程) 
2.ドナー採取(時間間隔が全くないのですが1.5-2時間程)
3. 植毛部局所麻酔(10分程)
4. 昼食(20分程)
5. 植毛手術(2時間超)
となっています。

麻酔時はそれなりに痛みがありますが、麻酔のお陰でドナー採取、植毛ともに痛みも全くなく進みます。
ただただやることがない虚無の時間を耐え忍ぶ事になります。
15時過ぎに植毛が終わり、ドナー部には包帯が巻かれ、クリニックのヘッドバンドのようなもので圧迫された状態で手術終了です。
この段階ではまだ麻酔が効いているので感覚は鈍いですが、麻酔部に痛みと浮腫んでいる感覚があります。
術後は睡眠時に5日間使用が必要なネックピローと抗生物質、痛み止め等の処方薬の説明があります。
服用方法について問題がなければホテルに送迎してもらい、当日残りと翌日は休息日となります。
ホテルに着く頃にはかなりぐったりしていてその日はなにもする気になれなかったのですが、麻酔が徐々に抜けてきて痛みや不快感があるためまともに寝付くこともできませんでした。
ネックピローを使って横にはなるのですが、ドナー部から血が混じった体液が滲み出てくるのでホテルのタオルを使わせてもらいました。
翌朝にはタオルとシーツ一部はかなりグロテスクになっていましたのでネックピロー直使いだけはお勧めしません。

3日目(休息日)

この日は1日特にやることもなくホテルでダラダラ過ごしていました。
簡単にシャワーは浴びましたが、頭は触るわけにはいかないのでかなり不快な状態です。
午後に翌日の送迎と洗髪についでに連絡があり、ホテル内で簡単な食事を摂り、薬を忘れずに飲んだところで就寝です。

4日目(出発日)

私はフライトが夜だったので昼にチェックアウトから送迎。
包帯等を外し、洗髪してもらったあと英語の話せる人が来て洗い方と注意点等について説明を受けました。
洗い方については、術後に渡された紙にもどのように洗うか、禁止事項等も書いてありますし、コンサルタントとは術後の経過等についても連絡しますので忘れてしまっても問題はありません。
忘れてしまったからといって適当に洗ってしまうのが何より最悪のケースです。

その後空港まで送ってもらい出国。
手術旅終了となりました。

クリニックの感想

私自身、医療関係の仕事をしているという点も含めての率直な感想と評価ですが、正直いってお勧めしません。
たまたまかも知れませんが、私の手術を担当したスタッフ3名からはプロフェッショナルとしての責任感や仕事振りを一切感じませんでした。
またクリニックの感染対策(一般にInfection Controlと医療機関で呼ばれるもの)についてのプロトコルが守られていません。
正直結果が出なかったとしても、「そりゃそうだよな、あんな人たちが手術したんだから」と納得できるレベルです。
いくつかポイントはあるのですが大まかには以下が私が懸念した点です。

・マスクをまともに着用しないスタッフがいる
男性スタッフ1名はドナー採取中、鼻をずっと覆わない形で着用していましたし、話しているときはマスクが動いて口上部も顕になるような状態でした。
私がドナー採取後の麻酔中に注意して午後は着用していましたが、正直手術を行うようなクリニックでこのようなスタッフ教育すらまともに行えないというのはクリニックの質に疑問を呈さざるを得ません。また他2名のスタッフもその点を一切気にも掛けなかったというのは医療関係者として信じられませんでした。

・手術中に通話を始めるスタッフ(恐らく家族と)
別に手術中にスタッフ同士で話すくらいなら私も構いはしません。マスクさえちゃんと着けてくれているなら。
ただ、女性スタッフの携帯に着信があったあと、事もあろうに男性スタッフにお願いして掛け直して通話を始めた事には唖然としました。(相手の話し方的に家族だったと感じました。)
また男性スタッフは間違いなく携帯電話という細菌の塊を触れたはずなのですがその後手袋を変えた素振りは一切有りませんでした。

・手術中に室外から入室するスタッフがマスクは疎か手術着も着ていない
手術中、数人が部屋に入ってきました。
一人はスーツ姿のコンサルタント(私の担当ではない)、一人は医療スタッフのマネージャーと思しき女性、もう一人は別室で手術をしているorしていたであろう女性。
まずスーツ姿の男性は私の中では論外です。通勤からトイレまでその姿で行ってる人間が、PPE無しで手術室に入ってきてスタッフとお喋りなど普通の神経では有りえません。
マネージャーともう一人の女性よ服装は手術室に入るには問題ありませんが、お喋りするならマスクは着用すべきです。
このあたりから、このクリニック(もしくはこの国)にはまともなInfection Controlという概念が存在しないのだなと感じました。

考えても見てください。
私の頭はドナー採取と植毛のために穴が開けられて、絶賛傷だらけの状態なわけです。
つまりあらゆる感染原に対して無防備な状態。
そんな人間が手術台に寝ている状況の部屋にズカズカ入ってきてマスク無し、スーツ姿でお喋り、スマホを触って手袋なし。
日本のみならずまともな国のまともなクリニックならまず有りえません。

私はトルコの他のクリニックについては存じ上げませんが、このような環境で手術が行われることを容認される方以外には当該クリニックはお勧めできません。
もちろん手術結果が数ヶ月にどうなるかにもよりますが、それでもあのような手術環境は私には到底容認できません。
コンサルタントには術後にあれこれ説明しましたが、
Well, I wasn't there but every personnel at the clinic and the world knows that mobile phones carry the most bacteria. I'm sure you didn't like a couple of things and everything didn't seem right at some point. Which is very normal.
Don't let one unprofessional act ruin your entire experience. Okay?
とかいう返事がきたので、「あ、この人もクリニックでの感染対策の重要性を理解せず働いてるんだな」と理解しました。

費用は1/10程度ですが、日本なら極論ここの100倍の責任感とプロフェッショナリティで仕事をしてくれると思います。

終わりに

以上が、トルコでの実際の植毛手術の流れ私の感想になります。

術後の経過についてはまた別記事でまとめていきますのでそちらを参考にしていただければと思います。
他にご質問等あればnoteでご連絡いただければ加筆や次回記事でお答えさせていただきます。

ではでは。

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