灰谷 健次郎さん「太陽の子」
昨日名刺交換した人の名前は忘れてるのに、小学生で読んだこの作品「太陽の子」=「てだのふあ」(沖縄の言葉)という言葉は数十年経過しても忘れてないのが不思議だなと感じます。
今読み返すと、当時は、神戸の下町にある琉球料理の店「てだのふあ・おきなわ亭」で小学6年生のふうちゃんを中心におかあさん、キヨシ君、ギッチョンチョン達が皆家族のように明るくやりとりする姿(「ぢゃりんこチエ」みたいな感じ)だけが印象に残っており、灰谷さんが本当に伝えたかったことをわかる年齢に達していなかったのだろうと感じます。
「虐げられた人のやり場のない悔しさ」「戦争と沖縄と本土について」「つらいことがあっても明るく生き続ける人の姿勢」「人と人の関わりの大切さ」など教師だった灰谷さんが社会に問いたかったことがひしひしと伝わってきます。
ふうちゃんが書いた言葉が印象に残ります。
かなしいことがあったら
ひとをうらまないこと
かなしいことがあったら
しばらくひとりぼっちになること
かなしいことがあったら
ひっそりと考えること
涙あり、笑いあり。
「兎の眼」とともに思い出に残る一冊です。
「太陽の子」灰谷 健次郎
角川文庫/1998.6.初版