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フィナーレ(ドラクエ1)楽曲分析

ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第8弾。

ファンファーレ(1~8小節)

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凱旋のファンファーレから始まる。全体としてはドミナントのGであるが、3~4小節はEm F GというStep Tone Motionが現れる。ここで大事なのはほとんどが第二転回形が使われているということである。5~6小節のF A♭ B Dというサブドミナント諸和音の平行移動は第一転回形が使われている。これらの和音は標準形で使用すると必ず平行5度が生じるため、5度を消失させるために転回形を用いるということである。最後はD/F♯からGsus4を経てGに戻る3連符の勇ましい凱歌である。

Aパート(9~16小節)

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前半はバスがG線上のアリアのような動きでジグザグに半音下行し、上声は二重付点のハネたフレーズで勇ましく開始する。バスが転回形を交えて半音進行することで並行5度の回避(9, 13小節)ルートメロの回避(10, 11, 12小節)を実現している。後半は一転してルートバスのみであるが、滑らかなルート進行である。

エンディングは3声ということで内声の動きにも注目したい。とくに11小節のド♯の音を経てメロディのレに合流する流れは、さりげなく美しい。12小節目と16小節目で「ドシラシ」と「ドラドシ」で微妙に変えるのも大事な気配りである。

Bパート(17~26小節)

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BパートはC→E♭に転調するとともに、メロディックリズムおよびハーモニックリズムが伸びやかになる。Aパートがメロディもハーモニーも忙しく遷移していたので、転調も相まってこの対比は非常に気持よい(筆者はAパート⇔Bパートの無限ループで1時間耐久できます♪)

コード進行は伸びやかな4度進行主体、内声は16分音符アルペジオで華やかに彩る。メロディはルートメロが無いため、気持ちよく羽ばたいている感じがする。4度進行の中で1箇所特殊なA♭/B♭のコード(21小節目)に注意されたい。このコードの実態はA♭sus4(9)である。メロディに9thや11th(=sus4)が登場するのに合わせているのである。一瞬メロディが3rdになるところだけ内声がB♭になっているのも要注目(図で青く囲った箇所)。

この後Aパートに戻ってA→B、さらにA→A後半最初の2小節を経て、コーダに進む。

コーダ

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直前のFからF#m7-5 G7を経てA♭ B♭ Cという小坂明子の「あなた」のような(古いw)派手なエンディングである。A♭はサブドミナント、B♭はドミナントの代理となるため、自然かつ力強い進行となる。

最後はイントロのファンファーレと同じ3連符のユニゾンで映画の幕引きのように終わる。

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