ラダトーム城(ドラクエ1)楽曲解析
ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第3弾。
ドラクエ1には城がラダトーム1つしかないので、曲名もずばりラダトーム城。2声のバロック音楽ということで、バッハのインベンション(とくに13番)を連想する格式高い曲調である。
動機
x:8分音符x4。上声は保続、下声は下行でジグザグする音形
y:8分音符x4。第一音が最高音のアルペジオ
z:16分音符の刺繍音を伴ったアルペジオ
Aパート(1〜8小節)
バッハのインベンションさながらの動機x(1小節目)、動機y(2小節目)で呼応する対話から始まる。3~4小節目も同じであるが、3小節目でハーモナイズが加わる。3~4小節のバスにレドシラソ#という流れがある。
後半も動機xが続くが、6小節目のバスは動機xを上下反転したx'となる。それに呼応して上声が上行メロディとなる。7~8小節のバスにドシラソ#という流れがある。
Bパート(9~16小節)
Bパートは動機z(16分音符の刺繍音を伴ったアルペジオ)が主体となり、Aパートとの対比で忙しくなる。11~12小節は動機x'とy'が再登場する。この部分のバスはあまり対位法的ではく、x'・y'の上声のメロディの引き立て役に下がっている(15~16小節も同様)。16小節のy'はアルペジオ→音階、上行→下行の変形がなされている。
バスの動き
すぎやまこういち先生は作曲においてバスの動きをメロディと同じくらい重要視されている。この曲のバスの動きは非常にスムーズなので振り返ってみたい:
1:ラ 2:ラ・ラソファミ 3:レドシラ 4:ソ#・ミファ#ソ#
5:ラ 6:レ 7:ドシラ 8:ソ#
9:ラ 10:ソ・ファ# 11 ファミレレ# 12 ミ・ラ
13:レ 14:ド・シ 15:ファミレ 16 ミ
多くの場所で音階ないし半音進行でスムーズに接続されていることがわかるだろう。その他、4度進行が4箇所、代理進行が1箇所となっている。
これらのバス(和声)進行は次作以降のドラクエでの城の曲でも共通して見られるもので、ドラクエの城のイディオムがドラクエ1の時点で2声でありながら既に完成していることが分かる。
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