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街の人々(ドラクエ1)楽曲解析

ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第2弾。

ドラクエ1にしては具体的なタイトルがついている楽曲。

ドラクエ1はオープニング、エンディングを除いて基本的に2声で作曲されている。そのためかメカニカルな曲が多い気がする。その中で本曲は例外的(?)にメロディアスなため、伴奏とメロディが有機的に結びつき、短いながらも高度な声部処理がみられる。

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メロディ動機

x:8分音符x4(タラララ)
y:4分音符+8分音符x2(ターララ)
z:16分音符のリズミカル動機(タッタラタッタッ)
w:4分音符x3(ターラーラー)

主題(複合フレーズ)
α:x+xもしくはx+y
β:z+y

前半(1〜4小節)

アウフタクトで始まり、主題αで開始する。和声を確立するために、ひたすら動機xのアルペジオで支えられている。1〜2小節はポップスでよく見られる半音進行。3〜4小節も主題αが繰り返されるが、最後は動機wに転回型を交えたクラシカルな和声進行となる。

後半(5〜14小節)

5〜6小節はリズムに変化を付けて16分音符中心の主題β(動機z+y)の2連続が印象的な開始である。7小節は動機yを軸とした対位法的処理である。8小節目は半終止だが、バスで動機wを用いてさりげなく統一感を持たせている。

9〜10小節目は主題βx2を繰り返しである。11小節目の動機xによる上行下行のフレーズである。ここは和声的に聴きどころで、マクロ的にはF→C7だが、ミクロ的にはF→G#dim→C7→C#dim→Dm→C7となっており、G#dimはG7(b9)の根音省略でC7に向かうドミナント、C#dimはA7(b9)の根音省略でDmへのDominant Approach、DmはC7へのScale Tone Approachである。

12小節目はループ終了のカデンツである。ホルン5度の音形であるが、ホルンを意識するというよりは二重奏の終わり方の典型例として採用したのだろう。

和声学的特徴

ルートメロは前半、後半ともにカデンツに入る直前(3小節、11小節)でドミナントの「ド」のみであり、いずれも終止に向かって収束する合図となっている。

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