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冥王星は集合意識の業を引き受ける場所

今、占星術の12サインのテキストを書こうと試行錯誤している。

そもそもサインはなぜ12種類なのか。
牡羊、蟹、水瓶などのシンボルはどこから生まれたのか。
掘り下げるほどその起源には謎が多く、
どこまで深堀して言葉にすべきか悩ましいところだ。

ともかく12サインには
あらゆる地球上の物事・感情・経験が分類されて収められており、
「地球体験を読み解くマップ」としての要素がある。
虹の7色を統合すると真っ白な光に戻ってしまうように
おそらく地球体験である12サインをすべて経験して統合すると
人は形を持たない光に還ってしまうのだろう。

ちなみに地の時代を生きてきた私たちにとって
まだ山羊座がゴールでどん詰まりであり、
水瓶座と魚座は未知のゾーンで現実世界にカウントされていない。
だから革命家やヒーラーはアウトサイダーで
一般的な社会の職業カテゴリには入らない。

水瓶座が象徴する革命とか友愛とか科学的な認知、
魚座が象徴する霊的世界やインスピレーションなどは
まだまだ私たちは意識的に捉えきれていない。
それらを認識するチャレンジが始まったばかりの時期にいる。


そんな12サインについて私なりに掘り下げるために
先日、友人にインタビューをさせてもらった。
自分のホロスコープを把握していて、
感覚を研ぎ澄ませて感じている人の言葉はとても貴重だ。

とりわけアスペクトというのは
サイン同士の関係性が化学反応を起こしたもので、
地球における創造のキーであり、占星術の華だ。
最近強いアスペクトを体験した友人に、その体感を聞かせてもらった。

その中でとりわけ印象的だったのが

★トランシット冥王星のアスペクトは
 先祖も含めた大きな業を手放させるような強烈な体験だった
★自分の土星を知って、謎のプレッシャーが紐解けてほっとした

という言葉だった。
体感を伴った的確な言語化でとてもありがたく、
私は過去の様々なリーディングを思いだした。

冥王星が絡む出来事は重い。
個人が処理できる範疇を超えたエネルギーを伴うからだ。
それが爆発的なブレイクなどにつながることもあるが、
「なぜこんなことが?」と
言葉を失うような理不尽な体験として現れることも多い。

例えば近しい人の死、
家族が逮捕される、障害を持つほどの怪我を負う、
戦争や災害などの体験。
冥王星が絡んだ傷は心に深く食い込み、
個人として癒えきることはないかもしれないと思う。


私が思うに、冥王星は集合意識のカルマを爆発させるような天体だ。
遠い過去から積み重ねられた歪みが一気に形になって噴出する。
それは関わった者に決して消えない傷を作る代わりに
根本から物事を変えてそれまでの世界を一新させる。
痛みを伴う気付きはもう消えることはなく、
だからこそ何世代先にも渡る新たな再生を促していく。

冥王星について書くと、
やはりそれなりに重い感想や個人の体験をお聞きすることが多い。
「どうして私が?」
「こんな業を引き受けなければならないのはなぜなのでしょう?」
そんな悲痛な問いに私も個人としては答えがなく、
同じように言葉を失い、ただ一緒に悲しんで祈るしかない。

人の営みの大きな流れの中で
たまたまそこにいたから引き受けてしまったような、
渦巻の中で当事者にならざるを得なくなってしまうような体験。

ただ私は、
あなたはそれを体験して、痛み悲しみ咀嚼することで
ものすごく勇敢なことを成し遂げ、何かのカルマを解放したのだ、
とは自信を持って言える。
そしてあなたの魂はそれを体験することを意図してきたのだ、とも。

個人としては全然望んだことではないだろうが、
「避けられずそこにいてしまった」ことには明らかな意図と意味があり、
体験してしまったからには生涯をかけて
それを新たな意味へと再生させなければならない。
つまり傷そのものが目的ではなく、再生と昇華こそが目的だということ。
冥王星は集合意識に宇宙からの風穴を開けて、新陳代謝を促す星だから。

でも個人として犠牲的に受け止める必要は全くない。
全力で逃げるもいい。
大騒ぎして助けを求めるでもいいし、のちに人に語り継ぐでもいいだろう。
ともかく冥王星の体験は自分の命で体当たりするしかなく、
嵐のような時期が過ぎたら個人としての幸せをしっかり取り戻して、
その傷を生涯かけて意味のある再生へとつなげていってほしい。
私は星を読む人間だから、
言葉にして、そして祈るしかできないけれど
心からそう思う。

そしてこれからの時代、
冥王星的な体験をただ個人が悲劇的に引き受けるのではなく
知恵とつながりによって負荷が分散され
個人の負担が軽くなっていけばいいと心から願っている。
それこそが水瓶座冥王星の意味であってほしいと。

星の描く放物線は
基本的に人の情動の動きと、
それによって引き出されるカルマの昇華を描いている。
冥王星は集合意識のカルマを昇華する天体。
個人としてそれを引き受けざるを得ないことがあれば、
それは大きな負荷であるとともに
個人を超えたカルマを解放する宇宙的な仕事であるとも思う。

冥王星の体験を咀嚼した人は
この世界の理不尽さへの消えない傷を持ちつつも
生きる美しさをまっすぐに見つめられるようになるだろう。
何気ない日々の輝きと、人の命の持つ底力を知り、
星のように透明な瞳を持つようになるのだと思う。

それに比べると
土星は個人的なカルマの現実的な落としどころだ。
抑圧でもあり祝福でもある。
その話はまた次回。



12サインのテキストがオンラインストアに並ぶのは、
まだまだ先になりそう…