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オリジナルTRPG・『頭部食品マンの夜』テストプレイリプレイその①


はじめに

 オリジナルのTRPGのゲームを作りまして、ネット上でテストプレイにつき合っていただける方を探し、やっていただきました。今回はそのリプレイです。
 ……のっけから何を言っているかわからない方もいると思いますが、私は「TRPG」という非電源ゲームが好きで、これ、GM(ゲームマスター)という司会者みたいな人と参加者が、サイコロと紙ペンを用いながら、お話をして楽しむゲームです。本朝だと、CoC(クトゥルフ神話TRPG)とかが有名ですね。

 で、オリジナルのゲームを作りたいと思い、作りました。

特徴は三点です。
・二人用(GMと参加者の一対一)
・キャラメイクも含め30分以内で1セッションが終わる
・準備不要
・アンパンマン的世界観(誰でもイメージつく&わりと突飛な事でも起こりうる)

 TRPGに限らず、非電源ゲームをオフライン(現実世界)でやろうとすると、本当、人間の予定を合わせて一緒に集うのが大変。さらに、だいたいTRPGってキャラメイクだけで半日かかるのもざら、GMの事前準備が大変すぎる、剣と魔法が中年男性にとっては少し恥ずかしい&別に戦闘とかはデジタルのビデオゲームでやればいいからなあ……みたいなこともあり、なかなかプレイできないなあと思っていたところです。
 なので、自分が気軽にオフラインで誰かとできるTRPGを作りたいと思って作ったのがこの『頭部食品マンの夜』というゲームです。

 前置きが長くなりましたが、今回はこのゲームのリプレイ――「プレイングの様子を、対談のような形式で伝えるもの」としてここに記したいです。

 ですが、私、録音をすっかり忘れており、これはもう作者の脳内の思い出で再構成したものになります。本来そう言うのはリプレイとは呼べないかもなのですが……よろしくお願いします。

ゲーム準備

 今回のテストプレイをしていただける相手はAさん。有名大学三年生の才媛。ゲーム制作サークルに所属しており、TRPGはCoCを3回ほどプレイしたことがあるとのこと。
「今、あらゆるゲームをプレイし、新たなゲームを作ろうとしているのですよ!」と、基本的に創造性がある方で、物語作りに慣れている、いわば上級者な方に手伝ってもらいました。
 場所は、夏期休暇のとある大学の活気あふれる学生会館の開いているテーブルスペースにて。
 暫定的に、作者の藤田はFと表記します。

ゲームシステムのざっくりとした説明

F「(ルールブック草稿とキャラシートを渡しながら)今回テストしてもらうのはこちらになります。
 二人用のTRPGで、アンパンマンの世界観にキャラになって異世界転生して入ってしまうっていうゲームで……あれアンパン世界って、『何が君の幸せ』って、自分の頭部で運命が決められているっていうか、幸せが固定化されている世界って感じでグロいなあと思ってるんですよね」

A「殺伐としてますよね。みんな笑顔だけど

F「飢えもあるし……。で、プレイヤーはこの世界に自我を持って異世界転生してもらって、そこから脱出するのが目的っていう、プレイヤー(PL)にとっては要するに脱出ゲームです。
 で、GM……このゲームだとワールドキーパー(WK)って名称なのだけど、こちらはPLの脱出を阻みながら、SAN(正気度)チェックしてPLの正気を失わせて、この世界にとどまらせようというのが目的です
 で、PLが死ぬ、つまり頭部の損傷が限界に達するとか、空腹度がゼロになって飢え死にしたら、PLもWKの両者の敗北。
 また、時制という、いわいるシーンセクションが6回あるんだけど、6回を超えるまでに脱出なり正気を失わせるなり、両者の勝利条件に達しないと、時間切れで世界崩壊が起きて、両者敗北って感じです」

A「ある意味協力型って感じですねー」

F「キャラを死なさないという意味では協力型。ただ、自我を保つか、正気を失わせるかの勝負ですね……なんだそれは。じゃ、まずは僕がWKで、Aさん早速キャラクターを……」

以降F→WKに

キャラクターメイキング

A「あーどうしましょ。本当何も決めてないんですけど

WK「全然OKです。まずは頭部の食品を決めてください。何でもいいですよ、食品であれば」

A「じゃあマシュマロ! 女の子だからマンじゃないか。」
WK「本家だと〇〇ナとかですよね。メロンパンナ、ロールパンナ……「ナ」ってなんだ?」

A「とりあえず、マシュマロウーマンで」

 秒速で頭部食品女ヒロインが誕生した。以降Aさんは→マシュと表記。

マシュ「この『真の名』っていうのは……?」

WK「フレーバーなんですが、異世界転生前の現世での名前です。まあ、適当に」

マシュ「じゃあ、「織原かなで」で……」

WK「普通の女子大生って感じですかね」

マシュ「そんな感じです。マシュマロ好きでいつもカバンに入れてる人で」

WK「あーそれでトラックに轢かれた拍子にカバンの中のマシュマロが顔面と入れ替わって異世界に転生しちゃう感じですね

マシュ「わあい」

WK「そしたらサイコロで能力値決めましょう。どうします? 基本ルールだと「力」と「心」だけなんですけど、エキスパートルール? だと「技」「知恵」「社交」という能力値も追加しようかなと」

マシュ「ぜひエキスパートで。その方がなんか面白そうだし」

Aさん、サイコロを5つ振る。
その振ったサイコロを5つの能力値に当てはめていく。

WK「おすすめは【心】にいい目を割り振った方がいいですね。詰みますので……」

こうして割り振った結果がこんな感じ。
マシュマロウーマン
【力4】【心5】【技2】【知恵4】【社交1】

AI画像生成で作成

WK「社交性が低い……」

マシュ「コミュ障の子なんですかね」

WK「一応「6」で超人的、「3」で一般成人並み、「1」でお子様レベルって感じですねー」

マシュ「社交性がお子様波並みかあ……マシュマロちゃん。生きていけるのか」

WK「まあ、ここはメルヘンな愛の国なので大丈夫でしょう。あと、この子の得意な事を決めてください。得意な事は、判定に自動成功したり、あるいは有利な判定にする目安って感じになります」

マシュ「えーなんだろう。マシュマロウーマンが得意な事? それとも織原さんが得意な事がいいのかな」

WK「どっちでもいいですよ」

マシュ「なんだろう、思いつかない……マシュマロ……「ふくらむ」とか?」

WK「いいですね。何かあったら顔面が膨らむ……」

マシュ「いったい何に有効なんだろう」

【得意な事:ふくらむ】が追加された。
これにて、キャラメイク終了。時間にして5分もかからなかった!

WK「じゃあさっそく、この頭部食品マンの世界へ落ちましょう。ゲームスタートです」

ゲームスタート

時制① 1日目昼 即死の危機

WK「というわけでマシュマロウーマンさんはこの世界に突然出現するんですが……一応この世界の描写を……」

マシュ「はーい」

WK「とりあえず、汎用の口上があるので読み上げます。

『遠く、東の方の空が、崩れているのが見えます。
 真っ暗な、闇ともいえない空白が、肉眼でもはっきり見えます。
 その空白に触れると、どうやら死ぬようです。
 何も知らない渡り鳥たちがその空白に触れ、次々と落ちていき、やがて消えていきます。』

 ……つまり、あなたがこの世界に現れたので、なんか世界、おかしくなってるみたいです

マシュ「あら大変」

WK「で、せっかくなのでランダム初期表をふって見ます」

コロコロ……「5」の出目。

WK「あ! ハードスタート! さらにもう一つ」

コロコロ……「4」。

マシュ「嫌な予感」

WK「4・【空中】気が付けばPLは……空中だ! そして、恐るべき速度で落下している!」

マシュ「空中!?

WK「『下を見ると、クッションとなるような草木のない、岩山が見える。叩きつけられたら一巻のお終いだ!』」

マシュ「えっ、これ、飛べないんですよね、まだ」

WK「ええ、正気を1点失えば飛べるんですけど、まだ状況把握をする前って感じですねー」

マシュ「あーどうしよう。このまま落下したら」

WK「一巻のお終いだ! って……なってますね。岩山に叩きつけられて首を折って即死でしょうなあ」(ゲーム的にそんなことはないのだろうけども)

マシュ「なんだこの展開、転生して即、死(笑)。えー何かできる事……あ、得意な事【ふくらむ】!

WK「あー頭マシュマロですものね。膨らんでエアバッグみたいな感じで

マシュ「受け身とれませんかね!」

WK「膨らんだだけで成功ってわけにはならなそうなので、【行為判定】してみましょうか。【ふくらむ】のおかげで難易度をちょっと下げて……それじゃあ基準値を「まあ簡単」の「5」の行動判定をしてみましょう。
 受け身なので、そうだなあ、「技」が「体」で判定できそうですが、体の方が能力値が高いので「体」で判定してみましょうか。」

 マシュマロウーマンは【体4】。
 サイコロの目に4を加えて5以上になったら、膨らんだ体を用いて受け身は成功したことに。
 つまり1が出ても「5」以上にはなるのだが……

WK「実質もうサイコロを振らなくてもいいかもですが、サイコロに1が出ると【自動失敗】になりますので、1以外を出してくださいね!」

マシュ「おねがい!」

コロコロ……まさかの「1」! 行為判定失敗!

マシュ「うわあ!」

WK「(笑って)マシュマロウーマンは危機に際し頭部を膨らませ受け身を取ろうとしましたが、受け身の取り方が悪く強く体を叩きつけられ、頭のマシュマロの一部が欠けてしましました――ということにしますので、頭部損傷度を1追加してくださいー」

マシュ「最初からボロボロだあ」

マシュマロウーマン【頭部損傷度:-1】

WK「さて……叩きつけられて目を覚ますとここは……そうですね、岩礁地帯の海岸という事にしましょうか。冒頭で描写した東の空が崩壊している様子が見渡せます」

マシュ「えー、世界が終わっていくー。どうしましょう。まだ織原さん、状況を飲みこめてないと思う……」

WK「えー……(展開が思いつかないので)ここでランダム遭遇表を使いましょうかね。PLはNPCから脱出のための【情報】を得ないとなので……」

コロコロ……「4」! 

WK「えー、『何者かに問答無用で襲われる』。これはマシュマロウーマン、序盤からいろいろ大変なことになってるなあ!」

マシュ「これはひどい」

WK「じゃあ誰に襲われたか……キャラクター、実はまだ作り途中なのですが、NPCをこちらでとりあえず名前だけでも66体作っていて、D66(6面サイコロを2回振り、66の乱数を出す)に対応しようとしてるんですよ。」

こちら、キャラクターリストは今だ製作中です。
名前しか作っていないキャラもいますが、そういう場合はサイコロをその場で振って即席でキャラデータを作ろうと思ってました。

WK「さっそく(コロコロ……)あ、出ました。えー『燻製合鴨マン』が、腕をぶん回しながら突撃してきます!」

燻製合鴨マン

AI画像生成で作成

 「結局、人生いろいろじゃないですか」
 黒く、失敗した燻製合鴨の肉が頭部の男。合理的であろうとし、様々な知識を得て合理的行動をとろうとするが、根っからの多動の性格のため何もかも失敗し続けているのを自覚できていない男。人間的に薄っぺらい愚物。
【力1】【心4】【技4】【知恵6】【社交2】

マシュ「紹介欄がひどい……。力が全然ない人なんですね。ひょろひょろの腕で殴ってきそう……」

WK「そうですね。……ああそうか、データと名前があればある程度キャラのイメージがつきますね」

マシュ「えー、説得……社交性がお互い全然ないから聞いてくれなさそう。とりあえずヒラリとかわしてみますかねー」

WK「やはり【力】で判定に持ち込みますかね。そしたら、技ではなくて反射神経でよけようとするマシュマロウーマン……【力】の対抗ロールにしましょう
 合鴨マンは【力】が1、なので(コロコロ……)5! なので「6」以上の数値になれば躱したことにしましょう」

マシュ「(コロコロ……)4! 力の数値が4なので、足して8なので成功ですかね」

WK「OK! マシュマロウーマンは合鴨マンの非力な攻撃をかわしました。合鴨マンは――じゃあ、攻撃をかわされて、体がもつれて転びます。」

マシュ「『何で、私に襲い掛かってきたんですか!』」

WK「(質問だから、【社交】で行為判定振ってもいいけど、面倒だし話を先に進めたいからいいや)『そ、それは、あなたがこの異世界に来たから……この世界が崩壊するって、い、言われたから!!』」

マシュ「あ、何か「情報」知ってそうですね。……『誰に! 言われたんですか!』って、社交性のないマシュマロちゃん、必死に話しかけます」

WK「合鴨マンも【社交】が2なので、なんかフガフガアウアウ言ってますね」

マシュ「コミュ症同士の会話だー」

WK「えーと、そしたら……『シェフおじさんが、そういってたんです!』という事がうかがえました」

マシュ「あ、特殊NPCの

WK「この世界で唯一頭部を直してくれる、謎のNPCという事でね」

マシュ「あ、そうか頭ダメージ逝ってますものね……『そのシェフおじさんって、どこにいるんですか!』」

WK「『どうして世界を破壊する君なんかに……』とぶつぶつ言ってますが、マシュマロの頭がグロく損傷しているのを見て、合鴨マン、哀れに思ったのか『案内するよ……』と、どうやらシェフおじさんのところへ導いてくれそうです」

マシュ「何か知ってそうですね。シェフおじさん」

WK「さて、なんやかんや落ち着いたのですが……マシュマロウーマンはようやく状況が見えてきまして、改めて頭部の痛みを覚えます。頭の一部がベロンと欠けているの自覚して――」

マシュ「正気度判定ですね。」

WK「これをやらないと時制が次に行かないので……。では正気度判定は基準点が8なので、【心】の数値とサイコロを振って8以上で成功です」

マシュ「(コロコロ……)よかった、4です」

※実は頭部損傷が1あるので判定にマイナス1するはずが、忘れていました。

WK「ピッタリ8。ギリ成功ですね。織原さんことマシュマロウーマンは、何とか状況を飲みこみ、頭の傷も致命傷でない事を把握し、なんとか自我を保てました。
 マシュマロウーマンは、合鴨マンの案内で、この世界の秘密を知っているというシェフおじさんのいる場所へ案内されたのでしたーと言ったところで、次の時制に移ります。」

時制2 1日目夜 壁ドンで脅す主人公

WK「というわけで……合鴨マンの先導で、シェフおじさんがいるとされる厨房小屋にたどり着きました、という事にしましょう。その前に、新しい時制に入ったので、空腹度が1上がります。」

【空腹度-1】

WK「これ、空腹が3になってしまうと餓死してしまうのでね……さて、厨房小屋につきました。煙突があり、小さな工場のような外観ですねー」

 【シェフおじさん】、もちろんこれはジャムおじさんのパロディのイメージ。
 だがアンパンを中心とした疑似家族が解散して闇落ちしている感じでしたが、あんまり設定を詰めていません。
 一応、世界観を司るメインNPCだしなんか考えた方が後々いいのかなあと思いつつ……。

マシュ「どんな奴なんでしょうかねシェフおじさん」

WK「【社交】を振って合鴨マンから聞いてみましょうか」

マシュ「コミュ症なのになあ……」

【社交】の対抗ロールに。何とかクリア。

WK「『この世界の食品マンはみんなシェフおじさんにお世話になっているんだ。そんなシェフおじさんが、あなたがこの世界を破壊しに来たって言うから、てっきり悪い奴なのかと……』」

 これもアドリブ。
 シェフおじさんを中心になんか話が動けばなあと思ってました。

マシュ「シェフおじさん、あやしい……。この厨房、入れそうですか?」

WK「不在のようで、鍵がかかってますね(そう簡単に情報を取られるのもアレなので、不在にしてみました)」

マシュ「煙突からは……あー空を飛べないからなあ。裏口とか、勝手口とかあるかな。」

WK「まだ正気を保ってるので、空は飛べないですからね。勝手口はあると思いますよ。もちろんそこも鍵がかかってます」

マシュ「中に入り込めないか……ああ、特殊能力「ふくらむ」が役に立たない!」

WK「鍵開け、みたいなことになれば【技】とかで判定ですかねえ」

マシュ「あーじゃ一応やってみましょうか」

WK「うーん中に入るとなると難しそうなので、基準値は「8」です。ウーマンは技が「2」なので、6以上のサイコロの目で成功……実質自動成功のみですね」

マシュ「(コロコロ……)ああっ、失敗!」

WK「あら、じゃー中に入れないみたいですねー」

マシュ「こうなったら、合鴨マンに何か知ってることはないか白状させます」

WK「なるほど。でもさっき【社交】で振ってしまったからなあ」

マシュ「もっと知ってることないか……脅すとかは可能ですか?

WK「いいですね! ならば、【心】で判定してみるとかはどうでしょう。話術や交渉ではなく!」

マシュ「では、マシュマロウーマン、壁ドンして、合鴨マンを脅します。『この世界から脱出する方法! なんか聞いてないの!!』」

そこで【心】の対抗ロール……なんとこれが「6」を出し自動成功!
「情報」を得たという事にしました。

マシュ「やったあ!」

WK「『そういえば! シェフおじさんはこんなこと言ってたような……』では、脱出カードをめくってください」

マシュ「(めくって……)!?」

WK「(こちらは中身を知らないが)なんか、変な脱出方法引いた?

マシュ「……うーむこれは……」

悩むマシュマロウーマン。
脱出法は、かなりトンチキな事になっている。
そしてその情報は、WKは知ることはできないのだ!

WK「……さて、情報も引いて行動判定もしたので、時制を終わらせたいのだけど、正気度判定どうしようかなあ……。あ、じゃあ、脅した時、あまりに激しく脅したので、自分の中で心のバランスが崩れた――という事で、正気度判定、お願いします!」

マシュ「どんな脅迫だったんだマロちゃん。 壁ドン、よっぽど激しかったのかな……(コロコロ……)あ、成功です!」

WK「お、好調ですね。では自我を失わず、この世界に染まることなく、マシュマロウーマンは世界脱出の糸口をつかんだという事で……次の時制に参ります」

そんなこんなで、次回に続く……。

(つづきはこちら↓)


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