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石油・ガスと環境エネルギーのうち、どのセクターが有利か?

記事のサマリー

ロシア、ウクライナでの戦争以来、石油・ガスを含むエネルギーセクターが大きな注目を集めています。ロシアがエネルギーの供給を止めたことにより石油・ガス資源の需要が高まっています。また一方で、よりクリーンで環境に優しいエネルギー資源を求める流れも起こっています。

石油・ガスvs環境エネルギー

TipRanks、現在のデータによると、石油・ガスのセクターの方がグリーンエネルギーよりも熱い視線が注がれているようです。ロシア・ウクライナ戦争によるエネルギー供給不足と背景とした石油・ガス価格の上昇の問題の方がより近々の課題として取り扱われている、ということでしょう。

世界的には、よりクリーンで環境に優しい代替燃料への移行が求められています。ただ、石油等に取ってかわる燃料がないため、従来の燃料の需要が予想以上に急増しているのが現状といえそうです。特にヨーロッパでは、かつてないほどのエネルギーの危機に直面しています。寒い冬を迎え、暖房や電気ストーブ用に石油やガスの需要がより一層高まることがその事態に拍車をかけています。一方で、副作用への影響から原子力発電所は批判されており、多くの国が原子力発電所を稼働停止しています。

石油・ガス業界内のトップ10社の企業/銘柄について、アナリストのセンチメントを調査しました。各アナリストが状況をどう捉えているのか、動向を確認していきましょう。

1) TipRanksの内部者センチメントは石油&ガス業界に肯定的

TipRanksの内部社取引分析データによると、2022年の紛争の開始以降、業界を代表する石油・ガス関連企業の内部者が90億7000万ドル以上相当の株式を取得していることがわかります。

一方、環境エネルギー関連企業上位のインサイダーは、同期間に1,298万ドル相当の株式を購入しただけで、6億1,981万ドルの保有株式は逆に売却していました。

2) アナリストは引き続き石油&ガス業界に対して楽観的

ロシア主導の戦争が石油・ガス会社に脚光を浴びせているのは確かで、ウォール街のアナリストたちは、環境エネルギー企業に比べ、石油・ガス最大手企業について非常に楽観的な見方をしているようです。

TipRanksのデータによると、82.7%のアナリストが石油・ガス株を「買い」と推奨し、64.3%が環境エネルギー株を「買い」と評価しています。同様に、94.8%のアナリストが石油・ガス株への推奨を維持したのに対し、90.2%のアナリストがエネルギー株への推奨を維持しています。

3) アナリストの目標株価と業績の推移

TipRanksのデータによると、2018年から今まで、石油・ガス株の79%がアナリストの1株当たり利益(EPS)予想を上回りました。逆に、同時期にエネルギー企業の58%がアナリストの予想を下回っています。

また、石油・ガス株については、74.1%のアナリストが目標株価を引き上げており、エネルギー株については、52.8%のアナリストが目標株価を引き上げているのに対し、大幅に引き下げています。一方、グリーンエネルギー関連銘柄の目標株価を引き下げたアナリストは29%近くいるのに対し、石油・ガス関連銘柄の目標株価を引き下げたアナリストは25%でした。

まとめ

上記のデータからわかるように、現在、石油・ガス部門は需要が非常に高いです。戦争の終わりが見えず、オイル需要の高まる冬が近づいており、専門家はヨーロッパ諸国がどのようにこの状況を乗り越えるのかを危惧しています。石油・ガス資源の増産と供給に対する需要は、短期的にはエネルギー市場を支配し続けるでしょう。

一方、再生可能エネルギーはまだ発展途上の段階にあります。従来の石油・ガス会社でさえ、グリーンエネルギーに転換するために莫大な投資を行っています。しかし、持続可能なエネルギー資源が一般に普及するまでは、従来の石油・ガス会社の製品が引き続き必要とされるでしょう。

全体として、現在のマクロ経済的な背景を考慮すると、内部関係者もアナリストも、グリーンエネルギーセクターと比較して、石油・ガスセクターに対して非常に強気であることに変わりはありません。

元記事:https://www.tipranks.com/news/labs/oil-gas-vs-green-energy-which-sector-is-favored-currently

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