棋譜並べ日記#17 角換わり
今日はfloodgateから。floodgateの棋譜は1年ほど並べて「難しすぎてわからない」とさじを投げた。しかしまたそれから半年ほど、久しぶりに並べるとなかなか面白い。というかめちゃくちゃ面白いじゃないか。
角換わりの出だし。正直定跡が頭に入っていないので序盤は軽く流していく。
仕掛けから落ち着いてこの図まで。ここまでプロ棋戦で見たことがある気がするが、ウソだったらごめんなさい。
この辺りから難しくなってくる。△5四歩が第一感だったが、▲7八玉△4一飛▲7七桂と進むとどうか。
△5四歩で▲5五銀直を防いだのは良いが、代わりに△5四銀や△5四桂の味を消しており、手詰まりのようになっている。△4四歩の迫力もそこまでないので、△5四歩が突き損だったということになるか。
よって本譜は△7一飛と手待ち。▲7八玉ならば△6一飛▲7七桂△5四銀と手数を合わせる意味で、後手はあまり駒を動かしたくない格好だ。
本譜は先手も動きを見せながら、△6五桂を跳ばせて攻め駒を手に入れようとしている。桂を持つと先手の攻めに厚みが増すところだったが…
△2四歩が角換わりでは珍しい手。
これは▲2五桂を防いだだけだが、同時に大きな意味がある。
①△3五歩、②△4四歩が突きやすくなっている。
つまり①▲6五銀直△同歩▲8二角成△6六歩▲同歩△3五歩が成立する。
さらに本譜は▲8五桂だったが、
②△7五歩▲同歩△4四歩という狙い筋がある。△7七歩と△4五歩のコンビネーションで一気に先手陣が崩壊する。
よって△7五歩に▲7三桂成が本譜である。
しかし△7六歩の取り込みは大きく、△7七歩成▲同銀△同桂成▲同玉△3五歩と第二の狙いを実行して後手やや良し。
少し進んで。△3六歩と△6三金の比較検討が難しかったが、△6三金が本譜だった。
△3六歩は▲3四歩△同銀▲4六桂△2三銀▲6二成桂がうまい運び方。
これはちょっと後手不満。
しかし▲4六桂に対して△3七歩成▲同金△2八銀という攻めがあり、もはや難解。
局面をしばらく眺めていて分かったが、別に先手玉の上部は広くないので後手は堂々とB面攻撃でも良かったのだなと思う。
ここで△4二飛と浮いたのが細かい利かしである。▲7三歩と打たせてかなり得な一手。しっかり気付きたいところ。
逆の視点から見ると▲7三歩もよく打てるなという印象だ。悔しい感情は抑えて最善手でぐっと耐える姿勢も見習いたい。
ここから手のつなぎ方が見事だった。
△7七銀▲5八玉△3六歩▲同馬△6八歩。
玉を逃がして、しかも△6九角の一点狙い。なかなか指せない手順だが、これが厄介である。全部受ける手が無い。
少し味付けしてから▲7六金と手を戻した。△6九角から飛車を奪っていく。
このあたりから先手が強烈な粘りを始める。まずは▲3四歩と垂らすのが手堅い一手。後手も△5九竜と確実な攻めをする。
ここで▲3八玉△6八と▲3五銀と上部を手厚くした。これもなかなか良い手だと思うのだが、▲7八金が最善の受けだったようだ。
▲7八金△7七歩▲6六角で互角。いやいや、指せる気がしません。
かなり進んだ図。ここで難しいなと思っていたら、△6八竜が俗手の好手だった。対して▲3九金打△5九銀不成▲4九香と粘る。
駒を渡すと▲3三歩成がチラつくという所で△5五銀が活用の好手であった。
ここで△3二飛が力強い好手。△5五銀と連携して△4六銀から飛車走りも見せつつ毅然とした対応だ。
ここで先手も攻めたいが、駒が少し足りないようだ。そこで▲2八玉が勝負手。空振りを見せて駒の入手を計った。しかし…
△2三銀とぶつけたのがそれを上回る好手。たしかに上部を開拓してしまえば安全になるが、取られた後の形がすごすぎて指せる気がしない。一直線に勝ちにいくとはこういうことなのか。
粘りをものともせず、後手が勝利をつかんだ。粘りを振り切るには、時に思い切った手、時に巧妙なテクニックが必要だということができた。もちろん、粘る方もただ粘るだけではなく、後手陣に適度なプレッシャーを与えつつ、また手を戻すというまさに「将棋らしい」戦いだった。
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