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VIX(恐怖指数)とFear&Greedを投資に活用するには
2020年以降、コロナ禍に伴う低金利政策によって、米国経済は急激な成長を遂げました。しかし、2021年の中盤からは、その成長がいつまで続くのか、急落の可能性を懸念する声が増え始めました。
この記事では、VIX(恐怖指数)とは何か、そしてその活用方法について解説します。また、VIXと併せて活用すべき「Fear & Greed Index」とは何か、その活用方法についても紹介します。
これらの情報が、米国株を中心とした調整やリセッション局面での資産形成に役立つことを願っています。
VIX(恐怖指数)とは
米国の株価変動を予測しようとすると、「VIX(恐怖指数)が高いから〜」という表現をよく耳にします。
VIXについてGoogleで調べると、次のようなチャートが表示されます。
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VIXは株価のチャートのように表示され、一般的に指数が30を超えると「高い」と言われます。実際に、2022年3月前半と5月前半には、VIXが高い値を示しました。
VIX指数とS&P500のチャートを重ねてみると、3月前半と5月前半に急落が発生していることが確認できます。
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VIX(恐怖指数)とは、株価指数に対する投資家のセンチメント(感情)を表す指標の一つです。具体的な説明については、元日本経済新聞社の後藤達也さんによるYouTube解説が非常に分かりやすいので、こちらから引用します。
VIX(恐怖指数)とは、米株価指数S&P500が今後1ヶ月でどれくらい激しく動きそうか(=予想変動率)を示す。
「株価急騰」「株価急落」のどちらの予想が強まっても上昇する。
ただし、一般的には「急騰」よりも「急落」のほうが起きやすい。
このため「恐怖指数」と呼ばれ、VIX上昇 = 株安警戒とされる。
VIX(恐怖指数)の特徴
株価安定時
株価が安定している時期には、VIX指数は通常10〜20前後で推移します。
例えば、VIX指数の5年間のチャートを見ると、コロナショックが起こった2020年3月には、VIXが一時65付近という高い値を記録しました。
その後、新たなコロナウイルスの変異型が発生するたびに、VIX指数は一時的に30を超え、その後落ち着くというパターンを繰り返していました。
その後、VIX指数はほとんど30を超えることなく推移し、安定した状態が続きました。
この間、S&P500は堅調に上昇トレンドを維持していました。
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調整局面
一方、調整局面ではVIX指数が30を超えることがあります。
例えば、2020年3月のコロナショック時には、VIX指数が一時65付近まで上昇し、急激な株価の下落を引き起こしました。この出来事は記憶に新しいかと思います。
VIX指数が度々30を超えていることが、どのように市場に影響を与えるのかについては、後ほど詳しく解説します。
VIXが低すぎる場合
また、VIX指数が低すぎる場合には、反対に市場が過度に楽観的になっている可能性があり、バブルの兆候かもしれないと考えられています。
例えば、2018年初めにS&P500が一時的に急落した時期があります。この時期のVIX指数を振り返ると、急落前はVIX指数が10台前半で推移していました。
このことから、VIX指数が低い場合でも、楽観視しすぎず注意が必要であることが分かります。
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VIXの活用方法
それでは、VIX指数の見方を理解した上で、どのように活用すれば良いのかを確認しましょう。
VIX指数を活用したETFに投資する
VIX指数が高くなると、市場が急落する可能性が高まるため、逆張りの指標としてVIXを活用することができます。
例えば、S&P500インバースETF(証券コード:XSPD)に短期投資を行うケースがあります。このETFは、VIX指数が高いタイミングで急騰することが多いので、リスク回避のための投資戦略として利用できます。
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転換局面として利用し、利益を狙う
VIX指数が高くなると、株価が急落する可能性があります。これを活用し、VIX指数が高まったタイミングでキャッシュを増やし、急落後に値下がりした株を購入する戦略が有効です。これは、多くの投資家が採用する王道の手法と言えるでしょう。
別指標(Fear & Greed Index)と併せて活用する
また、VIX指数だけでなく、Fear & Greed Indexなどの別の指標も併せて活用することで、より精度の高い購入タイミングを判断することができます。これは特におすすめの方法です。
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Fear & Greed Indexとは、直訳すると「恐怖と欲望の指数」であり、市場の勢いや株価の強さ、幅、オプション、ジャンク債の需要、市場のボラティリティ、安全資産への需要といった7つの側面を測定し、指標化したものです。
上記の場合は「EXTREME FEAR(極度の恐怖)」を示しており、10前後まで下がると、市場が急落の恐れを抱いている状態といえます。
VIX指数が上昇し、Fear & Greed Indexが10前後まで下がったタイミングは、市場が急落を懸念しているサインです。このタイミングで株を購入すると、底値付近で買える可能性が高まります。
売りのタイミングは、Fear & Greed Indexが「GREED(欲望)」側に移ったときが適切です。
まとめ
今回、VIX(恐怖指数)の見方と活用方法について説明しました。活用の際には、Fear & Greed Indexも併せて利用し、株式購入の適切なタイミングを見極めることが大切です。逆張りの方法以外は中長期向けの投資戦略となりますので、経済の回復を気長に待つことが求められます。
この情報が資産形成の一助となれば幸いです。