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地球衝突の危機回避、小惑星2024 YR4の最新観測結果 ヨーロッパ南天天文台(ESO)

2024年12月、直径約40~90メートルと推定される小惑星「2024 YR4」が発見されました。当初の軌道計算では、2032年12月22日に地球と衝突する可能性が示唆され、欧州宇宙機関(ESA)のリストで最もリスクの高い天体として注目を集めました。

この小惑星の軌道をより正確に把握するため、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)が2025年1月中旬に観測を実施しました。これらの観測データは、他の天文台からの情報と組み合わせて、2024 YR4の軌道計算の精度を大幅に向上させました。その結果、衝突の確率は1%を超え、災害対策の基準となる重要な閾値に達しました。

この事態を受け、さらなる観測が行われ、国際小惑星警報ネットワーク(IAWN)は潜在的な小惑星衝突の通知を発行し、惑星防衛グループや宇宙ミッション計画諮問グループ(SMPAG)などの関連機関に警告を伝達しました。2025年2月18日には、衝突の確率が約3%にまで上昇し、30メートル以上の小惑星としては過去最高の衝突確率となりました。

しかし、翌日の2月19日にESOのVLTによる新たな観測データがもたらされ、衝突リスクは半減しました。その後も世界中の複数の望遠鏡による継続的な観測と軌道解析が行われ、最終的には衝突の可能性はほぼゼロにまで低下しました。

この一連の出来事は、地球近傍天体(NEO)の監視と早期警戒システムの重要性を再認識させるものでした。特に、VLTのような高精度の観測装置が、潜在的な脅威を迅速かつ正確に評価する上で不可欠であることが示されました。また、国際的な協力と情報共有が、惑星防衛において重要な役割を果たすことも明らかになりました。

今回のケースでは、早期の発見と継続的な観測が功を奏し、潜在的な災害を未然に防ぐことができました。しかし、今後も同様の脅威が発生する可能性は否定できません。そのため、天文学者や関連機関は、NEOの監視体制を強化し、地球防衛のための対策を継続的に進めていく必要があります。

今回の事例は、科学技術と国際協力が地球の安全保障にどれほど寄与できるかを示す好例となりました。今後も、最新の技術と知識を駆使して、地球を脅かす可能性のある天体からの防衛に努めていくことが求められます。

詳細内容は、ESOが提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

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