竜王(ドラクエ1)楽曲分析

ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第7弾。

竜王が真の姿を見せた時に画面をはみ出すグラフィックと相まってラスボス専用曲(当時はラスボスなんて言葉も無かった!)が流れて全勇者が興奮したことだろう。(私はリアルタイムでプレイしてないのが残念)

イントロ(1~2小節)

イントロは「ミ・ラ」⇔「レ・シ」の繰り返し。スタッカートで4分連打することで切迫感を煽るのは、すぎやまこういち先生のラスボス曲定番の手法。無理やりコードにするとAm⇔Gとなっており、「洞窟」のような無調感は無い。むしろG→Amに全音で解決するオリエンタルな響きとなっており、すぎやまこういち先生曰く「東洋の怪物」を演出している。

主部(前半)(3~10小節)

ひたすらA Diminishedスケール(ラドミ♭ソ♭と、それぞれの全音上の音を合成した「ラシドレミ♭ファソ♭ラ♭」の8音)で全ての音が構成されている。下声は相変わらずスタッカートの4分連打で引き続きプレイヤーを切迫する。連打の音が「ソ♭・ミ♭」なのは、出だしの「ラ」から始まるメロディですぐにDiminishを感じてもらうための配慮だろう。Diminishという特殊スケールを用いることで、ただならぬ事態であることを演出する。

主部(後半)(11~18小節)

OP、EDを除いて唯一3声になるところである。A Diminishedスケールとは無関係に全てメロディの長3度上をハモっている!コード&スケールの関係を崩壊させるにはひたすら同じクオリティでハーモナイズするのが最も手っ取り早い。Diminishは短3度堆積なのに、ハーモニーが長3度なので必ずスケールとのズレが生じ、このズレが焦燥感を盛り上げる効果を生んでいる。前半部はA Diminishedスケール一発モノと解析できるが、後半部は現代音楽の範疇と解釈できる。かといってオリエンタルで原始的な響きも失っておらず、巧みなバランス感覚の上に成り立つ音楽である。

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