どっせい!「ODYSSEY」で眞ノ宮るい祭

雪組「ODYSSEY-The Age of Discovery-」。
スカイステージチャンネルで放送されたのをたまたま観たのですが、第一幕の途中でたまらずスマホをつかみ、Blu-rayとルサンクを注文してしまいました。
これはいかん!これは好きなやつ!

雪組ファンはいうまでもなく、宙組「Délicieux!」が好きな人もたぶん、みんな好きですよねこれ。

雪組らしくソフィスティケートされているから「Délicieux!」ほどの衝撃には欠けるものの、そのかわりというか何というか、美しい器に「みんなが大好きなもの」がこれでもかと盛られて、次々とわんこ蕎麦状態で運ばれてくる感じがたまらない。もうお腹いっぱいでもこれは別腹、と食べ続けずにいられない、「大好き」に責め苛まれる背徳感に痺れます。

ーーーーー(以下ネタバレあり)ーーーーーーー

いい!と思った場面を何度も見返してしまうから、なかなか先に進まなくて困る。

場面として好きなのは第一幕のニューヨーク。クラブ入口でのやりとりがまず楽しくて、そこからの娘役のコケティッシュなダンスにときめきます。野々花ひまりさんが素晴らしく蠱惑的。何でもできちゃうんだ、素敵と思いました。美穂圭子さんの「センチメンタル・ジャーニー」と、彩風さんセンターのチャールストンも圧巻です。体幹~
カルメンの世界観も好きです。女装をみて言うのもなんですが、縣千さんは将来むせかえるほどダンディーな男役になられるんだろうなと想像しました。カルメンの薔薇を奪っていく久城あすさんも良い。久城さんも何でもできてどんな時も素敵(二幕で当然のように娘役なのがツボ)ですが、自分的にはチョイ悪の時が最も良きです。

全員が出ずっぱりで本当に大変そう。観るほうも文字通り目を離せません。

長丁場のショーを汗だくになりながら走り通し、何でも来いとばかりに男前な彩風咲奈さんを見られて嬉しい。「Délicieux!」の芹香さんもそうでしたが、スター男役がダルマ衣装になるときって、姿型は美しい女性(美脚を仕上げてきてるし)なのに纏っている空気感がすごい男前なんですよね。また周囲の方々が、お客さんが喜んでいるのをみて謎にドヤ顔しているのも微笑ましい。
朝美絢さんはパワフルな歌声で男役を牽引、そしてセンターでロケットも披露。恐縮するほど贅沢。
怒涛の「男役女装祭」の後に威風堂々と娘役の真髄を見せつけた朝月希和さんもかっこよかった。
おっと忘れるところだった、美穂圭子さんの美空ひばり最高!専科最強!

そして眞ノ宮るいさん。

自分が眞ノ宮さんに最初に注目したのは、スカイステージの音楽番組「MUSICA×MUSIK Collection」でした。涼しげでちょっぴりホスト風味なルックス、真面目で素直で、堅実に仕事ができる人なんだろうなという印象を受けました。
そしてこの「ODYSSEY」でたまげた。
もはや、仕事ができるとかいうレベルじゃないじゃん。できない仕事がない感じじゃん。自分の仕事以外にも、いつでも誰の役でもカバーできるように、全ての歌と踊りをマスターしていそう。
朝美さんとのデュエット(?)の睡蓮姫では、しなやかなバレエと可憐な歌声に鳥肌たちました。
自分はこういう、涼しい顔でいい仕事をやってのける人が大好きです。
これから雪組の舞台を観る楽しみがまたひとつ増えました。


観る前は知らなかったけれど、この「ODYSSEY」は2022年始を飾るはずだったのが中止になり、夏に改変して公開された作品なんですね。道理で演者さんたちの熱量が凄い。
笑顔の裏には並々ならぬご苦労が、本当に大変なご苦労があったことでしょう。

2022年の夏、自分が仕事以外に何をしていたかあまり記憶がない。
世間はなし崩し的に緩み始めていたのに、自分たちはいつまでこんな生活を続けなければいけないんだろうと、かなり拗ねてもいた。
もしあの頃にこの作品を観ていたら、素直に「好き!」とは感じられなかったかもしれないし、作り手のご苦労を思いやる余裕もたぶんなかった。そう思うと、いま出会えた巡り合わせに感謝したいです。

この喜ばしい時が少しでも長く続きますように。





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