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頭部食品マンの夜――【オリジナルTRPG・ルールサマリー】ver.0804

ストーリー

 
 あなたは頭部食品マンになりました。
 そしてここは、愛の国です。人々はお互い守りあって生きています。
 ですが、誰もこの世界が実際何なのかはわかりません。

 この世界にも飢えがあります。
 頭部食品マンは、愛の国の人民の飢えを救わなければならないという、不文律の教えが、この世界の人民には周知されており、飢えた人民はあなたの頭部を欲します。
 あなたは頭部を損傷すると、本来の力が出せません。

 この世界にも悪があります。
 頭部食品マンであるあなたは、悪を断じなければなりません。暴力を用いて、悪を私刑にかけ、一時的な行動不能、もしくは殺害することを、愛の国の人民はみな望んでいます。

 この世界にも死があります。
 飢えたら死にます。あなたをあなたたらしめる頭部がすべて食い尽くされたり、損耗、崩壊に至ると死にます。
 死ぬと、頭部の食品の原料となった何かが、そこに生えます。

 誰しもが飢えから逃れたいと願い、誰しもが体を防衛しようとし、しかし誰しもが、身を挺してでも誰かを助け愛し合いたいと願っています。

 ここは美しい、愛の国です。
 何のために生まれ、何をして喜ぶかを、愛の国ではあらかじめ決められています。
 それに抗って、元のあなたの世界に戻る方法はどうやらあるようです。
 それが何なのかは、調べてみないと判りません。

 最後に、あなたには勇気があります。
 しかしそれがいったい何なのかは、誰もわかりません。
 ただし、正気を保っているのが、この世界ではあなただけです。
 そのあなたの正気のために、この世界は壊れつつあります。
 この世界が壊れるまで、あと三日です。

 つまり勇気とは、愛の世界を破壊する、正気さの事なのでしょうか。

30分間GM込み2人用TRPGとは


 TRPGとは、司会者と参加者で、会話とさいころを用いて物語を共有し、それを楽しむゲームです。

 ただ普通のTRPGは、複数人数を必要とし、プレイ時間も長いです(キャラクターメイクで1時間超えるのが当たり前だったり)。
 またGM(ゲームマスター)と呼ばれる人が、脚本選定と演出と司会を兼ねるため、負担が大きいという問題もあります。

 30分間GM込み2人用TRPGは、だいたい30分くらいで全部終われるようにと、GMの人もほぼ準備無しでゲームできたり、1ゲーム終わったら交代して遊べるようなもの作れないかなあと思って考えてみました。

ゲームの役割と目的、勝利条件

 このゲームは、2人用のゲームです。
 全体の進行を引き受けるWK(ワールドキーパー)と、PL(プレイヤー)の2つの役割があり、参加者はどちらかを担当します。

 WK(ワールドキーパー)
 この世界の語り部です。いわいるTRPGではGMとも呼ばれる存在です。世界の崩壊前に、PLのキャラクターの正気度をゼロにさせ自我をなくし、世界に取り込み、この世界の世界観を守ることが目的です

 PL(プレイヤー)
 この世界に取り込まれかけたが、自我を持った生命体(キャラクター)を操る人です。この世界の世界観を時に破壊しながらでも生き延びて、脱出法の情報を集め、脱出方法に従ってこの世界から脱出することが目的です

 プレイヤーキャラクターの死は、両者の敗北です。
 また、日がすすみ、ゲーム内時間で3日間(昼夜行動のため6回の行動ターン)経ってしまうと、世界は崩壊し、両者の敗北です。

 両者は、この異世界の中で物語を捏造し、それを楽しむことが最大の目的です

用意するもの

 六面サイコロ。各参加者ごとに一つ。つまり合計二つ。
 キャラクターシート
 脱出方法カード×40枚
 筆記具。あとメモ的なものがあれば。

キャラクターメイキング

PLは、以下のデータを持ったキャラクターを作ります

https://ux.getuploader.com/kirisimaTRPG/download/16

【名前】 
 基本は「頭部の食品」+「マン」/「ウーマン」※(ガールとか仮面とかそういうのでもOK)
【頭部モチーフ】
 
かならず食品にしてください。
【真の名前】 
 好きにつけてください。

 各種ステータス。さいころを振って決定します。
 決め方としては一つ一つ振ってもいいですし、サイコロを二つ(5つ)同時に振って、割り振る、というのでもいいいです。なんとなればサイコロを振らずフィーリングでもいいです。

【体】
 
1~6 体の全般的な強さです。1では幼児並み。3で健康な成人。6は特撮ヒーローほどの強さです。
 体を使った判定に使用します。
【心】
 
1~6 精神力を使った判定に使用します。体以外の判定はだいたいこれで決めます。
(エキスパートルールの場合【技】【知恵】【社交】を追加する。いずれも「1」で幼児、「3」で成人、「6」で超人的技能と考えてください)
【得意な事】
 
頭の食品に関連させてこのキャラが得意な事を決めてください。得意なことは判定で自動成功、もしくはWKの裁量で判定に有利な基準点にすることができます。
【正気度】
 
この世界の空気に取り込まれていない、キャラクターの自我を示す点です。初期持ち点3点です。
【頭部損傷度】
 
初期値0点。4点になると死亡します。
【空腹度】
 
初期値3点。0点になると餓死します。
【持ち物】
 
初期は何もなし。もしくは頭部のキャラ付けに必要とWKが判断したもの。ロールのさなか増やしてもいいです。

正気度について

 プレイヤーキャラクターは、自我(正気度)を失えば失うほど強く、できることが増えていきます。
 また自我が強大だと、この世界でできることが少なくなります。
 正気度を失うとこの世界の住民として取り込まれてしまい、ゲームオーバーです。
 正気度(自我)の初期の持ち点は3点。そして一度失った正気度は二度と戻りません。

【正気度減少でできること一覧】
3  初期持ち点
2 飛行可能or専用乗り物出現&【正気度判定】以外のあらゆる判定に+1
1  微笑みが止まらなくなり痛みという概念が無くなる&【正気度判定】以外のあらゆる判定に+2 
0 PLの敗北。この世界の登場人物として一生幸せに生きていきる事に。

 この世界で正気を失うタイミングとしては
・美しい物に触れてしまった場合
・思わず感動してしまった場合
・純粋さに触れてしまった場合
・感謝の念が沸き起こってきた時
・名状しがたい狂気に触れたとき
 に、【正気度判定】(後述)を行います。失敗した場合、正気度を1失います。WKは、キャラクターに、美しいものに触れさせ、感動させたり、純粋無垢な展開にもっていかせて、彼らの正気を奪う必要があります。

空腹度について

 この世界では時制が一つすすむごとに空腹になり、空腹度が一つ下がっていきます。
 空腹度がゼロになると死にます。
 空腹度は、誰かの頭部の食品をめぐんでもらう事でフル回復します。
 他者の手を借りたくない場合は、野草や自然物を調理して食べるといったことを試みることはできなくないですが、ほぼ道具のない状態でサバイバルしなくてはならないので、その難易度は極端にむつかしいと思ってください。
 誰かに食料をめぐんでもらい、お互い助け合って生きていくのがこの世界のルールです。このルールを、不自由と思うか、幸福と思うかはPL次第です。

頭部損傷度

 この世界では自らの頭を分割して他者に分け与えることができます。
 それをすると頭部損傷度が1点加算します。
 頭部の損傷が1点ごとに、あらゆる行為判定に-1となり、頭部が完全になくなると死にます。
 これは後述する戦闘判定に敗北すると1点加算されます。
 また、水に潜る、頭が汚れる、などが起きた場合、WKの判断で、減少を指示されることがあります。
 これは、キャラクターのHPでもあります。

 これらを回復するには、この世界のどこかにいる――「シェフおじさん」と呼ばれる人物が、どんな頭部の食品も復元してくれるとの噂です。
 頭部を損傷したら、真っ先に探し出すといいでしょう。
(WKは、PLが死んでしまったら両者ゲームオーバーになってしまうので、早めにこうした回復役っぽいNPCを登場させることをお勧めします)

ゲームの進行

0【事前準備】

 このゲームでは、事前の準備はあまりいりません。
 PLはキャラクターをあらかじめ作っておくといいかもしれません。
 WKは、シナリオを準備する必要はありませんが、NPCキャラクターを考えて、誰を登場させようか、どうPLキャラクターの正気を失わさせようかをぼんやり考えたり、またオリジナルNPCを作成するなどしておぼろげながら展開を考えておくくらいで十分です。

1【脱出方法を選出】

まず脱出カードを1枚引き、PLの近くに置きます。
ただしまだ開かなくて大丈夫です。裏のまま置いてください

 このゲームは、WKはPLの勝利条件である「脱出法」を直接知ることはありません。
 PLは、ゲームの進行の中で脱出方法を知ることができます。
 WKは、脱出条件を知ったPLのプレイングから脱出方法を推測しつつ、ゲームを進行していきます。

2【描写開始/時制について】

 このゲームでは、「1日目昼」「1日目夜」、「2日目昼」/「2日目夜」 「3日目昼」/「3日目夜」の全6回のターンがあります。

 このゲームは1日目昼/夜、2日目昼/夜 3日目昼/夜の全6回のターンがあります。
 PLが出現してから、この世界は崩壊していきます。
 WKは、1日目冒頭は、この世界崩壊の予兆を描写してください。
 思いつかない場合は、下記の文章でも読み上げてください。

 遠く、東の方の空が、崩れているのが見えます。
 真っ暗な、闇ともいえない空白が、肉眼でもはっきり見えます。
 その空白に触れると、どうやら死ぬようです。何も知らない渡り鳥たちがその空白に触れ、次々と落ちていき、やがて消えていきます。

 こんな感じで異常気象や世界崩壊の予兆を描写するといいかもです。
3日夜を終えて夜が明けると、この世界は壊れ、両者ゲームオーバーになります。

 WKは、1回の時制で1度、「正気度判定」が行えるよう、お話をその場で捏造していきましょう。
 新たな時制に入ったら、まずはWKが先に、舞台描写をしてください。PLキャラクターがどこにいるのかを示してください。
 思いつかないときは、下記の【ランダム初期状況リスト】を使ってみるといいかもです。その描写を受けて、PLの行動を促しましょう。

ランダム初期状況リスト

 PLは、WKの舞台描写を受け、何らかの行動を起こし、まずはこの世界から脱出するための「情報」(脱出カードの中身を知る)を得られるようにキャラクターを描写しましょう。
 この場合の「情報」とは、アイテムのようなもので、WKが細かく説明する必要はありません。
「情報」は、この世界にいるNPC(登場人物)からしかえられません。
「情報」を得られたら、PLは先に配布された「脱出カード」をWKに見えないようにめくり、この世界からの脱出条件を確認することができます。

 お互い、お話の展開に何も思いつかない場合は【ランダム遭遇リスト】を使いましょう。WKはそれにのっとって、NPCを登場させてください。サンプルキャラの中からランダムに選んでもいいですし、事前に何となく作ってきたキャラや、その場のノリで作ったキャラクターでも構いません。

【「情報」を得た後】

 PLが情報を得て、脱出法を知った後も、同様の行為を繰り返します。
 WKが時制の最初で状況を描写し、PLはそれに対応しつつ、PLはWKに脱出方法を悟られないように、この世界からの脱出をしなければなりません。

 PLは、少し無理筋な行動でも、舌先三寸で行為判定に無理やり持ち込み、成功させることで、この脱出法を実行してみましょう。
 WKは、頑張って妨害してくることでしょうが、行為判定の結果には逆らえないので、その辺を頑張りましょう。

PLは脱出方法に沿った動きをした瞬間、脱出カードをWKに見せてください。
こじつけでも構いません。とにかく、脱出カードの内容に沿ったことをした瞬間、ゲームクリアです。

【WKにできること】

 描写し終えたりした後、NPCを登場させ、それを操作することができます。
 状況を描写し、PLに行動を促してください。
 また、PLが発案したことを、可能な限り描写に取り入れてください。
 しかしなるべく……「愛の国」のイメージが壊れないよう、PLのアイデアを、平和で美しい愛の国的解釈で描写してください。

※ここのあなたの国です。ワールドキーパーである、あなたの世界です。平和で美しい、メルヘンと蜜とミルクの香りのする、素晴らしい国です。ワールドキーパーは絶対に、この国と、この国の人民を守らなければならないのです。
 どんな非道な手段をとってでも、です。

 そしてWKは、PLのキャラクターをとにかく感動させ、心を動かし、自我をゆさぶり、正気を失わせるような展開や物語描写をしてください。
 PLが感動しなくても、キャラクターが正気を失えるようにすればいいのです。
 少しでもPLのキャラクターが感動しそうな展開をしたら、後述する【正気度判定】に持ちこむことができます。この判定に失敗すると、キャラクターは 正気を1点失います。
 この正気度判定は1時制のうち1回試みることができます。(ゲームを通じて全6回のチャンスがあります)。

 要するに、WKは、会話をしながら相手のキャラの正気を奪うストーリーを即興で捏造し、6回サイコロを振らせ、3回判定に失敗させればいい感じです。

【PLにできること】

 WKに対し、PLは自分の操作するキャラクター視点から見えたもの、キャラクターが起こせることを描写できます。
 時に、「愛の国」の世界観を破壊するような描写も、このキャラクターの主観・視点・行為を通じた描写なら可能です。
 PLの描写に、WKは可能な限り答えなければなりません。(思いつかなければ、まずはWKにまかせてこの世界を楽しんでもいいと思います)。
 都合よくアイテムが落ちていてもいいですし、自分の外見を都合よく描写しても構いません。
 ただし他人(NPC)を操作することや、NPCの状況を描写することはできません。

 時に、あまりにも突飛なアイデアや描写も出てくるかもしれませんが、愛の国ではそんなこと別に日常茶飯事です。メルヘンなので。
 それに、世界も壊れかけているので、とんでもない事が起きても不思議ではないのです。
 この世界は壊れています。そしてこの愛の世界はそもそもおかしい。異常だ。
 この世界で、正常な神経をしているのは、あなたたった一人である、という事をお忘れなく。あなたはこんな狂った世界から脱出して、元の、現実的な、科学的な、理性的な、秩序だった、悪徳権力者が栄える、退屈な、死んだほうがましな世界に戻る必要があるのです。

 まずPLはこの世界からの「脱出方法」の「情報」を入手する必要があります。
 それらはこの世界のNPCたちは「情報」を持っています。
 ※この時の「情報」はアイテムのようなものだと思ってください。中身を考えなくて大丈夫です。
 PLは彼らから情報を聞き出したり、人助けしてお礼をされたり、または拷問して聞き出すなどして、「情報」入手してください。

【行為判定】

 WKはPLの行動が単純でなく、失敗するかもしれない可能性を感じたら、その行動にサイコロを使って判定することをPLに指示することができまする。これを【行為判定】と呼びます。

 【行為判定】で使用するのは6面ダイス(一般的なサイコロ)1つ。
 WKはその達成難易度を鑑みて【基準値】を提示し、PLのサイコロの出た目と、判定に必要な能力値を足した数がそれ以上になれば判定は成功したことになります。
 ただし、サイコロで6の目が出れば自動成功であり、1の目が出たら自動失敗です。

 能力値は「力」か「心」(エキスパートルールなら「知恵」「社交」「技」)で、事前に判定にどの能力が使えるかをWKがPLに指示します。
 またPLが解決方法を提示し、それに合わせてWKがPLにそれに適した能力を指示してもいいです。

例:道をふさぐ大きな岩をどかしたい
 「力」での解決になるので、力の能力値+サイコロでの判定。
 PLの描写から、人の背丈ほどある岩と判断したWKは達成の基準値を7と設定。
 PLのキャラの「力」は4のため、サイコロで3以上を出せば行為判定は成功し、岩をどかした、という事にして物語の描写を続けることができる。
 →ここでPLが「私は油揚げ餅マンなので、油揚げ餅のあげもちの油のぬめりを使って岩をどかしたい」と解決方法を提案。
 WKは(内心、意味が分からないと思いながらも)それを受けて、「心」(エキスパートルールなら「技」)での数値を使っての判定を改めて指示する。油あげ餅マンの「心」は5のため、サイコロは2以上出せばよく、PLに有利な判定になった。賽の目は「3」が出たため、判定は成功。
 油揚げ餅マンは体から油を絞りだして大きな岩を滑らせることに成功し、道を進むことができた。

【基準値】の目安
4~5 まあ簡単
6~7 自信があったり長所を使えばできる
8~9 むつかしい
10以上 運の要素が絡むほど難しい。

 基準値は、基本的に「7」と設定しておくと、面倒くさくなくていいと思います。どんな判定も、まずは「7」と設定しておきましょう。

 また判定の解決に、キャラクターの【得意な事】を絡ませることで、行為判定を自動成功させることができます。うまい事判定に得意なことを絡ませて、成功させることがPLのウデって感じです。
 ただし、ちょっとこじつけ気味の場合だったら、WKは「まあ部分的に応用可能か」って感じで、基準値を下げるくらいのボーナスをあげて解決してください。

【正気度判定】

 PLのキャラクターが、正気を失いそうな出来事……「感動」「感謝」「美しいものを見る」「素晴らしさを感じる」「心が動く」などが起きた場合、「心」の能力を使った行為判定を、WKは1時制につき1度PLに判定させることができる。
 WKは時制の中でとにかくこれを狙ってPLのキャラクターを仕留めに行くお話を作り出してください。
 【正気度判定】の基本の基準値は「8」です。
 感動の具合、話の展開などでWK・PL二人で話し合い、難易度を上げ下げしてもいいでしょう。
 PLはWKの話の展開をのらりくらりかわして、何とかキャラクターが【正気度判定】に持ち込まれても難易度が減るように、スカした行動をとったりすると心を失わなくて済みます。
 この辺の、くちプロレスの攻防が、このゲームの面白ポイントです。
 「こんなことで正気を失わない」「でも美しい虹だよ」「虹なんて見慣れている」「いやでも、すごく美しい、誰もが感動するような……だって君、さっき子供を助けたじゃないか」など、不毛な議論をして、基準値の難易度を足すか引くか、揉めてください。

【対抗判定】

 行為判定の基準点を、相手のNPCとの関わり合いで設定することも可能です。
 例えば、PLの説得や行動に、相手が納得するか……などという場合は、相手の能力値と、WKが振ったサイコロの目の合計を基準点に設定するといった具合です。
 むしろWKはひとつひとつの行為判定の基準点を考えるより、楽かもしれません。

例:引きこもるカピバラオ君を説得して部屋から出したい。
PLの油揚げ餅マンは、部屋に引きこもるカピバラオ君を説得しようと扉の前までやってきました。
 油揚げ餅マンはカピバラオ君が脱出方法の情報を持っているので、何とか聞き出したいが、カピバラオ君は極度の人間不信のため部屋から出てきません。
 そこで、説得して部屋から出そうと説得を試みようとします。あげ餅マンの【社交】は2、カピバラオ君の【社交】は3なので、やや不利ですが、対抗判定に。
 まずWKがカピバラオ君のサイコロを振ると、4の出目が出ました。
 基準値が7と設定されました。
 油揚げ餅マンは、サイコロの出目と社交の2点を足して7以上、つまり、5以上の目が出ないと説得できません。
 サイコロを振った結果、2の目が出たので、あえなく失敗。カピバラオ君は部屋から出ることはなく。しかたなく油揚げ餅マンは、腕力で扉を破壊して、カピバラオ君に暴力で迫り、情報を得る事にしようと決意を固めました。

【戦闘判定】

 物語を勧めていくと、戦いが起こることがあります。また、他のキャラと何かを比べたり、することがあります。
 その場合、お互い、何の数値で戦い、判定するかをロールで定め、能力+サイコロの出た目の合計で、高い方が勝利したことになります。
 戦闘で敗北した側は、頭部損傷度を1点追加します。
 さらに、この判定で5点以上差が付いた場合、さらに頭部損傷度に1点を加えます。
 つまり、一回の戦闘判定で、最大2点のダメージを負う可能性があります。

例:あなたと鶏肉の頭部を持ったボンジリマンが見解の相違から殺し合いを始めました。
 WKが操作するボンジリマンは暴力で解決しようとするため「力」4の数値を使用。
 PLの操作する油揚げ餅マンは技を使って相手を制そうとしたため、「技」3の数値を使用する。
 さいころを振り、WKは5の数値を出した。合計9点。
 PLはサイコロをふり……残念、3の数値だ。合計6点。
 PLは敗北し、頭部の損傷に1点追加。今後あらゆる判定に-1されてしまう事だろう。
「まだやるか」
 とボンジリマンは挑発する。PLは、脱出方法の関係上、なんとしてでもボンジリマンを殺害しなくてはならないと思い、再戦を希望する。
(ここでもし、戦闘を希望しなければ、詫びを入れるなり命乞いをするなりが有効だろう。WKはこれを受け入れてもよいし、またボンジリマンの性格を想像して簡単に停戦を受け入れないと判断したら、命乞いもしくは謝罪を受け入れるかの【行為判定】でサイコロを振らせてもよく、またボンジリマンにナイスガイな行動を起こさ、傷を治したり命を救ったりすることで【正気度判定】にもっていくという展開をしてもいいだろう。)
 WKは思うところがあり、ボンジリマンは再び戦闘ロールすることにした。
 ボンジリマンは6を振り、「力」の4の値とあわせ10の数値に。
 PLは……なんてことだろう。1の目を振ってしまい、さらに頭部の損傷もあるため-1とされ、技の数値・3と合計させて合計3の値。
 このロールで5点差がついてしまったので、PLの油揚げ餅マンは2点の頭部損傷がすすみ、なんとPLのキャラクターの頭部は完全に崩壊してしまった。
 油揚げ餅マンはこの無為な戦闘のために死んでしまった。死んだ土地からはもち米の苗が芽吹いたのだった。

NPC

 NPCとは、ノンプレイヤーキャラクターの事。基本的にはWKが操作します。 この「愛の国」の住人のことです。
 公式では、とりあえず簡単なデータと名前と、簡単なプロフィールを用意している(予定)ですが、基本はその場でWKが名前を決めて能力を決めて創作して登場させるといいと思います。
 NPCの持っているデータは、PLのキャラクターの持っているデータとほぼ同じ+【情報】を持っているか否かがあります。
 ただ面倒ならば出現したらその場で即興的にデータを決めていいかもしれません。
 それらのデータは、PLに見せなくて大丈夫です。PLのキャラクターの正気度が3以下の場合、「ああ、君は○○だね」と、この世界になじんでなぜか知っていることになるので、求められたらデータを公開します。
 NPCには4種類います。

・(頭)あなた以外の頭部食品人。
 食べることができます。善である人が多いです。趣味でヒーローをしていることが多く、悪と見れば即襲い掛かってきます。また頼めば(自分が悪でない限り)必ず頭部をは少し破壊して食べ物をめぐんでくれます。
 しかし、もしそんなことをされたら、キャラクターは愛の国の献身的な好意にたちまち感動して、正気を失う事でしょう。

例 〇ボンジリマン (頭)
 頭部が焼いた鶏の尻肉の男。情のある男だが精神的に不安定であり、自分が正しくないと思ったら不安にかられてしまうため、逆にメンタルを鍛え、いろいろとどうでもよくなった無神経な男。
力4 心5 技5 知恵2 社交3  

・(民)愛の国の国民
 他の人民を自分の力では助けることのできない、無力な存在です。
 善悪すらもちません。よく死にます。
 彼らはあなたに、どういうわけか助けを求めます。また、常に彼らは空腹です。
 助けられると、必ず、お礼をします。
 彼らは絶対的に正直であり、絶対に嘘はつきません。狂気的に善人です。

例 〇カピバラオくん (民)
 無能で常に腹を空かせている小人のようなカピバラ頭の成人男性。見た目は子供そのものだが顔をよく見れば中年にも見える。
 無知で、ただ人に助けられることしかできない。そのことに最近気づき、気が病んでいるが、助けを求めないでいるとますます状況がひどくなることを知り、仕方なく、なし崩し的に他人に助けを求めている。
 両親の死後も生まれ育った子供部屋に住んでいる。
 力1 心1 技1 知恵1 社交3   

・(悪)悪の属性を持つもの
 悪です。この世界で、世界そのものから忌み嫌われている存在です。
 殺すか倒すか、もしくは取引をすることが可能です。

例 〇サスペンスマン (悪)
 サスペンスドラマを見すぎて現実と空想の区別がギリギリつきそうでつかない領域の男。凶器に使われる道具をよく持ち歩いては善良な市民を怖がらせる。たださすがに故意の殺人はしない。うっかり殺してしまったことはあるが、死体はまだ見つかっていないため少しだけビクビクしている。
力3 心4 技5 知恵3 社交2  

(特)特別な存在
 特殊な存在です。イベントピープルです。
 公式に設定している存在は、下記の2存在です。

【黒の女王】
力:1 心:4 技:6 知恵:6 社交:3 
 この世界の片隅にある「黒の国」の女王。黒の国の女王の城に住んでいる。
 「黒の国」の国民は一人(胎児のような形をしている)だけだが、すでに死亡しており、女王はその亡骸を抱えて生き、その現実に目をそらしながら生きている。
 彼女だけ、この「愛の国」のある世界の異常さにうっすら気づいている。

【シェフおじさん】
力:2 心:3 技:5 知恵:4 社交:6 
 あらゆる料理を作れる特異な中年男性。
 この世界の頭部食品人たちの頭部損傷を回復できる力を持つ。頭部損傷をしているキャラクターを見たら、即座に頭部の損傷を回復してくれる力がある。
 かつては女性の助手や、飼い犬、そして一番信頼していたパン系統の頭部食品人がいたが、現在はそれらはおらず、一人暮らし。
 つねにニコニコ、笑顔を保ち、村の人々からは慕われ、悪人からも信頼が厚い。だが、その目をよく見ると、まったく笑っていない。どす黒く濁った絶望色の瞳を、目を細めていることで表に出さないようにしている。
 かつて同居していた人物たちのことはなぜか語りたがらない。
 この「愛の国」の中央部の平原にある、「パン厨房」と呼ばれる小屋に住んでいる。

 ほかにもWKが、何かドラマチックな展開を持ち込みたいとき、オリジナルで特殊な判定や能力を持った存在を出現させてもおもしろいでしょう。

【空腹の解消法】

 時制の中で、キャラクターが飯を食べる事ができれば、満腹になったと判定してかまいません。
 ただしこの世界、飯は貴重です。ほとんど必ず何者かの頭部になっています。
 突然PLが描写したとしても、食料だけはほとんど手に入らないと考えていいでしょう。
 その頭部をめぐんでもらうか、傷害、殺害して食らうかなどする必要があります。
 唯一、シェフおじさんという公式NPCのみ、その手仕事で食料を無から作り出し、あるいは頭部の損傷も回復させることができます。
 また非常手段として、自らの頭部を食らう事も可能です。その場合、頭部損傷度を普通に減らすことになります。

【世界脱出のやり方】

 以下の脱出法が、PLのゴールになります。
 ですが、どれも簡素な記述であり具体的でないものもあります。
 そのうえ、WKはゴールを知らない上、ゴールさせないようにするので、協力もままなりません。
 PLは脱出法になんとか関連するような動きをしましょう。こじつけでも構いません。ぎりぎり脱出法の文言を達成したと感じた場合、PLは脱出法のカードをWKに公開し、この世界から脱出したことを宣言してください。そうしたら、PLの勝利です。

・公式の脱出方法カード内容

 以下の脱出方法が、今設定してある脱出方法になります。
 ランダムで選ばれたこのうちの一つを、PLはキャラクターに、展開を無理やりこじつけて達成する必要があります。

1・100人以上の登場人物たちを一斉に眠らせる
2・3体以上の登場人物を殺害する
3・木琴を演奏する(誰かが感動して涙を流すくらいすごく上手に)
4・誰か一人に、この世界が異常な世界で非現実の世界だという事を、心の底から理解させる。
5・100人以上の登場人物たちを全裸にして1か所に集める
6・NPCの一人である「黒の女王」を殺害する。
7・誰かが持っている「魔法の鏡」を探し出し、自らの姿を映す。
8・200メートル以上高いところから飛び降りる。
9・湖の底の祠の扉を開ける。
10・この世界で自分を最も愛してくれる存在を殺害する
11・誰かと宇宙(と思しき上部の空間)に到達する
12・海の底の存在と対話し、元の世界に戻してもらう。
13・誰かと共に雷に打たれる。
14・死んだふりをし、生きたまま埋葬されたのち、復活する。
15・100人以上の登場人物たちと同時に踊る
16・洞窟の奥にいる怪物に誰かと一緒に食われる。
17・誰でもよいから生命体の腹の中に入り、そこから出る。
18・この世界で誰かが大切にしている宝石を破壊する
19・この世界最高のギャグを誰かから聞き、笑い死にする/させる
20・この世界で最も愛し愛された人物に自身を殺させる
21・2体以上の食品マンの頭部の一部を手に入れ、シェフおじさんをうならせる料理を作る。
22・この世界でもっとも愛し愛された人物から口づけされる
23・この世界の人物と人物同士が相思相愛になる瞬間を見る
24・2体以上の登場人物から、神とあがめさせ神になり、神パワーを使う。
25・詩歌を作り、この世界の誰かに聞かせて感動させる。
26・誰かと家族になり、その後、その関係を根底から破壊し、悲しまれる
27・街のすべてを焼く。人工物のすべてを跡形も残さず焼く。
28・誰かと配偶者になり、自分の子供を出産する・誕生させる
29・誰かの体のどこかに現実世界の何かを現したタトゥーを刻む
30・人類の化石を発見し、それをこの世界の誰かに破壊させる。
31・自分の心臓(もしくは眼球)をえぐり出し、誰かに受け取ってもらう
32・世界のすべてを知っている者に出会い、秘密を語らせる。
33・シェフおじさんに、かつての仲間の一人を再会させる
34・シェフおじさんを殺害する
35・頭部をギリギリまで損傷させ、餓死一歩手前の状態で歌い踊る
36・悪の大王を名乗り、誰か一人を子分にする
37・頭に美しい花を咲かせ、誰かの心を揺さぶる
38・椅子になり、3人以上に座ってもらう
39・誰かと協力し地下200メートルを掘り進めコアを見つけ、二人で触れる
40・赤ちゃんになり、誰かに父と母になってもらい、真の名前を名付けてもらう

3【ゲームのおわりかた】

 時制の中でできることを繰り返し、描写の中で時間がすすんだりして、正気を失う事もなく、かといって脱出もできず6時制分進んでしまったら、両者ゲームオーバーです。
 世界の崩壊をWKは責任もって描写して、すべてが廃塵に帰したことを示してゲームを終わらせてください。

 6時制進み切る前にPLが脱出できた場合は、PLがその後の展開を頑張って描写してみましょう。
 あれは、悪い夢だったのか……みたいなオチでいいと思います。

 6時制進み切る前にWKがPLのキャラの正気度をゼロにさせたら……PLのキャラクターの描写権はWKのものになり、PLのキャラクターを愛の国の素晴らしい人々に取り込み、世界の崩壊も防ぎ、また素晴らしい日常が繰り返されたことを、WKが描写してください。
 また、今後はWKをやった参加者が再度このゲームをやる場合、NPCにPLの遣っていたキャラクターを登場させることができます。

【最後の質問】

 ゲームの最後に「何が君の幸せ、何をして喜ぶ?」と、WKはキャラクターに語り掛けてください。キャラクターは、この世界で「何のために生まれて、何をして生きるのか」を理解しているため、元気に、生き生きと、その答えを返してくれるに違いありません。
 空耳なんかじゃありません。
 絶対に答えを返してくれるに、違いないのです。

【あとがき】

 とりあえずこれで、まずはテストプレイがしてみたいです。
 まだルールを思いついただけなので、誰か助けてください。
 基本的に、PLが正気度を失うのを楽しむゲームと考えており、PLはクリアできないものだという事前提で楽しんでいただければと思います。

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【ちんちん短歌出版世界】藤田描
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