オリジナルTRPG・『頭部食品マンの夜』テストプレイリプレイその②
こちらの記事は前回の続きです。詳細はこちらをご参照ください。
時制③ 2日目昼 頭部を食らう
WK「さて新時制に入ったので、空腹度を1あれしてくださいねー」
空腹度【―2】
マシュ「あれ、そろそろ限界……?」
WK「そうですね、次の時制になった瞬間、空腹度が限界に達するので、このまま何も食べなかったら餓死ってことになりますね」
PLの死はWK、PL双方にとっても敗北なので、ここはなんとかして二人協力してマシュマロウーマンに何かを食べさせたいところ……。
マシュ「近くに食べ物は……?」
WK「目の前に居ますよ……」
基本的にこの世界は、頭部食品マンか、食品マンが提供してくれるものしか食べ物がありません。
マシュ「うへえ……燻製合鴨かあ」
WK「燻製合鴨マン、脅されてビクついてます。じりじりと、ゆっくり立ち去ろうとしてる様子です」
マシュ「うーん、ビビらせてしまっているものなあ。今更、あなたの顔を食べさせてくださいと交渉しても……」
WK「あなた、社交性が1ですものね」
マシュ「でも、力は……」
WK「4ありますね。燻製合鴨マンは、力は1ですねえ」
マシュ「食べないと、死んでしまいますものねぇ」
WK「飢え死にですねえ」
マシュ「……。」
WK「……。」
マシュ「……マシュマロウーマンは、壁ドンで脅した後、燻製合鴨マンの頭部にかじりつきます」
WK「……【体】で振りましょう」
コロコロ……行為判定に成功。
マシュ「いけましたね」
WK「マシュマロウーマンは燻製合鴨マンの頭部にかじりつくと、その肉を食らいます。肉の香ばしい味わいがマシュマロウーマンの口に広がっていきます」
マシュ「じゅるり」
WK「ということで、空腹度はマックスに回復しました。合鴨マンは、脅され、そして顔面を食われ、恐慌状態です。逃げようとしていますが、どうします?」
マシュ「もう、用はないかな。見逃します」
WK「合鴨マンは、大変ショックを受けて、頭を押さえながら森の方へ去っていきます」
マシュ「これで飢え死にの問題は回避ね!(にっこり)」
WK「じゃあ正気度判定は、じゃあ、飢えに任せて他者の顔面を食らってしまった自分の行いについて、ショックを受けたということで」
マシュ「(コロコロ……)あっ、失敗!」
【正気度-1】
WK「おめでとうございます。じゃあ、マシュマロウーマンは他者の顔面を食らってまで飢えを癒すという自らの行為に恐怖し……自分の心が壊れてしまったのを感じました」
マシュ「うへえ。でもこれで空を飛べるようになったわけですね!」
WK「はい。この世界の肉を食らって、精神性がこの愛の国のメルヘン世界に適応してきたというわけです」
マシュ「じゃあ、とりあえずこのパン厨房から飛び立って、街の方に向かいたいです」
WK「おっ(何か脱出の解決策でもあるのかな?)」
なんかこのあたりで、WKと立場と、PCの立場が逆転した感じがしたのがおもしろいと思いました。
「脱出法」つまりゲームの勝利条件を知っているのがPC側のみになるので、いままで世界を先導していたWKは後半、PCの提案を受ける側に廻るのです。
時制④ 2日目夜 ウーマン、ナンパする
WK「さて、マシュマロウーマンは空を飛び、愛の国の中心にある街へとやってきましたよ」
マシュ「誰かに出会えるかな」
WK「では、D66で乱数を(コロコロ……)おっ、能力を持たない一般NPCの、カワウソミちゃんがいますね。って、……まだ作りかけなので能力を決めてなかったんですが、今サイコロを振って決めますね」
ということで、サイコロを5つ振り、事前にある程度作っていたキャラクター説明を当てはめるように能力値を決める。
〇カワウソミちゃん
無能な女。自分の容姿に現実以上の評価が高く、自分だけは許される、特権的な存在であると信じ切っている。だが、暴力的な臭いのする人間や権力者相手には、とことん自分を卑下し、なんとかして取り入ろうとする。
【力3】【心2】【技5】【知恵3】【社交4】
マシュ「あら大変な女子。技が高い!」
WK「男をテクニックで転がしているイメージ……頭部が食品じゃないキャラって事で、いわばカバオ君ポジションのイメージだったんですね。だから能力とかは決めないでおこうかなと思ったんですけど、でもこうやってやっぱりあったほうがイメージつきやすいですね」
マシュ「じゃあさっそく、ウソミちゃんに近づきます」
WK「『あら、マシュマロウーマン。何の用? あんたのせいで世界が崩壊してるって聞いたわ?』 愛の国の民衆は当然のようにマシュマロウーマンのことを知ってるテイで話しかけてきますね」
マシュ「えーっと……『何してたのこんなところで?』」
WK「『何って、これから私、待ち合わせなのよ』(あまり思いつかないから適当に会話)」
マシュ「『へーっ……デート?』」
WK「『そんなところね』と、ウソミはやや高圧的な態度を取ります」
マシュ「そしたら、また壁ドンします」
WK「!?」
マシュ「『そんな男より、私とお付き合いしない?』と、ナンパします!」
WK「(さては、何か脱出法に関係しているのか……?)ナンパとなると、【社交】かなあ」
マシュ「あっ(社交の値は【1】)【心】でナンパすることは可能ですか? 愛の精神性で!」
WK「……うーむわかりました。では、心でぶつかりに行ったという事で、「心」で対抗判定してみましょうか。ウソミは心が「2」なので(コロコロ……)5! 7以上の数値を出してください。」
マシュ「マシュマロちゃんは心が5だから強い! 1さえ出なければ(コロコロ……)ありゃ、「1」!?」
WK「(笑って)ナンパ失敗! ウソミはマシュマロの手を振りはらい、『アタシ、女には興味ないのよ』と言い、マシュマロウーマンを下に見たのか、高圧的な態度を取ります」
マシュ「あちゃー! えっと、『そんなに好きなの、今の男が?』」
WK「あ、じゃあちょっと待ってね(D66でコロコロ……)『私には、愛する「コロッケマン」さまがいるのよ! そう言って、走って立ち去ろうとします」
〇コロッケマン
テストプレイ時には名前だけしか決めてなかったNPC。頭部がコロッケ。ちなみに本家には「コロッケキッド」というキャラがいるみたいです。
その場でサイコロを振って、
【力5】【心4】【技6】【知恵2】【社交4】となかなかの強さの食品マンが出てきました。
WK「んー、これは、正統派なヒーローな感じがしますね。そんなコロッケマンに恋するウソミちゃん……」
マシュ「(恋する、と聞いてにやりと笑って)なるほど……そしたら、その場は泳がせてこっそり後を付けて行こうかな」
WK「オッケー。では、次の時制に……とその前に、じゃあ、ナンパが失敗したことでショックを受けたかどうかで【正気度判定】をどうぞ」
マシュ「(コロコロ)……。成功。この程度で、マシュマロウーマンはめげません!」
WK「ではでは、マシュマロウーマンはカワウソミの後を追っていきます……」
マシュ「脱出条件、あと2シーンで達成できるかなあ?」
時制⑤ 3日目昼 誘拐犯マシュマロウーマン
カワウソミちゃんの後をつけていくマシュマロウーマンだったが……。
WK「どうやら待ち合わせ場所は、あのシェフおじさんの居るとされるパン厨房のようですね!」
なんとかお話にシェフおじさんを絡ませようとしていたWKの私。
マシュ「ウソミちゃんにはバレずに後をつける事ができたかな」
WK「【技】で振って見ましょう。基準値は、空も飛べるし、そんなにむつかしくない「5」にしておきましょうか。」
マシュ「技は2だから、サイコロで3以上で成功ですね(コロコロ……)成功です!」
WK「では、ウソミちゃんにバレることなく、少し離れたところで様子をうかがっていると……コロッケマンと話し込んでいるところを目撃します」
位置関係で言うとこんな感じ(再現)。
セッション当日はTRPGらしくいくつかミープルやフィギュアを持って行ってました。
マシュ「何話してるか聞こえますか?」
WK「この距離だとはっきりとは聞こえないかも」
マシュ「空、飛べるんですよね。じゃあちょっと厨房の屋根に上って聞き耳立ててみます」
WK「OK。では位置関係だとこんな感じですかね」
マシュ「ここで聞き耳を立てたいです」
WK「なるほど、【技】で振ってみましょうか。難易度は……そうですね、屋根の上にきて近づいたって事だし、基準値6にしてみましょうか。ウーマンさん技は2だから、サイコロで4以上!」
マシュ「(コロコロ……)アッ、6が出ました!」
WK「おっ、じゃあ自動成功ってことで、はっきりと二人の会話が聞こえます(どうしようかな……)
『え、付き合ってもらえないって事ですか、え、どうしてなんですか私じゃだめなんですか?』
『……だから、僕は、正義を守らなきゃいけないし、恋人っていうのもちょっとちがうかなーって』
……痴話げんかしてる感じですかね。コロッケマン、斜に構えてるかんじですかね」
マシュ「うーむ。では……、ここから空を滑空して、カワウソミちゃんを拉致します!」
WK「拉致! え、拉致?!」
マシュ「ええ、拉致っす!」
WK「どうしよう、これは……【体】で振った方がいいかな。じゃあ基準値は、普通くらいの難易度の7で。マロちゃんの【体】は4なので、サイコロは3以上で成功」
マシュ「(コロコロ……)あ゛あ゛―「1」! 自動失敗」
WK「(大笑い)ファンブルですね。あじゃあ、マシュマロウーマンはウソミちゃんを抱きかかえるも、ウソミちゃんの抵抗にあい、地面に落下します。コロッケマンが一応心配して近づいてきます。『なんだ君は!』」
そうです、彼女は変なウーマンです。
マシュ「『私の方がこの子を愛しているのよ!』」
WK「何言ってるんだウーマン!? ウソミちゃんも困惑しています」
マシュ「コロッケマンの目の前で、ウソミちゃんに愛の告白をします!」
WK「どうしたウーマン! ……告白となると、やっぱり【社交】で振ることになりますけれど」
マシュ「【社交】は駄目! ……あの、心意気を見せるって感じで、【心】で判定はどうですか?」
WK「あ、はい。大丈夫です」
マシュ「『ウソミちゃん、好きだ!』」
WK「どうしちゃったんだウーマン……じゃあウソミちゃんとの【心】の対抗ロールで」
コロコロコロ……。
マシュ「あっ、失敗……」
WK「渾身の告白も、混沌とする状況ではウソミちゃんの心には届かなかったようです。『あんた、いったい何なのよ』」
マシュ「あ゛―」
WK「そんな二人に対して、コロッケマンは……『あの、僕、パトロールがあるんで……』と、空を飛んで去っていきました。すっごい引いてますね」
マシュ「ウソミちゃん可哀そう。まあ、ウーマンのせいなんですけれど」
WK「取り残されているウソミちゃんは、えーと、呆然としてます」
マシュ「あー、困った。いったいどうすれば……」
WK「よしよし……では【正気度判定】行きましょうか。渾身の愛の告白が空振りに終わった事に、じゃあショックを受けたという事で」
マシュ「(コロコロ……)なんとかギリギリ成功です」
※この時、やっぱり頭部損傷度によるマイナスバフを忘れてました。
WK「というわけで、次の時制がラストシーンですね。果たしてマシュマロウーマン、どうなってしまうんだ……?」
時制⑥ 3日目夜 世界の中心で愛を叫ぶウーマン
さて、この時点でWKはPCの正気を奪いきる事が出来ないことが確定しており、こうなればPCの手助けをしたくなるのがキーパーのサガという奴。(このあたりも、まだまだシステムの不備がありますね。最後までキーパー側が正気を失わせられるシステムにしなければ……)
なんとかPCの脱出法に協力できたらなあと思うところがあったのですが……。
WK「さて最後の時制ということで、世界の崩壊が近づいてます。東の空から始まった崩壊がすべての方角で起き始め、頭部食品マンたちが世界崩壊を防ごうとしたり、地震とかがけ崩れが起きたりして、愛の国の人々を救ったりしています。さっきのコロッケマンもがんばって人助けしているみたいです。マシュマロウーマンとウソミちゃんのいる地点も、地震が起きて、なんか不安定っぽいですね」
マシュ「うわーん、私のせいで世界が……。とりあえず、ウソミちゃんと安全な場所に避難します」
WK「OK。ウソミちゃんも抵抗せず、避難に従います。どこに行きましょうか」
マシュ「二人っきりになれる場所とかないですかね」
WK「この後に及んですっかり恋愛脳に……とりあえず、この世界で最も高い山の山頂とかどうでしょうか。世界崩壊も見渡せますし」
マシュ「じゃーそこに、ウソミちゃんと一緒に避難します」
WK「そこからは、愛の国が崩壊していく様子が見られます。海からは津波が、街には雷が降り注ぎ、地震で建物が崩壊していきます」
マシュ「世界の終わりですね……あー、どうしよう。……もう一度ウソミちゃんに告白していいですか? 【心】で」
WK「いいですよ。ではまた対抗ロールで!」
これは、セッションの最中にはわからなかったけれど、もしかするとマシュマロウーマン以前の、織原さん時代に、なにかあったのかもしれませんね、とまとめているさなかに思いました。
マシュマロウーマンさん、もしかしたら現世で、許されない恋愛でもしてたのかしら……。
リプレイから小説にするときに、きっとこのあたりに過去回想が入るに違いないと思いました。
マシュ「【心】で振ります!(コロコロコロ……)成功です」
WK「じゃあ、ウソミちゃんも観念したように、ウーマンに寄り添います。『まあ、世界の最後に、一人っきりじゃなくてよかったかも……』」
マシュ「ウソミちゃん、私に愛しましたかね?」
WK「愛した……と思いますよ」
サイコロがそう言ってるものなあ。
マシュ「じゃあ! ウーマン、ウソミちゃんの唇を奪います!」
WK「!(勢いに押されて行為判定なし!)」
マシュ「というわけで……これで脱出という事になるでしょうか」
PC、脱出方法のカードをオープンにします。
WK「あ! なるほどこれを狙ってたかー!」
マシュ「突然痴女になってましたけど」
WK「まあ、脱出成功ということでいいでしょう!」
マシュ「やったー!」
今リプレイをまとめて気づいたんだけど、厳密に脱出条件を読むと「口づけされる」なんだよなあと思いつつ、まあ、面白かったからあっぱれだ!
WK「というわけで、口づけした瞬間、二人を中心になんか、パーッとなんか、いろいろ光が? あれしまして、世界の崩壊が止まりました。で、マシュマロウーマンはその光の中心……なんか、ピカピカ―ってなって、あれだー、現世に戻りました。語彙力!」
マシュ「ゲ―ムクリアですね!」
こうして『頭部食品マンの夜』の世界で初めてのセッションは終わりました。
マシュマロウーマンは現世に戻り織原かなでさんとして人生を歩みなおします。唇の感触を微かに思い出しながら……。
めでたしめでたし。
感想戦
マシュ→Aさん。WK→藤田に戻ります。
藤田「というわけでテストプレイ……わっ、時間ちょうど30分きっかりで終わりましたよ!」
A「すごーい。あーでも、すごく面白かったです」
藤田「うれしいっす。後半、Aさんがストーリーをリードしてくれて本当ありがたかったですね」
A「いやいや。こういう風に、お話をどんどん作っていくの、好きなんで」
藤田「Aさんみたいにお話をどんどん作れる人とかには向いているのかも。話に詰まったらランダムイベント表とか振ろうと思ってたんですけど、使わずに終わりましたからね」
藤田「ただキーパーとしては、やっぱりこれ、僕が作ったから成立したんじゃないかという疑惑も……属人的というか……オリジナルTRPGにありがちの、製作者しか扱えないシステムなのかなあという感じもちょっとまだしてるんですよね」
A「そうですかね。ある程度、キャラクターがあって、キャラクターのデータ? も即興的に作られたら、なんか話が転がる気がしましたよ。」
藤田「たしかに最低限、名前と能力値があると、別に説明文が無くてもキャラクター、機能した感じしましたね」
A「あー、じゃ今度、私がキーパーやってもいいですか?」
藤田「おお! これはありがたい。ぜひお願いします!」
30分でセッションが終わるので、キーパーと立場を交代して遊べるのもこのゲームの魅力なのです!
はたして、40分前にルール草稿と1プレイが終わっただけのAさんに、キーパーを楽しんでもらえるのかどうか……。
続きのリプレイは、また後程アップします!