見出し画像

イギリスの小学生男子 座談会 その2

Books to Read

今どきのイギリスの小学生たちはどんな本を読んでいるのでしょう。とっておきの1冊を選んでもらいました。※取材は2019年7月に行ったものです。

画像9

サーシャ

画像9

ハル(筆者の息子)

画像5

ルーク

画像4

アレックス

イギリスの11歳が友だちに薦めたい1冊 

- では、ここからはみんなのベストブックを教えてください。時間の都合で、簡単に紹介していってもらう形になりますが。よろしくお願いします。では、サーシャから。

サーシャ:ぼくのおすすめは 'Bob No Ordinary Cat' (James Bowen著)です。ノンフィクションです。著者のジェームズは貧しくて生活のためにバスカー(路上パフォーマー)をしています。ジェームズは子どもの時から不運な身の上で、大人になってからも仕事をクビになりホームレスになってしまうんだけど、野良猫のボブとの出会いによって、彼の人生は少しずつポジティブな方向へ進んでいく。ボブはジェイムズにとても誠実で、ふたりは心を通わせ合っていきます。猫と人間の友情の物語です。母が買ってきてくれた本だったんですが、ぼくはこのストーリーにすごくはまって、もう何回も繰り返し読みました。大好きな本です。

画像6

- これってイギリスの話だったかな。

サーシャ:はい、舞台は北ロンドンです。

- そうでしたか。サーシャはお家で猫を飼っているから、きっとボブの描写も鮮明にイメージできたのでは。表紙のボブ、可愛いくてとても賢そうですね。私も読んでみたくなりました。では、続いてハル、お願いします。

画像9

ハル:ぼくはサイエンスフィクションやファンタジー、冒険ものが好きで、おすすめは 'Eragon' (Christopher Paolini著)のシリーズです。エラゴンは貧しい農家の少年で、森で綺麗な石を見つけるところから話が始まります。その石は実は竜の卵で、竜が生まれてからエラゴンは不思議な世界に入り込んでいき、魔法を使うエルフの王国やその敵が出てきたりもします。このシリーズは1冊につき500〜700頁くらいあるから1冊読み終えるのに1週間半かかりました。Audible(Amazonの耳で聴く朗読本)を利用した巻もあります。そのほうが一気にガーッと読めるから。

- 長編だけど時間を忘れるくらいひきこまれる物語ってありますね。ハルは去年はギリシャ神話にはまっていたけれど、今年はもっぱらChristopher Paoliniのシリーズですね。それではルーク、お願いします。

画像8

ルーク:ぼくは 'Lord of the Flies'( William Golding著)を持ってきました。時代設定は第一次世界大戦の頃です。戦争から逃げるためにイングランドから人々が乗った飛行機が太平洋の孤島に墜落してしまい、大人たちは皆死んでしまったけれど、男の子が何人も助かって島でのサバイバル生活が始まります。できるだけ文明人としての誇りを失わないような生活をしようと努力するんだけど、彼らの間で決めたルールを破る人が出てきて揉め事がおきるようになります。とくに、年齢が上の男の子たちは2つのグループに分かれ、その闘争に巻き込まれて何人もの男の子が虐殺されていきます。

- そ、そうなんだ。ちょっと怖そうなストーリーですね。

ルーク:はい、めちゃくちゃ怖いです。笑 でもスリリングな部分がすごく面白い。最後は島の横を通りかかった船に助けを求めるんだけど…ラストはあえて言いません。

サーシャ:今聞いてて思った。その話の筋って、Katherine Rundellの'The Explorer' と似ているね。

ルーク:そうそう。飛行機が墜落して生き残った子どもたちだけでサバイバルするって言う点は全く同じだよね。

- 君たちの学校の図書館司書 ミセス フレッチャーが、生徒たちの間で「The Hunger Games」のような生死をかけたサバイバルゲームの小説が人気があるとおっしゃっていたけれど、やっぱりみんなそういったものも色々読んでいるんだね。ルーク、ありがとう。最後にアレックス、お願いします。

画像9

アレックス:僕の好きな本は 'Siege'(Chris Ryan著)です。特殊部隊を育成する学校が舞台で、選ばれた優秀な10〜12人のティーンエイジャーがいるんだけど、そのティーンエイジャーのひとり、マックスという男子生徒が主人公です。彼は高い身体能力と頭脳を持っていて様々なミッションをクリアします。途中で、学校がテロリストに乗っ取られて、先生たちが人質になり、銃も使えなくてやばい状況になるんだけど、どうやって外に助けを呼びに行くか、悪戦苦闘する。ショートストーリーだけど、毎日少しずつ、1週間くらいかけて読みました。現実にこういうことがあるのかな、って思ってしまうくらいリアリスティックで、結末もよかったし。全部で3巻あります。

- アクションものの本ですね。なるほど。こうやって話を聞くと、やっぱりちょっとずつそれぞれ好みが違っていて個性があらわれていて興味深いです。みんなが日々たくさん本を読んでいるのを知っているから、どんな本を持ってきてくれるかな、と楽しみにしていていました。教えてくれてありがとう。

<その3に続きます。>

Interview by Ayako Iseki            Photography by Akemi Otsuka



いただいたサポートは今後の執筆活動の資金(記事のインタビュイー、フォトグラファー、イラストレーターへの謝礼など)に充てさせていただきます。