洞窟(ドラクエ1)楽曲分析
ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第6弾。
階を降りる度に短3度ずつ下がり、竜王の城はB8Fまであるので、最終的に長13度下がることになる。プレイヤーの心理を的確についた、最強ゲーマー兼音楽家のすぎやまこういち先生ならではのアイデアだと思われているが、実のところ、当初は6小節だけの曲だったらしく、テストプレイで延々と6小節が繰り返されると苦痛になることが分かって、急遽テンポと音高を下げていくことにしたらしい(出典はこちら)。納期が1週間ということで変わりの曲を作る時間は無かっただろうし、こういった妙案がすぐに出てくるのが、すぎやまこういち先生の素晴らしいところ。容量ギリギリで8曲分容量を消費しているのかが気になる(笑)。
ということで楽曲解析は最初の6小節だけ行うこととする。
最初の4小節はコードに対して普通じゃない音程のメロディを意図的に配置する、すぎやまこういち先生の常套テクニックを駆使している(DQ3の鎮魂曲やトルネコの不思議のダンジョン等、使用例多数)。
最後の2小節は無調のトリルで恐怖感を演出している。
1~2小節 E/G#というコードに対してEからみて♭9, ♯9, ♯11の音を使うことで、E AlteredもしくはG# Lydian Augmentという特殊スケールで普通じゃない場所に来た感を演出している。このようなテクは知ってしまえば誰でも応用可能なのでぜひ上手く活用したいところ。
3小節 G Combination of DiminishedとA♭ Diminishedスケールが用いられている。Diminishスケールも人工的な特殊スケールである。
4小節 レからみて13th, M7の音を使うことで、D Ascending Melodic Minor(=D Real Minor)という特殊スケールを用いている。最後は普通の5th音「ラ」で一旦落ち着かせている。
「ラ」で落ち着く前はずっとメロディがStep Tone Motionで遷移することにも着目されたい。
5小節 ソ・ミ♭⇔ラ・ド♯ のトリルである。ソ・ミ♭は単6度の関係でひっくり返すとE♭コードだし、ラ・ド♯は長3度でAコードと、なんの脈絡もない2つのコードのトリルとなる。たった2音の繰り返しで無調を演出できるので素晴らしい。すぎやまこういち先生はこのテクニックも多用されていて、「竜王」でも登場する。
6小節 5小節のフレーズが全て半音下がっただけである。
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