タイニーベイビーの研究ノート (楽曲解説 & 対談)
セルフライナーノーツ(デジタル版)
目次
それぞれから見る「Apple」
全曲楽曲ライナーノーツ
tiny baby 最初で最後の真面目な対談
“ それぞれから見る「Apple」“
星 銀乃丈
新しいアイデアや発見なんてものは今やもうなくて、全ては過去の産物の組み合わせでしかないと言われるんだけど、 それでも日常を変えるような大発見や大発明が、きっとなんでもない日常の延長線上にあるはずだと信じている、という意味でこのタイトルを付けてます。 ずばり、『Apple』というのは、ニュートンが万有引力を発見するきっかけとなった木から落ちた「りんご」のことを指しています。 例えばそれは、パンに塗ろうとしたジャムを滑らせて落としてしまった瞬間だとか、シャワーを浴びているいつも通りの瞬間だとか、 そんな何気ない瞬間に溢れているのだろうと信じてます。そんな、なんてことない毎日を大切にしながら、今を生きていこうとするポジティブなメッセージに溢れたアルバムです。 1曲目の「子供上位時代」は、色んな出来事に対して戸惑いや、躊躇などをしているのが伝わってくるだろうと思うのですが、どうか最後まで聴いてみてください。 葛藤を乗り越えながらも、過去から今、そしてこれからの先を生きていこうと決断していくベイビーたちがそこにいると思います。 随分とワガママで聞き分けが悪いけど、でも素直なとこは素直ですよ。 だって、tiny babyなんですから!
かわいあこ
今回、tiny baby 初のフルアルバムということで、Apple に対してなんだか特別な気持ちがあります。 私たちはいつも作品を作り出す前に、アルバ ムの軸となるテーマを話し合ってから作り始めるんですけど Appleに関しては今までのテーマのどれよりも細かく決めたんじゃないかな。何か新しいことをしようだとか、これまでにない音楽を・・・とか、考えれば考えるほど出てこない。探そうと思って探せるもんでもないよなぁっ て星くんと話してたんです。案外何も考えていないときや、気を抜いてる一瞬になんとなくアイデアが湧いたり、奴らは不意を突いてやって来る。 思い通りにコントロールできない、気まぐれでちょっと意地悪な気もするけど、そういうもんなんだろうなあ。
テーマを決める前に一度星くんと話をしたんですけど、そのときのことを少しだけ書きます。そのとき私は忌野清志郎の「ロックで独立する方法」っていう本を読んでたんですよ。まあそれが刺激的で、すごく面白くってすぐ影響を受けちゃって・・・ そんで、そこに「コンテンポラリーと、アヴァンギャルド」についてが語られてたんですけど、そこでまんまと感化されちゃいました。とんでもない沼へと引きずり込まれましたね。意味はそれぞれで調べてみてください。
まあ私は「完全なオリジナルなんて、アイデアが出尽くしたこの世の中ではもう無理でしょ」って拗ねてたんですよ。「清志郎!そりゃ無理だ!」って。それじゃあ、今後アヴァンギャルドな音楽はもう出て来ないのか?って凄く虚しくなって、それをそのまま星くんに伝えたんです。星くんは「その出尽くした世の中で、新しいものを見つけようとするのが芸術なんじゃなぁい?」って最もあっさり答えてくれやがったんです。私はあっけに取られて、なんでかわからないけどズビズビ泣きました。なんか凄く嬉しかったんですよね。その言葉をケロッと言ってくれたのが。
世界を前に「アヴァンギャルド」と、私はきっと言えないんだろうけど、自分がやって来なかったことをする「私的アヴァンギャルド」はできる。今回、私は第一歩としてApple にそのような気持ちで向き合いました。
“ 「Apple」 全曲ライナーノーツ “
Apple / tiny baby
1 : 子供上位時代
2 : 1998
3 : Sonic The Punch
4 : MOU
5 : 雨のステップ
6 : nice!
7 : BADTAPE
8 : Ghost
9 : soon
10 : リメンバー・ミー
11 : Ghost (Nao Sagara Remix)
“ 子供上位時代 “
まず、このタイトル。お気付きの方はお気付きでしょう・・・このタイトルは pizzicato five の「女性上位時代」からきてます。 あなた達ピチカートほんっとに好きなんだから全く!って感じなんですけど、もう運命感じちゃいましたねこのタイトル。話してる内容もピチカートの女性上位時代に入ってる、「大人になりましょう」からきてたりしてます。「大人になりましょうよ」って言ってるんですけど、私としてこれは冗談と本気のせめぎ合いなんです。本気でもうそろそろ大人になんなきゃっ て思ってる部分もあるし(実家暮らし 22歳)いやいやぁ、まだまだ子供だよって思ってるところもあります。私は童心とさよならしたくないんです本当に。年々、今まで当たり前だった何かを失っていってるような気がしてちょっとこわい。そんなところから始まったApple です。(かわいあこ)
tiny baby4作目、初のフルアルバム『Apple』は、なんとポエトリーから始まりました。 アルバムを作ろうとなった最初の構想段階から、この「インターリュード」的な曲をやる、っていうのは決めていたので、河合と何度も話し合っていました。 何についての曲を作るかと話し合っていく中で、”自然に会話をしてるだけのポエトリーソング” のような形が合いそうとなっては、台本なしのぶっつけ本番で録音することに。 テーマは「大人と子供」について、まさしくtiny babyというアーティスト名に切り込んでいったポエトリーにしようとなりました。 録音が回り始めてからしばらくが経ち、もうそろそろかなというところ、ふと河合が「落ち着いちゃってるんだもん、最近私。」と切り出し始めました。 そこからが、皆さんの聞いている「子供上位時代」です。タイトルは僕らが愛してやまないピチカート・ファイヴ「女性上位時代」から。って多分、河合も言ってるだろうな。(星銀乃丈)
“ 1998 “
作詞作曲編曲:星銀乃丈
1998 今回のアルバムの中でも本当に好きな曲です。そして、歴代の中でも上位に入るくらい歌うのが難しかったです。私は声に感情を乗せるの がなかなか苦手で、1998 の悲しいわけでもなく、元気すぎるのも違う・・・これは、すごく繊細な気持ちを拾わなくちゃいけないなって思ったんです。そんなこともあってボーカルのリテイクは3,4回ほどありました。過去最多記録更新!いやあ、キツかった・・・
やっぱり星くんの書く歌詞やメロディーはいつも絶妙で、明るくってもどこかに哀愁を感じたり、ノスタルジックな気持ちにさせてくれる。私はそこが本当に好きですね。1998 もそこが全開で、ファンの皆さんもきっと同じ気持ちの人が多いんじゃないかなって思います。サウンド的には今までの tiny baby も存在しつつ、tiny では聞いたことのない歪んだギターが入ってたり少しロックな雰囲気も感じて、でもやっぱり tiny baby なんだよなって。すごく絶妙な塩梅の楽曲だと感じました。子供上位時代から急に入って来る1998 のイントロはもう最強でしたね。 毎年思うけれども、星くんはやっぱりすごいなあ・・・とまた改めて思わされました。(かわいあこ)
この曲は特別な思い入れがあるというか、自分がずっと避けて向き合ってこなかったことを歌にした曲です。それも一度も本当の意味で向き合えてこなかったことです。自分は音楽を始めてから、辛い思い出だったり過ちだったり、悲しい出来事は、出来るだけ前向きに綺麗な箱に閉じ込めて清算してきました。 「ノスタルジー」というパッケージに落とし込んでしまえば、そんなこともあったなぁ、でなんとか前を向けてきたからです。 tiny babyという名前もそうです、まさに「子供」という名前を借りて過去への郷愁ばかり囚われて、今とこれからに全然、向き合えてこなかった。 歌にして、またいい感じに埋め合わせるなんて、と思ってこの23年間ずっと逃げてきました。それに、今までのtinyで書いてきた曲は、「忘れたくないこと」だけでした。 だから、人生で初めて「忘れたいこと」に向き合いました。最低な自分が綺麗事にして、また都合のいいように逃げないように、覚悟を持って書きました。この曲を蘭ちゃんに捧げます。 (星銀乃丈)
“ Sonic The Punch “
作詞作曲編曲:かわいあこ
なんとなく tiny baby がまだ若いうちに生意気な音楽をやりたいなと思ってた中、このSonic The Punch ができました。「生意気が取り柄だろ う?ルーキー」っていう歌詞が思いついた時は、なんだかわからないけど謎の自信が湧いてきました。「私たちもっともっと生意気になっていいんじゃないか?」って、「ちょっとくらい振り回してみたっていいじゃない」って少し解放される感じ。ちょっとした大きな気持ちが必要な時、この言葉ってすごく心をツンツンしてくれる気がするんですよね。
あとこのタイトルについて。かなりキャッチーな曲名だと思います。このタイトルは、ちょうどその時藤本たつきの「ファイアパンチ」を読んで いて、ファイアパンチ第1巻のP64~P65 のシーンが、本当にかっこよくってすごい興奮したんです。結構残酷なシーンにあのキャッチーな必殺技を 言っちゃうところ・・・!必殺技みたいな曲名絶対かわいいなと思って、Sonic The Punch にしました。私たち tiny baby の必殺技的な面白楽曲になったらいいなって思っています。
これは言わないと気づかないかもなんですけど、今回Sonic The Punch でゆいごちゃんにもボーカル入れてもらってるんです。早朝からカラオケに行って録音しに行ってきてくれたんですけど、ゆいごちゃんの声の後ろになんか流れててよく聞いてみるとAdoさんの声だったんですよね。ノイズ処理で消しましたが、危うく勝手にfeat, Ado になるところでした。ゆいごちゃんありがとう。(かわいあこ)
実はこの”Sonic the Punch”は、アルバム1曲目の予定で制作をしていました。 それもかなりキャッチー、河合の良いところが存分に詰まったA面感溢れるナンバーだったので、この曲を1曲目として構想を始めたのですが、最後の最後になんと3曲目となりました。(英断!) 結果として、1998からいい意味で流れを断ち切る気持ち良さが絶妙で気に入ってます。 河合からは「好き勝手、思いっきり録音してほしい!」と言われてたので、家で絶叫しながらふざけまくったデータを送ったら、ほとんど使われてませんでした。おい!!!!!!!
最後の「いいねぇ…」は、変態敏腕プロデューサーをイメージして録りました。前の曲と情緒が違いすぎてかなり精神的に不安になりますが、逆にそれもtiny babyの良さと言ったところ。 (星銀乃丈)
“ MOU “
作詞作曲編曲:星銀乃丈
MOU!!! ほんっっとにいい曲・・・この曲本当に音が気持ちよくて、音楽なのになんだか幾何学的な感じがしてすごく面白い曲だなって最初思ったのを覚えています。これまた、星くんにしてはかなり珍しい楽曲だなと思いましたね。イントロからアウトロまでずっと心地いい音楽です。MOU の歌詞も心から大好きで、すごくすごく共感できる詩でもありました。
「どこまで行ってもどこまで行っても、全てを知り得ないこと、あなたは分かるから」私もずっと知っていたはずのことなのに、「他人にこう見られたい」だとか、ちょっとした見栄だったりのせいで「わからない」を言えないでいたこと。ここ数年で分からないことを分からないって言える人がどれだけかっこいいのかをたくさんの場面で感じることがありました。自分の尊敬する人が良いって言ったらいいのか? 本当にそれは私の判断なのか?「あの人がいいって言ってるんだから・・・」はもう辞めようってそう思いました。
「食べたいのは食べたいのは、フィッシュ&チップス と いつもゲータレード」 いつ、どんな時でもこの言葉を自分に当てはめて、いろいろな世界を見ていたいなってそう思います。(かわいあこ)
アルバムの制作をはじめて、1曲目にできた「MOU」。僕の好きな友人らのことを歌ってます。 美術館とかに行った時とかって、なんだか「いい作品だね…素晴らしい、ここのこういう点が…」と評論ぶりたくなるのですが、 友人らは「クソつまんなかったわ!!」って一刀両断したり、「最高!」とか「よくわかんなかった!」って潔く言ったりするんです。 それがめちゃくちゃ気楽で、羨ましくてかっこいいなって思ってます。本人には言わないけど。 良い格好したくなる瞬間に、本当にそれがお前の気持ちなのか!そこに愛はあるんか…?(?)とツッコミを入れるような曲です。よくわかんないけど、多分そんな感じの曲です。 (星銀乃丈)
“ 雨のステップ “
作詞作曲編曲:かわいあこ
この曲は自分としても気に入ってる楽曲です。「疲れたバイト帰りでもノれるような、だけど疲れないサウンド」を作りたいと思ってこの曲を作りました。あと私は雨の日が割と苦手なんですけど、雨の日でも仕事は行かなくちゃいけないし学校もいかなくちゃいけないし、どんよりした空気が少しでも澄んでくれるような楽曲になったらいいなぁと思っています。
今まで使ったことのないコード進行だったり、エレピのボイシングを使ってみたりして自分としてもなかなか新鮮な楽曲になりました。私は雨は好きじゃないけど、雨をテーマにした楽曲は大好きで、作るときに自分の好きな雨をテーマにした楽曲をプレイリストに集めてイメージを膨らませました。ユーミンの雨のステイション、salyu salyu のレインブーツで踊りましょう、KIRINJI の雨は毛布のように・・・などこの辺りから結構影響を受けてますね。歌詞の中に「起き抜けの躁と眠るステイション」とあるんですけど、雨振りの夜って行き交う人達も自分も、なんだか一人きりっていう感じを強く感じるんです。それは夜の暗闇だったり、傘をさしていて人の目が見えなかったり、雨音でノイズが聞こえなかったりするせいなのかもしれない のだけど。自分だけの世界に浸っててもバレない空間がそこにはあって、それを感じるとなんだか嬉しくなっちゃうんですよね。みんなにはただの 通行人のうちの一人なんだけど、私の心は今起き抜けの躁みたいに暴れてるんだ! って、なんでもない顔して歩いてるんです。(かわいあこ)
河合がこういうダークなエレクトロを持ってくるのは、ナイスと言わざるを得ないです。 アルバムの中間地点、前半にポップな曲が並んだ中でこういう温度感に自然と入っていけるのは、tinyの良いところだと勝手に思ってます。 あとは今までの河合が作らなかったであろう和声や攻めたコーラスも効いてて、初めて聴いた時には衝撃を受けました。
雨の日の少しダルい気分と、その中でも静かにステップを刻みたがってる身体との相反性を、音と和声が表してるようで絶妙、心地よすぎるぜ。 前に河合に真意を聞いてみましたが適当にはぐらかされました。よくわからずに作ってるのか、わかって作っているのか。笑 どっちでも凄い。河合らしい良さが詰まった曲、僕もお気に入りです。 (星銀乃丈)
“nice!“
作詞作曲編曲:かわいあこ
nice! に関しては、今までの tiny baby じゃ考えられないような楽曲なんじゃないかなあと個人的には思ってたりします。私的に今まで作ってきた曲の中でも上位に入るくらい好きな曲です。なんて頼りない曲なんだって思う方もいると思うし、取っ付きにくかったりすると思うんですけど、私は頼りない曲が本当に大好きで・・・なんだか親近感が湧いちゃうんですよね。この曲を作るにあたってインスピレーションを受けたものたちは、音楽だとfishmans , Wool &The Punts , はっぴぃえんど, 坂本九。漫画「海辺の女の子」。この辺りから影響を受けています。その中でも坂本九の「明日があるさ」の歌詞はすごく影響を受けましたね。今までちゃんと聴いたことが無かったんですけど、去年くらいに初めてきちんと歌詞を最後まで読んで「こんないい歌詞だったのか! 」って衝撃を受けたんですよ。やっぱりちょっと頼りないような、等身大の歌詞ってあったかくって大好き。
まあ、それは置いといて・・・ サウンドだったり歌詞のテンションだったり、その世界観の風景までが曲を作る前から既にイメージができていました。いつものお散歩コースを歩きながら、なんとなく口ずさんでびっくりするほどすんなりと歌詞とメロディーは浮かびました。こんなに気楽に歌詞を書いたのは久しぶりで嬉しかったです。この曲は本当に好きなので、ゆっくりゆっくり届く人に届いたらいいな〜って思ってます。(かわいあこ)
ここからアルバムは後半戦へと入っていきます。それにしてもこの曲、マジでかっこいい。 河合の才能に嫉妬します。多分僕が下手に言葉にしすぎても損だと思うので、河合の考察を読んでほしいです。 曲作りの才能も半端ないですが、河合の作詞能力はずば抜けてると昔から思ってます。 いつものほほんとしていて、デスゲームでも真っ先に退場するような人だと思ってるんですけど、作詞となると誰よりも気概に溢れているのがかっこいい。ナイス。 (星銀乃丈)
“BADTAPE“
作詞作曲編曲:星銀乃丈
この曲はもう今回のアルバムのメインディッシュとも言える楽曲なのではないでしょうか。相変わらず難しかったけど、本当に歌ってて楽しかった曲ですね。私視点から見て、このBADTAPE はすごく衝撃的な曲でもあって、「星くん! 殻から身を乗り出してるのでは!? 」と思いました。今までの正統派 tiny では無い、ちょびっとやんちゃな tiny が私はなんだか愛おしく感じちゃいました。歌詞の動き方や、言葉遣いが明らかに今までの星銀乃丈では無かったです。いい意味でカジュアルになったと思うし、躍動感を強く感じました。これに関しては、Ghost でもちょっと思ったんだけれども・・・ すごくダウナーな雰囲気のサウンドと少しおちゃらけた歌詞の塩梅もまたかっこよくて、生意気なtiny baby が東京の街を練り歩いてるような感じ。今まで部屋の中で歌ってたtiny baby が外へ飛び出してきたような・・・。ちょっとドキドキそわそわしつつもワクワクしてる私たちがここにはいて、tiny baby にとって新鮮で一歩外側へ踏み込んだ曲なんじゃないかなって勝手に思ってます。
この曲なしでは一曲一曲が独立したバラバラのアルバムになってしまっていたんじゃないかなあ。BADTAPE がこのアルバムを一つの流れとして繋げてくれたそんな感じがします。Apple で言いたかったこととかやりたかった事、全部をつなぎ合わせてくれる曲がこのBADTAPE だと思っています。(かわいあこ)
この曲、多分これまでのtiny babyを知ってる人ならかなり衝撃を感じる楽曲じゃないかと思ってます。いろいろなことに対して、「でも、そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!」という気持ちで書いてみました。どうでもいいんですけど、芸人の小島よしおさんと同じ誕生日なんです。だからなんだ、という話ですがオッパッピーの気持ちでいつつも、明け渡さないところは決して明け渡さない。そんな曲になりました。因みに歌詞の中で『観るぜ キングオブコント』と言っているのですが、泣く泣く納期で見れなかったので、せめてと思い歌詞の中で事実を改変しておきました。
そういえば、今回初めてtiny babyで生ベースを録音してます。1998もBADTAPEもリメンバー・ミーも生。弦も5年くらい前から一回も変えてないサウンドハウスのポイントで買った実質0円ベース。ヤサグレ感というか、オールドスクールな感じが今回のアルバムにバッチリだったので、一軍に躍り出てます。 (星銀乃丈)
“Ghost“
作詞作曲編曲:星銀乃丈
いやあ、この曲はね本当にtiny baby の曲の中でも1番好きかもしれない曲ですね。まずこのグルーヴ感だったり、サウンドの心地よさが本当に天 才だと思いました。メロディも相まってハートフルな雰囲気でハッピーになれる楽曲だけど、そこで歌詞をよくよく見てみると割とシリアスなことを言ってたりして。。シリアスなことをシリアスに伝えないのがすごく星君らしくて、その選ぶ言葉の温度感がまた絶妙なんですよね。私はイエスタデイもGhost と同じくらい好きなんですけど、イエスタデイと同列で肩を並べる曲って本当にあるんだ・・・って感心してます。とにかくあったかくって、少しさみしさを感じる、家に遊びにきてた友達が帰っちゃった後、部屋で一人になった時のあの感じ。伝わる?(笑)
MV もこの曲が最初なんですよね。あのMV もめちゃくちゃお気に入りで、すごく楽しかった良い思い出です。水元公園っていうところで撮ったんですけど、本当に「ここどこ・・・?」ってなるくらい広くて、果てしない草原みたいなところで撮ったんです。ワンカットほぼ一発撮りでああいう素でやれるようなMV が私たち tiny baby には似合うよな・・・って、一つの基準になった気がします。これは後日談なんですけど、水元公園実は心霊スポットとしても有名みたいで私たちその心霊スポットで Ghost って曲やってるんですよね・・・ なんかちょっと運命感じちゃいました。(かわいあこ)
これは精神的に参っていた時期に書いた曲です。音数もだいぶ少なくて、構成もシンプル。去年の今頃書きました。夏辺りに音楽をすることが少し辛くなってしまって、2ヶ月くらい音楽を一切せずに過ごしていました。今までそんな事一度もなかったので、自分の中でもとても大きい出来事でした。自分の楽曲の作り方を信じることができなくなってしまって、どうしようと悩んでいた時にこの曲ができました。昔からの幼馴染に相談したら、『心の中の人類に向けて書け!』と怒られて救われたのもあったので、この気持ちを忘れないようにと、色んな想いを込めて作りました。
大切な曲なので、このアルバムにどうしても入れたかったんです。なので、入れました。歌詞の英訳を読むと、きっとまた違った印象になるかと思うので、是非読んでもらいたいです。QRコードのファイル内、歌詞データの場所に入れておきました。(星銀乃丈)
“soon“
作詞作曲編曲:yuigot
この曲はtiny baby 準レギュラーの yuigot 君が書いてくれた曲ですね。いつもは私たちの楽曲をリミックスしてもらっていたんですけど、今回は初の作詞、作曲、編曲という完全プロデュースで参加してくれました。最初聞いた時かわいすぎて一瞬で好きになったし、気づいたら口ずさんでしまうようなそんな威力を持った楽曲です。歌詞を書くのにすごく苦労したみたいで、締め切りに間に合わないかも・・・?みたいなところまで行ったんですが、無事完成させてくれてありがとう。
soon の歌詞で、「モノラルの隙間に覗いただれかの夢」「背伸びしがちな僕らはどうせ見失う」このサビの歌詞はなんだか泣いちゃいそうになるんですよね。この歌詞はまさしく自分のことを言ってくれてるような、みんな何処かで心当たりのある歌詞だなと思っていて、そのあとに「キックハット踏みしめなくちゃ、切り取る一枚のショット」って言ってくれて、今当たり前の自分も友達や家族もやっぱり変わっていくんだから、でもそれを寂しいだけで片付けないで「そんな頃もあったんだ」って未来の自分が気づけるように、足跡をたくさん残しておきたいなってすごく思った、そんな曲でした。未来の自分が見る過去の自分は、唯一自分を第三者の視点で観れる機会だと思うので、私はこれから先も未来の自分にその機会を与えてあげられるように今を満喫しようと思います。(かわいあこ)
yuigotによるシンプル且つストレートなエレクトロ。こういう技量で誤魔化せない曲を書ける紛れもない秀才です。 僕らとは tiny babyが始まった3年前の1作目「baby science」からずっと一緒にやってます。感慨深い。 yuigotにはウエハース, イエスタデイのリミックス、前作「mockumentary」ではIrisの編曲も担当してもらいました。なので、tinyへの解像度が僕らと同じくらい、いや同じだけ高い仲間です。 改めてこんなに素敵なメロディを書けるのが羨ましくて仕方ないです、いつも自分にはできないなと思います。リスペクト。
あと今回特に作詞が本当に素晴らしくて、ここまで全てを見透かされているなんて、少し怖いくらいです。 僕と河合はtinyの真っ只中にいるので、近くて気付けなかったり、言葉にするのをためらったことを、こんなに気持ちよくバンバンと斬ってくれるのが、ゆいごちゃんらしい。センスだなと思います。 (星銀乃丈)
“リメンバー・ミー“
作詞作曲編曲:星銀乃丈
ここまでのアルバムの勢いからフッと肩の力が抜けるようなイントロ、ポロポロ偽りのない言葉が溢れたようなAメロで始まる。このアルバムでたくさん外へ出たから家に帰ってきたときの安心感みたいな・・・この曲はそんな曲だと思っています。最初に聞いた時、星君の歌詞にしては言葉に何も着せてないような感覚がして、割と私たちは遠回しに言葉を置き換えがちだけどこの曲の歌詞にあるように「選ばない言葉で話を始めよう」って、この曲自身で言ってくれてる。着飾らない言葉だけれど短略的ではない、そこに力を感じるし素直な自分の気持ちへの愛しさみたいなものにそっと寄り添ってくれるあったかい曲。
mockumentary で私が書いた「Hands」という曲があるんだけど、そこで「奥の奥にしまってる、埃をかぶった言葉たちを」「選んだ言葉で埋 れていた」って歌ってるんです。この言葉を今回リメンバー・ミーでは「選ばない言葉で話を始めよう」って言ってくれてる、自然とHands の言葉を外へ連れだしてくれてるように勝手に解釈してます。作品を作っていると、本人たちの知らないうちに点と点が結びついてることが良くあって、 毎年今回はどこで結びつくんだろうって楽しみにしてるんです。まだまだこれから見つかりそうだなあ。(かわいあこ)
今回アルバム制作の一番最後に作った曲、リメンバー・ミー。今回のアルバムはかなり内面と対峙しながら、作った曲が多かったので、最後は難しい言葉は一切使わずに、シンプルに作ろう思いました。 大昔に作った曲で、自分が大切にしている曲の中で『Remember You』と歌った事があるんです。なので、返事を返すつもりで『リメンバー・ミー』としました。
まぁ実を言うと、後付けです。昔の曲を聞き返してる時にふと気付いたんです。それも意識せずに自分が過去と未来で返事を取り交わしてたので、良いタイトルだなと思って仮タイトルをそのまま採用しています。
そうそう、プラネテスっていう宇宙開発が進んだ世界の話をテーマとしたアニメがあるんです。そこで返事と取り交わす際に『ユー・コピー?』『アイ・コピー』と主人公たちは返事を取り交わすのですが、そんなイメージにしたかった。 返事なしにはしたくなくて、ちゃんと取り交わしたかったんです。最後はどうせなら、希望のある終わり方にしたかったので、そんな事を考えて作りました。 (星銀乃丈)
(後記:と思ったらかわいも同じようなことを言っていて、めちゃくちゃ驚きました。そんなことあるのか!!こんな偶然、tiny 結構多いです。)
“Ghost (Nao Sagara Remix)“
作詞作曲:星銀乃丈
編曲:サ柄直生
今回初めて tiny baby に参加してくださったサ柄君。この曲は初めて聞いたのが締め切り当日の朝五時くらいで、もう本当に疲れ切ってたんです。 だけどやっと楽曲が全部出来上がって通しで聞いた時もう鳥肌が止まらなくて、心臓がばくばくしてたのを覚えてます。星君とも話してたんだけど、一本の映画を見たかのような感覚に陥ってしまってこんな感覚にさせることができるサ柄君はとんでもないなと、そう思いました。
私たちのサウンドと歌詞とメロディーを重ねて何かを伝えるというやり方に対して、サ柄くんは劇伴のような「音」からの情報というか伝わってくるものが凄くて、ほぼ「音」だけでこんな気持ちになれるのか・・・と。本来のGhost は陽気で明るいけれど、リミックス版はかなりシリアスで美しすぎる故の怖さみたいなものも感じて、Ghost ってこんな姿にもなれちゃうんだ・・・って驚きました。アルバムの最後を飾ってくれてるわけだけど、本当にぴったりでApple を完結させてくれてる。Apple は完全に完結し、第一形態のtiny baby の終わりも感じて、だけどそこに第二形態へ進もうとしてる tiny baby が垣間見えてる。この曲は、tiny baby の一つの物語に終止符を打つエンディングでもあり、新たな物語へと続く予告編でもあるとそう思っています。 一体来年のtiny baby はどうなってるのか・・・私も気になります。ハードルあげすぎた ?(かわいあこ)
サ柄直生 君という、アーティストの方に今回リミックスをお願いしました。サ柄君は、僕が尊敬している、かつ1ファンでもある大好きなアーティストです。 昨年、MaltineRecords から『夏の透濁』というEPをリリースしています。是非、聴いてほしいです。きっとtinyを聴いているリスナーさんもとても気に入ると思います。
それを聴いた時に凄まじい衝撃を受けて、なんて素晴らしい音楽を作られる方なんだと思い1年余り、それから2人で遊ぶようになったりする仲になれたのも本当に嬉しいです。そんな彼に、Ghostのもう一つのバージョンを作ってもらいました。はっきり言って、Remixと呼ぶにはあまりにも言葉が足りないと言うか、概念を超えている、間違いなくもう一つのGhostだと確信しています。アルバムの最後の付いているRemixって、アルバムの世界とは切り離された作品であることも多い中で、この曲はアルバムの流れで切っても切り離せない最後の曲になっています。
あとは、Ghostも作れずに音楽をやめてしまった、もしくは、本当の意味でいなくなってしまったもう一つの if 世界線 が、この曲で供養されているというか、ちゃんと優しく抱きしめられているのを感じて、涙が出そうになります。サ柄くんに頼んで良かった。 彼じゃなきゃ、こんなに苦しい死に体のどうようもない感情を、供養してくれなかっただろうと思っています。ありがとう。 (星銀乃丈)
“ tiny baby 〜最初で最後の真面目な対談〜 “
星「じゃあ、はじめますか。よろしくお願いいたします。」
か「お願いします。」
星「ライナーノーツの最後は、インタビュー形式で「Apple」について深堀りしていけたらと思います!」
か「はい!了解しました!」
星「早速ですが、今回初めて『フルアルバム』を作ってみた率直な感想を聞きたいです。」
か「そうだね…。作る前からまず大変だろうなと(笑)星君曰く、最低でも10曲は欲しいって話だったから、これは今までになく大変だぞ…と。」
星「(笑)」
か「結局想像してたよりずっと大変でしたね。振り返ると、今までのタイニーならできなかったアレンジや作り方をバンバン試してるので、その分の成長も感じた。」
星「そう言われると、アルバム一曲目の最初に”子供上位時代”が来てるっていうのも、まさしく…な感じがするね。『大人になりましょうか』で曲が始まっていく。すごい象徴的かも。」
か「星君的には、作ってみてどうだった?」
星「難しかった…(笑)」
か「(笑)」
星「EPだったら曲数も少ないから、全体のカラーリングを舵取りしやすいんだけど、アルバムはそうはいかない。」
か「運任せなとこあるよね。」
星「だから自分が作りたいものにただ導かれていって、最終的に出来上がったものが、こう!みたいになった。」
か「わかる!」
星「お互い最初に出したデモが”MOU”, “Sonic The Punch”の2曲だったんだよね。その2曲がかなり温度感が異なる楽曲だったから、アルバムをまとめ上げる作業、かなり覚悟した(笑)だからこそ、早い段階からアルバムのコンセプトを詰められたというのはあるね。」
か「軸となることはガッチリ決まってたから、自由に動けたかな。どう外すか…とかも。」
星「うん。前作リリースの『mockumentary』でタイニーの色が結構変わったから、タイニーで起こった新しい変化と、これまでのタイニーをどう折り合いつけるか、いろいろ考えながら作ってたね。起承転結ってよく言うけど、『baby science』, 『silver record』, 『mockumentary』,『Apple』それぞれが綺麗に役割を担ってる。」
か「いや本当にそうよ、綺麗にね。我ながらよくやったなぁ。」
星「じゃあ次は、制作中の思い入れがある出来事、忘れられない出来事について聞きたいです。」
か「心当たりあるんじゃない…?衝撃的な事件が(笑)」
星「はい、色々…(笑)」
か「まず、ZONE事件。連日夜に録音して毎日歌ってたと… 私夜しか録音できないのよ、家の横を車が通ってうるさいから。」
星「大変なんだよね。」
か「夜中に録音するし、ZONE飲んでないとやってられない。」
星「エナジードリンクの。」
か「そうそう。そしたら、ZONEがバッシャーンですよね。録音中に(笑)だからすごい綺麗にシュワシュワ音がとれました(笑)」
星「録音ファイル送られてきて聞いたら、見慣れないファイルがあるなって… ファイル名に『ZONEこぼした音』って書いてあるから、何だこれ…って(笑)反応もさ、特に驚いた様子がなくてただただ無言なんよ。むちゃくちゃ笑った。」
か「綺麗に一言も発さず、ただただ拭き始めるだけだったと思う…(笑)星君は?」
星「俺は1998事件ね…。」
か「(大笑い)」
星「”1998”っていう曲の制作中に起きた出来事なんだけど、サビで『1998~』って歌うのよ。あそこを間違えて納品までずっと『1989~』で歌ってたんだよね。いやもう、衝撃的。納品まで誰も気づかずに進んでたから…(笑)」
か「しかもリテイクも何度も何度もして、やっと終わったってとこで気づいたからね… (笑)ベッドで疲れ果ててたら、星銀乃丈から着信来て。その時にもうね、嫌な予感はしてたんだけど、その上を行った(笑)」
星「気づいた時は、頭真っ白よ。『これ、間違えてる…?いやいや、そんなわけ…』でそんなわけだったんだけど。これでリリースしようかなって思いかけたくらいに、受け入れられなかった…」
か「その後は逆に清々しく、楽しく歌わせていただきましたよ(笑)」
星「本当すみません!(笑)」
星「じゃあ、次の話題。tiny babyの第一期が終わったと思ってて。それも、総決算みたいなアルバムを出して、これからどうしていこうか。みたいな話をできたらいいなと。これからのタイニーをどう思ってますか?」
か「現段階のタイニーでやりたいことは全てやり尽くしたと思ってるかな。」
星「やれること全部やったよね。だから、お引越しかな…?うーん、レーベルとか…?」
か「大人になりましょう』ってことね(笑)」
星「あと、俺はかわいから送られてきたデモを聴いて、『あ、曲の作り方変えてきたな!』って思ったのよ。新境地を沢山の部分で感じたんだけど、自分で意識的に感じてたものだったりする?」
か「うーん、意識的にというよりも、自然に…が近いかな。多分、この一年で私のやりたい音楽だったり、目指したい雰囲気が変わって、それが今回タイニーに反映されてるんだろうなって思う。ただそれだけな気がする。だから、意識的に『違う私を見せつけてやる!』ってのは思ってないかな。」
星「なるほど、じゃあ自然と自分が成長していく中で、変化してきた部分なんだね。」
か「星君は?」
星「俺はね… うーん。俺は、曲を作る時に客観的に考えるのが好きで。この曲を出したら、皆がこういう風に聴いてくれるのかなとか、楽しんでくれるだろうな…とか。あと今のタイニーに必要なのはこういう曲だろうな、って考えたりするのが好きなんだよね。」
か「ほう。」
星「いや、でもね。考えるのは好きなんだけど。でもそれで作ると作為的になりすぎるんだよね。どこか下心があるような感じに聞こえちゃうのよ。」
か「本当にそれ!そうだよねぇ、めっちゃわかるなぁ。」
星「だから今回のアルバムは、頭で考えつつも、自分から自然に出てきたものを大いに信じつつ作ってみたかな。結構普段から、自分の異形な部分と、大衆的な部分のバランス感覚みたいなものは、常日頃考えてるしこれからも永遠のテーマだと思ってる。あこちゃんはこれからのタイニーをどうしていきたい?」
か「そうだね、私が今やってることって、自分の内面とひたすらに向き合って、あーでもない、こーでもないとこねくり回して書いてるのよ。難しい言葉を見つけてみたり、いやでもそれじゃあわかりにくいし…とかね。それもいいんだけど、私がこれ言ったら変だとかを全く考えない自分から飛び出た歌詞を書きたいって思ってる。」
星「だから… もうひとりの自分が書く…って感じとか?」
か「他人事でありたい、歌詞が。なんて言ったらいいんだろうな…。自分が関与したら言えなくなっちゃうようなことって、他人が言うなら許せることない?人が言ってるのを聞くと気にならないんだけど、自分がそれを言うとなると恥ずかしさがあったり。そういうキャラじゃないし… って気分を全部取っ払って書きたい。」
星「活動を続けてると、これは自分っぽくないな、とかをどうしても感じてきてしまうようになっちゃうよね。」
か「そうそう。今はひたすら自己に向き合って書いてるからこそ、一回全部を取っ払った曲も書いていきたいなぁ。」
星「俺達の歌詞って、いつも言ってるけど凄く内省的だと思ってるんだよね。他の人の意見を聞いたことがないからわからないけど、自分で聞いててもパーソナルなことを歌ってるのがわかるから、共感できる人が限られてくるんじゃないかなとも思ってて。それがいいとこでもあり、同じ気持ちを抱えた人の緊急避難先になってると嬉しいんだけど、でも自分の知ってる範疇の人たちにしか届かないんじゃないかなとも考えてる。」
か「なるほど。」
星「俺はその、自分が絶対交わらなかったであろう人たちとか、自分だけじゃ届けれなかった人たちに届けたいと思う気持ちが強くなってきてるから、もっと普遍的な言葉で核心をついたポップスを書けたらなと…。だから、これからもっと難しくなるかも…(笑)」
か「だって、目指してるようなところでもあるよね。」
星「命題だと思ってる。」
か「長いですねぇ…これからの道のり。」
星「絶対まだどこかに待ってる人がいると思うんだよね、その人を信じて書くのみ、かな。」
星「よし、最後にこれを読んでる人に向けて、かわいさんお願いします。」
か「はい、私本当に、自分もそうなのかもしれないけど。まだ全然有名じゃないタイニーを、聴いてくれてる、見てくれてる、この事が本当に嬉しく思ってて、いつも不思議な気持ちになるんだよね。どうして…好きなんだろう…って…(笑)」
星「そんなこと言っちゃダメですよ!、あなた!!(笑)どうして好きなんだろうって、好きだから聴いてるんだよ!馬鹿(笑)」
か「本当にごめん(笑)いやでも凄いんだよ…!探ってくれなきゃ知れないわけじゃん、だから本当に嬉しいのよ。ここにたどり着いてくれた人が。」
星「本当にそうだね。」
か「星君は?」
星「そうだなぁ。これを呼んでくださってる方に向けて。」
か「うん。」
星「tiny babyっていうのはね、いやわかんない、勝手にかわいさんも括っちゃうけど、孤独なんですよ、本当に。」
か「うん。」
星「作ることってきついし精神すり減らすし、常に己と向き合いながらの作業だし、何よりも答えがないのよ。ひとりだし。だからね、わがままだけど本当にね、タイニーを知ってほしい、聴いてほしいって思うんだよね。だからそういう意味でも、このライナーノーツの最後のところもまで読んでもらえてること自体が、綺麗事とか抜きにして本当に嬉しい。それだけで報われるなって思う。」
か「そうだね。」
星「先人たちの音楽に沢山救われてきたからこそ、自分もそれを受け継いでいきたいって気持ちもあるし。まだどっかにいるあの頃の自分に、届けばと思ってやってる。だからこれを読んでる人に何か届いてたらとすると、そ れだけで『Apple』の目標は達成されたかなと思う。」
か「うん。」
星「これを読んで満を持して、曲聴いてください…!(笑)」
か「忘れてた!聴いてください!(笑)」
星「あとは、本当に些細なことで、パッとなっちゃったことを思いとどめられたりするし。だからこそ、感想を頂けたり、誰かにオススメしてくれるのも凄い嬉しいし、もっと嬉しいので言うと直接こうやって買いに来てくれた人がいるってこととか。リスナーさんがいるからこうやって、4作目までリリースできた。本当に本当にありがとうございます。これからも応援していただけたらとっても嬉しいです。」
か「おねがいします。今回は予算がなくて、ライナーノーツはデジタル版になっちゃったんだけど、これもいつか紙で出したいよね。」
星「そうだね、次は紙媒体で出したいね!また出る時は読んでやってください。そろそろライナーノーツも終わりにしようかな。」
か「また来年、秋か。こんだけ言ったからハードルが…(笑)」
星「なんにも変わってなかったらどうしよう。」
か「ちゃんと大人になりましょう(笑)」
か・星「ここまで読んでいただき、ありがとうございました!」
Credits
tiny baby
“Apple”
Special Thanks
aiko, Akai Ko-en, fishmans, FKJ, Happyend, Inio Asano, Masaaki Yuasa, KIRINJI, Kiyoshiro Imawano, Kyuu Sakamoto,
pizzicato five, salyu x salyu, Sayonara Ponytail, Scha Dara Parr, Shintaro Sakamoto, Shion, Tatsuki Fujimoto, Tomita Lab, Yumi Arai, wool & the punts,
to dear my friends and family, to you.
Illustration by Takanari Tazaki
Song Mixing by NNZN (M2,7,10)
Nao Sagara
yuigot
Aco Kawai
Ginnojo Hoshi
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
tiny baby
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